おとなが育つ条件-発達心理学から考える-
「日本のおとなは、なぜ成長できないのか」をテーマに発達心理学から考てみまる基本図書です。
確かに子供のときには自分でも成長は確認できますが、大人になって成長があまりないように思います。身体的な成長が止まると精神的な成長もストップしてしまいます。
年をとると感性はなくなっていきます。
「おとなが育つ条件-発達心理学から考える-」を図書館で手にしたとき何か自分のヒントにならないかと思い読み始めました。
この本で「おとなが育つ条件とは」次のように書かれていました。
激しい社会変動によって従来の規範や慣行の意味が失われ、有効なモデルもない今日、社会化に”素直”であることをやめ、時に社会科に杭って自分の発達を自ら方向付け制御することがあり、重要であり必要です。そのために自分はどう生きるか、なにが自分を生き生きと幸せにするかについての省察-アイデンティティの探求こそがいまやおとなにとって重要な発達課題となりました。
この自己省察に基づいて(他人がどうしているか、人からどういわれているかではなく)、どのような力を身につけるか、発達の課題を自ら設定しその実現に向かって努力し実現する、それは人間ならではの営みであり、生涯にわたる発達と幸福をもたらすものです。
この発達の自己制御を実践しつつある人々が現れてきています。彼らはこれまで日本に支配的だった男と女の棲み分けを問い直し、ジェンダーの因われから脱し社会の圧力に抗
って自分らしい生き方を模索し生き生きした生活を展開しています。
ジェンダーというと、とかく女性の問題だとか攻撃的な言説などと敬遠される向きがありますが、それは誤解であり、認識不足です。発達心理学の研究は、「男らしさ」「女らしさ」への因われは男女いずれでも心の安定と幸福に繋がっていないこと、男性性と女性性を兼ね備えている人(アンドロジニー)が老若男女いずれでも増えていること、そしてその人々の自尊感情が高いことなど明らかにしています。いずれもジェンダーの因われからの離脱、しごとと家庭に関わるワークライフバランス、多様な生活体験をもつことの重要性を示しており、それらはまさに「おとなが育つ条件」です。
(P216-217 引用)
この本は中学生向きに書かれていますが、発達と成長は、子どもの専売特許ではなく、生涯にわたって自らの置かれた状況や環境の変化に適応すべく、人間は成長を続けます。なにが「適応」なのかを自ら判断し、取捨選択をしつづけることこそが、成長なのです。
そして、朝の計画・昼の実行・夜の反省をしてみてください。何か変化があると思います。変化の無い日はありません。
史上、類を見ない高齢化社会を迎えた今、おとなの成長を阻害しないように環境を整えることは、社会的要請です。長いながい人生を快適に生きるために、おとなになってからの成長を今一度、考えるための一冊です。
■著者紹介
柏木惠子(かしわぎ・けいこ)1932年、千葉県生まれ。東京女子大学文学部卒業、東京大学大学院教育心理学専攻博士課程修了。教育学博士。現在、東京女子大学名誉教授。専攻は、発達心理学、家族心理学。