三枝英彦(さえぐさ ひでひこ)氏(インドで長年修行を積み、現在は脳科学や心理学の視点から「悟り・瞑想」を研究している人物)が提唱する呼吸のアプローチは、一般的な健康法やダイエット目的の呼吸法とは大きく異なります。
​巷でよく知られる「ロングブレス(美木良介氏のダイエット法)」などとは全くの別物で、三枝氏のメソッドは**「呼吸の長さ(時間)」をコントロールすることで、肉体の緊張と精神の「エゴ(自我)」を解放し、人間の意識を深い瞑想や覚醒状態(悟り)へとシフトさせるもの**です。
​その核心となる特徴やメカニズムは、主に以下の3つのポイントに集約されます。
​1. 「呼吸の短さ = 窒息・緊張状態」という見立て
​三枝氏の理論では、現代人の多くはストレスや無意識の緊張によって、1回の呼吸サイクル(吸って吐く)が「2秒〜5秒」程度と非常に短くなっていると指摘されています。
この状態は脳や体にとって、いわばマイルドな「窒息状態」。この浅く短い呼吸のままでいると、脳の防衛本能(緊張)が解けないため、どれだけ目を閉じても深い瞑想状態に入ることはできません。
​2. 呼吸の「秒数」を伸ばすことによる意識のシフト
​意図的に1回の呼吸を長くしていくことで、人間の精神状態(意識のステージ)が段階的にシフトしていくとされています。
​1回 10秒〜15秒 の呼吸:
日常の雑念や脳の過緊張が和らぎ、マインドが一段階上がって深い瞑想状態(リラックス)に入りやすくなります。
​1回 45秒 におよぶ超ロングな呼吸:
ここまで呼吸が長く深くなると、通常ではアプローチが難しいとされる**「胸椎起立筋(背中のインナーマッスル)」の慢性的なコリや緊張が完全に消失する**とされています。肉体の緊張が完全にほどけることで、同時に心理的な「エゴ(心のブロックや防衛)」も崩壊し、圧倒的な至福感や深いヒーリング、精神的なブレイクスルーがもたらされます。
​3. 横になって行う「長時間の呼吸ワーク」
​三枝氏の実際のワークショップなどでは、ヨガマットの上に横になり、約1時間という長い時間をかけて深く連続的な呼吸を行うセッションが実践されています。
これは、1960〜70年代にアメリカで発展したトランスパーソナル心理学の変容テクニック(変性意識状態を導くアプローチ)や、インドの伝統的なヨガの修行法を融合させたものです。1時間しっかり呼吸を回し続けることで、脳の血流や意識のフェーズを劇的に変化させ、「目醒め」や「悟り」の感覚をロジカルかつ体感的に引き出していきます。
​💡 まとめ
三枝英彦氏の言う「ロングな呼吸」とは、単なる有酸素運動や部分的な健康法ではなく、**「呼吸の長さを10秒〜45秒へと極限まで引き伸ばすことで、脳と肉体の緊張を強制終了させ、人間の意識を至福や覚醒の領域へと導くための、脳科学ベースの意識変容メソッド」**と言えます。
三枝英彦氏のメソッドにおける「1回45秒の呼吸」の最大の特徴は、一般的なヨガの呼吸法(プラナヤマ)のように**「息を止める(保息・クンバカ)」というプロセスを基本的には挟まない(あるいは極限まで短くする)**という点にあります。
​つまり、基本の構成としては**「吸う」と「吐く」の2つだけで45秒をコントロールする、ノンストップの循環呼吸(コネクテッド・ブリージング)**がベースになっています。
​具体的な時間配分と、そのメカニズムは以下の通りです。
​基本の配分:1サイクル45秒
​基本的には、息を止めることなく滑らかに「吸う」と「吐く」を均等、もしくは吐く息をやや長めに行います。
​吸う(インヘイル): 約 20秒 〜 22秒
​吐く(エキセイル): 約 23秒 〜 25秒
​呼吸の切り替わり目(吸いきった瞬間、吐ききった瞬間)に一瞬の「間」は生じますが、意図的に数秒間も息を止めることはしません。
​なぜ「息を止めない」のか?
​ヨガや一部の気功では「4秒吸って、16秒止め、8秒で吐く」といったように、息を止めることでエネルギー(プラーナ)を体内に満たす技法がよく使われます。しかし、三枝氏のアプローチで息を止めてしまうと、以下のようなデメリットが生じるため推奨されません。
​筋肉の「過緊張」を生んでしまう
息を止めると、どうしても横隔膜や肋間筋、そして三枝氏が重要視する「胸椎起立筋(背中のインナーマッスル)」にグッと力が入ってしまいます。これでは「肉体の緊張を完全に消失させる」という目的が果たせなくなります。
​脳が防衛モード(エゴの強化)に入ってしまう
息を止めると、脳は「窒息の危険」を察知し、警戒アラートを出します。これは自律神経を緊張させ、エゴ(自我)の防衛本能を強めてしまうため、意識の解放(瞑想状態へのシフト)の妨げになります。
​45秒の感覚
​実際にやってみると分かりますが、「止める時間」なしで20秒以上かけて吸い続け、25秒かけて吐き続けるというのは、肺のキャパシティ(肺活量)だけでは不可能です。
​これを可能にするには、胸や形だけの呼吸ではなく、全身の力を完全に抜き、「細胞全体が膨らみ、細胞全体が縮んでいくような感覚」、あるいは**「エネルギーの波に体が乗っているような感覚」**まで肉体を弛緩させる必要があります。
​息を止めずに、まるで円を描くように滑らかに「吸う」「吐く」を45秒かけて循環させるからこそ、脳が「完全に安全である」と判断し、深い至福感やエゴの崩壊といった変性意識状態(トランス状態)が引き出されるのです。