離婚調停が不成立になった場合、通常は裁判に移行しますが、例えば何度も調停を重ね、合意を目前にしていたにもかかわらず、一方が態度を硬化させ、調停調書にまとめることができないという状況になることがあります。それでは、それまでの時間と労力が無駄になるため、裁判所の判断で行う「審判」という制度があります。

 審判とは、裁判所が調停委員の意見を参考に、当事者のさまざまな事情を考慮し、双方にとって公平と思われる処分(親権者、慰謝料・養育費や財産分与などについて)を職権ですることを指します。

 審判は夫婦の合意を必要としないため、審判告知後2週間以内に当事者のどちらか一方あるいは利害関係人からの異議申立があれば審判は不成立になります。異議申立があると理由を問わず審判の効力はなくなります。審判の決定にはそういうもろさがあるため、調停離婚のうち審判離婚が成立する割合は0.1%ほどと僅少です。

 それにしても、何度も話し合った結果、その努力が水泡に帰するなんて、なんだか空しいですね。



離婚調停の大まかな進み方は、以下の通りです。

調停の申立ては夫または妻が行い、管轄裁判所は、相手が居住する地の家庭裁判所または双方が同意した家庭裁判所になります。申立ては郵送でも持参でも構いません。

離婚調停は、夫と妻がそれぞれ別個に男女1名ずつから成る2名の調停委員と面談する形式で進められます。

月に1回程度の期日が入り、1回の調停に要する時間はおおむね1時間半から2時間半くらいです。調停開始までの待合室も、退出する時間も別にしてもらえ、相手と顔を合わせずに進行させることができます。ただ最後に調停調書をまとめる際だけは、同席することになります。また、希望であれば「同席調停」を申し出ることは可能です(相手が同席に同意する必要がありますが)。

離婚調停の利点の一つに、顔を合わせずに話し合いを進めることができるということが挙げられます。相手に直接言えなかったことをここで自分の心に正直になって話しましょう。

ですから、同席調停は、相手から求めてきても無理に応じる必要はありません。心の準備が整ってからにしましょう。

余談ですが、お盆と暮れには、期日が入らないことが多いようです。私が相談を受けていた調停の件のうちのひとつも11月中頃の次が1月中頃でした。調停委員の都合なのでしょう。

調停が成立すれば、調停調書がまとめられます。その内容は確定判決と同一の力を持ちます。

反対に、何度か調停期日を持ったが、合意に至る可能性がない、相手に話し合う姿勢が見られない場合には、調停不成立になるか、あるいは取り下げることになります。不成立に納得がいかない場合、訴訟に移行することになります。

日本の離婚は、調停前置主義を取っていて、いきなり裁判することはできません。調停が不成立になって初めて裁判を提起できるのです。
離婚の話を切り出しても相手は興奮してしまい、まともな話ができない。すでに別居しているが、生活費をもらえず、話し合いもできない。そんな場合、調停を申立てるのもひとつの方法です。

調停は裁判とは違って戦いの場ではありません。しかし、相手の言いなりになることは避けなければなりません。

初回調停日が決まれば、その日に向け、十分な準備が必要です。離婚にまで発展してしまったこれまでの経緯をまとめておきましょう。そのなかで自分の感じたことを率直に伝えられるように気持ちを整理します。そのうえで、求める結果を設定し、そのための説得方法を考えるのです。

調停では、調停委員にいかに訴えかけるかが重要なポイントになります。どちらかといえば、法的論理よりも人道的倫理観に訴えかけるほうが懸命かもしれません。

以前、人道的に訴えるのではなく、別の訴え方で攻めてきた相手方がいました。
すでに7年前に離婚した元妻側から養育費を求める調停を起こしてきました。有責配偶者は妻のほうで、私の相談者は夫のほう。

調停の第3回目でしたか、相談者が家庭裁判所の廊下で見かけたらしいのですが、元妻は超ミニスカートで来ました。

調停委員は男女1名ずつであり、女性委員の反感を買うことも考えられたのですが、その日の調停委員は元妻の肩を持つような流れがあったようです。

最終的には、その妻の目論見ははずれ、養育費は低く抑えられたのですが、これもひとつの作戦かもしれません。

調停委員は法律家とは限りません。長年校長先生をやっていたとか、元町内会の会長とか、法律を知らない人が勤める場合が多いので、そのあたりを見極めた調停戦略が実践には必要です。


いくら揉め事の解決のためとはいえ、普通、裁判所に行くことを望む人はあまり多くありません。離婚の場合も同じこと。最も望ましいのが協議離婚でしょう。

協議離婚とはいえ、実際何の協議もない「無協議離婚」とでもよぶべきケースが多くみられます。協議離婚で重要なことは、衝動的に離婚届にハンコをつかないことです。

届けを出す前にじっくり考えなければならないことは山ほどあります。

一般的には、協議離婚の手続きの流れは以下のようになります。

1.離婚の話合い
  ↓
2.離婚の合意
  ↓
3.離婚届に記入、捺印
  ↓
4.離婚届を市役所、区役所等に提出
  ↓
5.離婚届の受理
  ↓
6.離婚成立

ここで一度立ち止まって考えてみましょう。
1.→2.の流れまでは、これでよいと思います。

注意しなければいけないのは、2.→3.の段階です。

離婚届にハンコをつくのは慎重にしなければなりません。今一度、合意内容を吟味しましょう。したがって、この間にもうひとつプロセスが必要になります。合意した内容は、きっちりと文書、いわゆる「離婚協議書」としてできるだけ具体的に記しておきましょう。それも極力「公正証書」にしておきましょう。

「離婚」とは夫婦関係の破綻・喪失を意味しますが、離婚するにしても極力その他の面での損失を少なくし、新しい門出の第一歩としたいものです。そのためにもじっくり話し合い、納得のいく協議書に仕上げたいものです。

しかし、協議離婚はなかなかうまく進まないもの。次回は、調停離婚についてお話します。
 表題は「離婚協議書」でなくてもかまいません。単なる「協議書」や「契約書」でもいいのです。

 表題がなんであれ、これは契約書です。契約書の作成が不備であると、せっかく苦労して決めたことが無駄になってしまうかもしれません。

 特にファースト・アタックは状況をよくよく考えた上で、戦略的な部分も考えながら条文、文言を考えて「離婚協議書」を作成します。この第1案をたたき台にして、交渉が始まります。

 離婚協議書は、後々相手が養育費等を支払わなくなったときに裁判を起こした場合、重要な証拠になります。
相手の不貞行為が許せない。もう我慢の限界だ。そんなとき、早まって離婚届に判を押させることはしないで下さい。別れる前には充分準備をしておきましょう。離婚の前には、別居をするのか、慰謝料、財産分与をどれだけ求めるか、子どもを引き取り養育監護したいが、養育費をどれだけ求めるかなど、問題は山積しています。充分話し合う必要があるのに、険悪な状態ではなかなか理性的にできず、重要なことを取り決められない。ずるずると時間だけが経過していき、焦燥感が募ってくる。そうならないため、また離婚後に後悔しないためにきっちりとした契約書を作りましょう。いわゆる「離婚協議書」です。

次回は、離婚協議書についてお話します。