崖の上の人魚姫2 By AEGIS(初潮とコンドーム)


崖の上の人魚姫

ゼーレの眼目

想いを遂げるためには、代償として失う大切なものがあることや、その大切さに気づかず無視をして二度と取り戻せないことなど-。恋愛とともに成長しながら幼心の君は、そうした現実の痛みを味わいながら、いつか自分の身に受けるかもしれない、遠い記憶の人魚姫に委託された哀しみと痛みを手探りしながら探知するのである。それは容易なことではない。

前回「崖の上の人魚姫」を描きながら思い出したことがある。上段の赤文字文を連想しながら読む。ある女子高校生のラジオ番組の投稿である。

○初潮とコンドームブーケ1

 私が初潮の時、母がコンドームをくれました。

「今日から、あなたは子供を宿すことができる体になったのよ。もし、好きな人ができて結ばれることがあっても、よく憶えていてね。そのとき子供を産み育てる自信がなければ、相手の男性にコンドームを渡しなさい。もし拒否するような男性なら、あなたを大切に思っていない人だからあきらめなさい。もし、お互いに子供を産み育てる自信がついたら、その時こそ、あなたが本当に結ばれた人なのです。」

 私は、母のその言葉をよく思い出し、自分の行動には意識しています。世の中には自分の責任を人の責任にする子供のような大人が沢山います。私はせめて自分の行動には責任の持てる大人になりたいと思います。(おわり)

再ゼーレの眼目目

感心してラジオを聞いていた(2002/01/07 MON)ヘッドフォン

その母親の発言とプレゼントのタイミングの小気味よさが良い。体に異常を来したとも思いかねない事件を抱えて不安なとき、母から人間の尊厳に関わる発言を聞き、神妙になる娘の姿が目に浮かぶようだ。このタイミングは早くても遅くても具合が悪い。母親は初潮近くなった娘の体調を悟られずに見守っていたように思われる。そして発言のタイミングを得た。そうでなければこのタイミングが得られなかったと思う。心身ともに不安な娘の心情を優しく抱きかかえながらもこれから「女」として生きて行きなさいと言う。自分がかつて歩いてきた轍を娘に示しながらその指針を与えた母親は見事である。また、このような関係は母娘ともにしっかりした性根(しょうね)でなければ成立たないものでもある。

 できちゃった婚などと芸能人から火が付いた現象はその芸能人の責任は重い。精神的な関係構築が先行せずに、肉体的関係が優先する。最近はできちゃった婚を仕掛ける女性もいると聞いている。問題はその後に拡大する。

 上記の女子高生のコメントは、男たちへの有効なリトマス試験紙になる。そして女たちにとっては自分を守るAEGISにもなるだろう。

女は妊娠した場合、男は男のままだが、女は母になる。たいていの場合、その(できちゃった)ケースでは、男はひるみ逃げるという。

 男が本当に惚れた女であれば、決して傷つけることはない。自分がAEGISになり、その女を守り続けるだろう。そういう男の恋は軽はずみではない、命がけなのだ。女もそうか?

 泡にする恋か、泡にされる恋か。いずれにしてもいつか決断は迫られる。まさしく、そのとおり、永遠に生きている人間は存在しないから。

 コンドームとは「予防」という意味とされる。欧州では妾に間違って子供ができないようにするために、戦時中の日本では主に性病予防だった。「Condom」の語源は考案者といわれる18世紀英国の医師 Condom or Condon の名によるとされる。

 「恋愛する女たちよ、AEGISをもつ母親となれ」

編集・文 栗城利光(SWAN)