浜松市内で2月下旬に開かれたマラソン大会で、心室細動を起こし倒れた参加中の男性(83)が、たまたま後ろを走っていた医師らの応急処置で一命を取り留めていたことが7日、分かった。

 男性は搬送された浜松医科大付属病院で狭心症と診断された。治療は無事済み、10日ごろ退院の見込みという。

 救命に尽力したのは同市西区で医院を開く医師(48)。大会は浜松市などが主催する浜松シティマラソンで、医師はファミリー(3キロ)の部に出場した。スタート地点の競技場を出た直後に、「救急車を呼べ」と誰かの叫び声を聞き、駆けつけると男性が倒れていた。医師はとっさに心臓マッサージを実施。近くにいたAED(自動体外式除細動器)隊員とともに応急処置に当たり、大会の医療救護班に引き継いだ。

 「プロなのに慌ててしまい、『AEDを持って来て』とも叫べなかった」と謙遜する医師。「AED隊員らの協力でリレーがうまくつながった」と振り返った。「心室細動は事前には分からず、今回の出来事が高齢者のマラソンを必要以上に危険視するきっかけにならなければいいが」とも心配し、AED操作など救命救急処置方法の周知こそ必要と強調する。

 一命を取り留めた男性は高校時代は駅伝選手で、同大会には9年連続の出場。同日は3キロ部門に出場していた。「悪い所はないと思っていた」と、突然の出来事に戸惑いながらも「(助けてくれた人に)ありがとうといいたい」と入院先のベッドで感謝を表した。