「君、最近ちょっとたるんどるんじゃないかね!」なんて上司に怒られたことのある方。程度にもよりますが、それは必ずしも悪いことではないかもしれません。

「たるみ」や「ゆるみ」を英語では「スラック(Slack)」と言います。なんとなく良くない言葉のようにも聞こえますが、経営学でスラックは逆に必要なものとされています。

経営学におけるスラックとは、余剰資源を意味します。資源とはヒト、モノ、カネ、そして情報です。それらがすべてフル活用されている状態が、スラックのない状態、言い換えれば、まったく無駄のない経営ですね。

しかし、企業を取り巻く環境は激しく変化します。今やっているビジネスが明日通用する保証はありませんし、その時にある程度のスラック、つまり余裕がないとその変化には対応できません。

次々にヒット商品を出すことで有名な3Mという会社は、将来を見据えて「余裕」を持った経営をしている代表的な会社です。ポストイット(付箋)の会社ですね。

この会社には「15%ルール」というのがあり、就業時間の15%は今やっている仕事以外の目的で使っていいことになっています。仕事とはまったく関係のない趣味に費やしてもいいそうです。

その15%の時間に生まれたアイデアは、現在のビジネスとは関係のないものかもしれません。しかし、将来のビジネスへと結びついていく可能性があるということですね。

まさに「余裕」です。ヒトという貴重な資源を現在のビジネスにフル活用するのではなく、あえて「たるみ/ゆるみ」の時間を与えることによって、将来の可能性を探っているんですね。

企業においてスラックは、将来の柔軟な戦略を支えたり、想定外のショックを和らげる緩衝材になったりします。

人間もどこかに余裕を持っていないと、視野が狭くなったり、ちょっとしたことでイライラしたりしますよね。ある程度の余裕を持って仕事ができれば、会社も自分自身も幸せかもしれません。

ただ、「たるんどる!」と叱られるほど余裕を持ってしまうと、ショックを和らげる緩衝材候補、つまりリストラ候補になってしまう可能性もあります。

サボるならうまーくサボってくださいね。
彼(彼女)には30万円貸しています。すべてパチンコで消えました。デートでもお金を出すのは、もちろんあなたです。

あなたはもう疲れ果てています。こんな男(女)になぜ捕まってしまったのか。毎日そんなことを考えています。

今日も「明日2万必要だから貸してくれ」と言われました。断ればおそらく別れることになり、先の30万やデート費用は帰ってこないでしょう。だってダメ男(女)ですから。

さて、あなたならどうする?


「埋没コスト」というのをご存知でしょうか。これは「すでに払ってしまっていて回収できないカネは、新たな意思決定を行う際には無視しましょう」という考え方です。

たとえば、新製品の開発にこれまで10億円つぎ込みましたが、今のところ成果は出ていません。開発者は「あと5億円あれば製品化できる」と言っています。

この時「5億円の予算をつけるべきかどうか」という意思決定に対して、すでに払ってしまった10億円の開発費は関係ありません。返せといっても、開発者がすでに使ってしまいましたから。これが埋没コストです。

今回5億円払うことによって完成する(はずの)製品が、5億円以上の収益を生む可能性があるのであれば投資すべきですし、そうでなければ開発を終了させるべきです。

さて、ダメ男(女)の場合はどうでしょうか。すでに貸している30万円や払ってしまったデート費用は、このまま付き合おうが別れようが返ってこないでしょう。ダメ男(女)ですからね。これは埋没コストです。

30万円やデート費用がもったいないから付き合い続けるというのは、合理的ではありません。明日2万円を貸すことで、あなたが今後それ以上の満足を彼(彼女)から得られるのであれば、貸してもいいですし、そうでなければ別れましょう。

ま、企業の場合も、男女の場合も、そう簡単にはあきらめられないというのが現実でしょうけど・・・