東大の理系数学で8割以上(120点満点で96点以上)を目指すには、基礎から応用、そして東大特有の思考力を鍛える参考書を段階的に使いこなす必要があります。以下に、初級から上級までの参考書を順次挙げ、それぞれの特徴や使い方について解説します。なお、東大理系数学は全6問で各20点と仮定されることが多く、96点以上は「5問完答+残り1問で部分点」を目指すイメージになります。

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### 初級:基礎固め
#### 1. 『チャート式 基礎からの数学』(青チャート)(数研出版)
- **対象レベル**: 偏差値40〜55程度、教科書レベルから入試基礎まで
- **特徴**: 数学Ⅰ・A・Ⅱ・B・Ⅲを網羅した定番参考書。例題が豊富(約2000題)で、基本的な解法パターンを体系的に学べる。レベル1〜4まで難易度が分かれており、初級者はレベル1〜2を中心に進める。
- **使い方**: まずは例題を解き、解説を熟読して解法を理解する。東大では基礎的な計算力や論理展開が求められるため、計算ミスを減らし、基本公式の導出を自分で説明できるようにする。1周目は時間をかけて丁寧に進め、数Ⅲの微積分までカバーする。
- **東大での意義**: 東大数学は一見難しそうでも基礎解法で解ける問題が含まれる。青チャートで解法のパターンを体に染み込ませれば、標準問題を確実に取れる土台が築ける。

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### 中級:入試標準レベルへのステップアップ
#### 2. 『1対1対応の演習』(東京出版)
- **対象レベル**: 偏差値55〜65程度、入試標準レベル
- **特徴**: 数学Ⅰ・A・Ⅱ・B・Ⅲを分野別に扱い、1題ごとに詳しい解説がついた問題集。青チャートより難易度が上がり、応用力が試される良問が揃っている。問題数は厳選されており、効率的に実力をつけられる。
- **使い方**: 青チャートで基礎を固めた後、類題演習として活用。1問を解いたら解説を読み込み、別解や思考過程をノートにまとめる。東大では記述力が重要なので、「なぜこの解法を選んだか」を言葉で説明する癖をつける。
- **東大での意義**: 東大理系数学では、微積分や確率、数列などの融合問題が頻出。この本で分野ごとの標準解法をマスターし、複数の解法を比較する力を養う。

#### 3. 『Focus Gold』(啓林館)
- **対象レベル**: 偏差値55〜65程度、入試標準〜やや難
- **特徴**: 青チャートと似た網羅系だが、解説がより丁寧で、東大志望者にも人気。章末問題には難易度の高いものも含まれるため、中級から上級への橋渡しに最適。
- **使い方**: 例題と基本問題を一通りこなし、章末の★マーク付き問題で実力を試す。東大頻出の「確率漸化式」や「複素数平面」の問題に慣れるため、関連分野を重点的に取り組む。
- **東大での意義**: 東大では標準問題を落とさないことが鍵。Focus Goldで幅広いパターンを押さえ、解ける問題を確実に増やす。

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### 上級:東大レベルへの仕上げ
#### 4. 『理系数学 入試の核心 難関大編』(Z会出版)
- **対象レベル**: 偏差値65〜70程度、難関大レベル
- **特徴**: 東大を含む難関大の入試問題を意識した問題集。標準〜やや難レベルの問題が中心で、東大の「解法が見えにくい問題」への対応力を鍛えられる。解説は論理的で答案作成の参考になる。
- **使い方**: 1問30分程度考え、解けなければ解説を読み込む。東大では思考力と記述力が求められるため、解けた問題も「採点者が読みやすい答案」を意識して書き直す。微積分や図形問題に注力。
- **東大での意義**: 東大理系数学の6問中、3〜4問は標準〜やや難レベル。この本で解法の引き出しを増やし、確実に完答できる問題数を増やす。

#### 5. 『上級問題精講』(旺文社)
- **対象レベル**: 偏差値70以上、東大・京大レベル
- **特徴**: 東大や京大などの最難関大向けに厳選された難問が収録されている。解説が丁寧で、別解も充実。問題数は多くないが、1問1問が深い思考を要求する。
- **使い方**: 時間無制限で1問にじっくり取り組み、解法を複数模索する。東大の過去問でつまずいた分野(例: 整数問題、複素数平面)を補強する目的でも使用可。答案を清書し、論理の流れを意識。
- **東大での意義**: 東大の難問(例: 確率漸化式や多変数関数)を解く力を養う。8割を目指すなら、難問を1〜2問攻略する実力が必要。

#### 6. 『鉄緑会 東大数学問題集』(鉄緑会)
- **対象レベル**: 偏差値70以上、東大特化
- **特徴**: 東大受験指導で有名な鉄緑会が編纂した過去問集(40年分)。問題と詳細な解説に加え、東大の答案作成例も掲載されており、本番形式に慣れるのに最適。ただし高価。
- **使い方**: 過去10〜15年分を優先し、時間を計って解く(150分で6問)。部分点狙いの記述練習も行い、模範解答と比較して改善点を洗い出す。頻出分野(微積、確率、数列)を重点的に。
- **東大での意義**: 東大理系数学の傾向(融合問題、論証力重視)を直に体感でき、8割超えに必要な「本番力」を養う。

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### 補足:演習の進め方と注意点
- **段階的進行**: 初級→中級→上級の順で進め、各段階で「解ける問題が増えた」と実感できるまで繰り返す。焦って上級に飛びつくと挫折する可能性がある。
- **過去問との併用**: 上級段階では『東京大学 過去問25カ年』(教学社)も活用し、実際の出題形式に慣れる。10年分を完璧に解ける状態を目指す。
- **時間配分**: 本番は1問25分程度が目安。難問を見極め、解ける問題から確実に仕留める戦略を立てる。
- **記述力強化**: 東大は部分点が重要。計算過程や論理展開を丁寧に書く癖をつけ、自己採点で減点ポイントを減らす。

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### 結論
東大理系数学で8割以上を取るには、**青チャート**で基礎を固め、**1対1対応**や**Focus Gold**で標準レベルを押さえ、**入試の核心 難関大編**と**上級問題精講**で応用力を磨き、**鉄緑会 東大数学問題集**で本番力を仕上げるルートが効果的です。この流れで進めれば、5問完答+部分点の96点以上が現実的な目標となります。地道に積み重ね、思考力と記述力をバランスよく鍛えてください。