結婚して11年、諦めかけた頃できた息子がいる。
彼を身篭ったのは、父が心も身体も病み、母が姑と父のダブル介護で倒れた頃だった。
真っ暗な実家に、希望の光となった息子。
父と母には、たった一人の孫。
今年高校生になった息子は、なぜか、電車で30分かかる我が母校を選んだ。
このことが、残りわずかな母の人生に、光となった。
学校に行った日は、必ず帰りに病院に寄ってくれた。
上手なことは言えない息子だが、ただ顔を見せるだけで十分だった。
父の病院は、一人では行けないところだったので、一度しか連れて行けなかった。
点滴だけで命を繋いでいる、手足もまがって膠着した父のことをどう感じるか心配したが、
「そんなに変わってないじゃん」
と、あっさり。
小学校の頃は、ピアノを弾いてあげるために、何回か施設に行ってくれたことがあった。その頃から、全介助が必要で、孫の顔もわからない父だったので、そんなに違和感はないらしい。
たった一人の孫だけど、ちゃんと孫として出来る限りのことをしてくれた。
今日は、ここまで。