12。兄の背中 | adversity~賢くない私の生きてきた道~

12。兄の背中

私が中学に入り1年が経った頃、父親がまったく家に帰って来なくなった。
兄は、祖父が立ち上げた会社に勤めてはいたが、1週間のうち1日位しか仕事に行かなかった。なまくらは父親ゆずりだ。
気が付くと、ヤクザになっていた。どうせなら祖父の組に入れば・・・。と回りはみんな思っていた。だけど、祖父の組は一本独鈷だったので、大きな組織に入りたかったようだ。
母親が兄に言ったのは、
「妹が学校に行かれなくなるような事だけは、しんといて。それと、墨も入れんといて。」
と・・・。

だけど、母親がある日、兄の部屋を掃除していて、
「あいつ、あれだけ言うてたのに・・・。」
と落胆していた。
どうしたのか聞いたら、
「このTシャツ隠してたみたいやけど、背中のとこ、血がついてるやろ?お兄ちゃん、墨、入れよったわ。」
と。
入れたい年頃だったんだろう。まだ18歳なんだし。