20年夏季五輪:ヤマ場の招致 「災後社会」に希望を 猪瀬知事に聞く /東京

 20年夏季五輪招致に向けた大きなヤマ場になる国際オリンピック委員会(IOC)評価委員会の現地調査が、4日から実施される。石原慎太郎前知事からバトンを受け継いで招致委員会会長を務める猪瀬直樹知事に、東京で五輪を開く意義や効果について、
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 ◇スポーツの興隆、遺産に
 --IOC評価委員が4日に皇太子さまを表敬訪問します。

 ◆切り札はこれしかないと思っている。1月のロンドンでの記者会見の時、前の晩に原稿を差し替えて自書「ミカドの肖像」で引用したロラン・バルト(フランスの哲学者)の言葉「いかにもこの都市は中心を持っている。だがその中心は空虚であるという逆説を示してくれる」を紹介した。皇居の存在は、西洋の物まねではない独自の都市の文明。皇族が真ん中にいれば(IOCは)招致がオールジャパンだと思いますよ。逆に前回のように皇族がいないと「足並みがそろっていない」と見られる。
 --知事は五輪が国民に夢や活力を与えて「心のデフレ」脱却につながると訴えていますが、五輪によって東京という街が実際にどう変わるか、何が五輪のレガシー(遺産)として残るのか、という説明が不足しているように感じます。

 ◆東京マラソンは3万6000人が走り、170万人が沿道で応援し、1万人がボランティアで参加している。応募倍率は年々上がっていて、スポーツを楽しむ人が着実に増えている。五輪で有明に新しい競技施設ができ、国立競技場を含む神宮の杜(もり)一帯が再生される。こうして街のスポーツ市場が膨らみ、健康な人が増えて高齢化社会の中で医療費抑制につながれば、大変なレガシーだと思う。
 --スポーツ以外の効果は?

 ◆今の日本には目標となる「坂の上の雲」が必要だ。平成生まれの若者は、高度成長の経験がないから「今日より明日がよくなる」という発想がない。希望を作るのは大人の義務。世界中から人が集まる東京五輪の成功を今後7年間の目標に掲げれば、若者が希望を見つけて消費も拡大し、日本が元気になる。
 --知事は東日本大震災を区切りに日本は「戦後社会」から「災後社会」へ移行したと、以前から言っています。災後社会とは、前例踏襲のお上任せを改め、自助・共助による個人の自立を目指すことだと理解していますが、そうした新しい社会で五輪を開催する意義はどこにあるのでしょう。