【TSP エルキャッチャー】
〈ラージボール用表ソフトラバー〉
黒 (特厚 2.0mm〜2.2mm)
サイズ 縦174mm×横169mm
パッケージ開封前 59.4g
全開封後 36.2g
カット後重量 27.1g (縦162mm×横160mm) 
※シェークラケットの寸法で、接着剤の重量は含まない。
重量比 0.748 (27.1g÷36.2g)

〈シート厚〉
ベース 0.3mm程
粒の高さ 1.2mm程
(円柱部分 0.5mm程)
(台形部分 0.7mm程)
トータル 1.5mm程

〈スポンジ厚〉
1.8mm程

〈シート+スポンジ厚〉
1.5mm+1.8mm=3.3mm

〈粒形状〉
粒の高さ 1.2mm程
粒直径 1.7mm程
アスペクト比 0.705程
円柱+台形

〈粒間隔〉
縦 1.188mm程
横 3.264mm程
斜め 1.175mm程
合計値 5.627mm程 (やや低め)

〈粒配列〉
縦目

〈粒表面の布目〉
あり

〈TSP公式の性能数値〉

【ラージボール使用時】
スピード 10.00
スピン 10.00
スポンジ硬度 20±3
戦型の区分 オールラウンド

【硬球使用時】
スピード 4.25
スピン 3.25
スポンジ硬度 20±3
戦型の区分 変化攻撃・カット+ショート


(フリースペース①)
TSPから販売している
ラージボール用表ソフトラバー。
セルロイド製硬式40ミリボール対応ラバーでもあり、昔のカタログには硬球使用時のスピード値とスピン値が記載されていましたが、2020年のカタログには硬球使用時の性能数値は記載されていない。

ラージボール使用時はソフトなシートとスポンジを組み合わせた、コントロール性能の良いラバーとして扱われている。

硬球使用時はナックル性の球の繰り出しやすさや台上の返球のやりやすさ、反発性の低さ、カットコントロールの性能の良さを売りにしており、同社の変化系表ソフトのミリタルIIやミリタルII(OX)よりもスピード値が低い。(ミリタルII→スピード値5.00。ミリタルII(OX)→スピード値4.50)

粒の高さは1.2mm程で、硬式では半粒として扱われるくらいの高さ。
粒形状は円柱+台形ですが、台形部分のほうが若干広め。
また台形部分の内角が55度くらいに見える程の低さの為、粒の根元付近はあまり細く見えない。
円柱部分の粒直径は1.7mm程。
粒配列は縦目。

粒間隔の合計値はやや低めで、粒間隔はやや狭め。

(特厚スポンジは2.0mm〜2.2mmの数値となっておりますが、1.8mm程の個体が届く。)

【注意】
※検証結果に関してはプラスチック製硬式40ミリボール(40+)使用時のデータのみ記載。
※プラスチック製44ミリラージボール(44+)使用時のデータは未記載。


①シート硬度及び粒硬度 4.5 (ほんの少し柔らかめ)
シート部分のゴム質はほんの少し柔らかめと思いました。

②スポンジ硬度 1.5 (柔らかい)
TSP基準日本硬度20°±3の柔らかいスポンジ。
少し気泡がある、ホワイトグレースポンジ。

③シート+スポンジ硬度 2.5 (柔らかめ)
1.8mm程のスポンジ入りでの測定。
シートとスポンジ共に柔らかさがあり、
全体硬度や打球感も柔らかめとなっている。

④粒の曲がりやすさ 6 (少し曲がりやすい)
粒間隔はやや狭めですが、
粒の円柱部分と根元付近が稼働しやすく、スポンジのめり込みも起きる為、粒が潰れを起こしながら曲がる。
軽い力でも粒の円柱部分が45°以上稼働してくれる。
ブログ内の基準では粒は少し曲がりやすい領域に収まる為、評点は6点に。

⑤総重量 3.5 (やや軽め)
1.8mm程のスポンジ入りでの測定。
厚いスポンジを入れても総重量はやや軽めの数値が出た為、評点は3.5点に。

⑥特性分類値
防御特性 1.5 (表ソフトに近い)
回転特性 1.5 (表ソフトに近い)
総合特性 3 (やや表ソフト寄り)

〈評点の目安〉
評点0→ほぼ表ソフト
評点5→表ソフトと粒高の中間
評点9→ほぼ粒高に近い
評点10→ほぼ粒高

【ラージボール用のラバーは総合特性が0.5点〜9.5点(半粒として扱える領域)のラバーと、総合特性が0点(ショートピンプルの表ソフトとして扱える領域)のラバーの2種類の分類に分かれると思われる。エルキャッチャー(特厚)の場合は総合特性が3点の為、ブログ内では半粒として扱える領域のラバーと判断

〈防御特性〉
回転影響に関しては
粒はほんの少し柔らかめで、全体硬度も柔らかめのラバーにボールが結構引っ掛かる感じがあり。
相手の回転の影響は、ショートピンプルの表ソフトに近いくらい受けやすいと感じましたので、
防御特性の評点は1.5点にしました。

(この項目は①回転影響の受けにくさ②粒の変形のしやすさ③粒の硬度の3つを見た上で、表ソフト寄りか粒高寄りか判断している項目です。)

〈回転特性〉
上手く力を伝える事が出来れば、
ショートピンプルの表ソフトに近いくらいの回転をかける事が出来ると感じましたので、回転特性の評点は1.5点にしました。
ラバーの球持ちは良く、
回転発生の成功率もかなり高めな為、自分から回転を作りやすい。
(この項目は最大回転量の体感的な多さから表ソフト寄りか粒高寄りか判断している項目です。回転自体のかけやすさは評点材料にしていませんが、文章として載せております。)

〈総合特性〉
相手の回転の影響はショートピンプルの表ソフトに近いくらい受けやすいですが、最大回転量もショートピンプルの表ソフトに近いくらいの回転量を作れはする。
総合的に見ると、同社のミリタルII(中)と同じくらいの、やや表ソフト寄りくらいの総合特性と感じましたので、総合特性の評点は3点にしました。

(※この項目は人によってかなり個人差のある項目で、その人の感覚により評点にばらつきの出やすい項目です。ラバーのどの特長を重視して表ソフト寄りか粒高寄りか判断するかでその数値は大きく変わります。)
(エルキャッチャーの場合は私個人の感覚だけでの判断では3点。私以外の方がどれくらいの点を出すかを判断したら1〜5点くらいかなと思いましたが、ブログ記載用の評点は3点にしました。)

⑦難易度 7.5 (比較的扱いやすい)
このラバーの特徴としては
◆ラージボール用表ソフトラバーである。
◆シート処方及び粒硬度はほんの少し柔らかめ。
◆スポンジ硬度は柔らかい。
◆粒間隔はやや狭め。
半粒として扱える領域のラバーとしては、弾みは少し弱めで、飛距離の伸びは出やすいタイプではない。
◆ボールの減速はまずまず効かせやすい。
◆打球感は柔らかめで、衝撃減衰効果も高い。
◆球離れは遅めで、球持ちが良い。
◆シートの引きつれが起きやすい影響か、回転発生の成功率はかなり高め。
◆弾道は結構弧線弾道気味になりやすく、弧線は作りやすい。
◆ボールの軌道のブレは少し生じにくい。
【防御特性 1.5】相手の回転の影響は、ショートピンプルの表ソフトに近いくらい受けやすい。
◆粒表面の引っ掛かりは良く、ボールの不可解な滑りが発生しやすいタイプではない。

等の特徴があると思います。

半粒として扱える領域のラバーとしては、弾みは少し弱めで、飛距離の伸びは出やすいタイプではない。
ボールの減速はまずまず効かせやすい。

弾道は結構弧線弾道気味になりやすく、ラバーの高弾道性の強さは結構強め。また、弧線も作りやすい。
ボールの軌道のブレは少し生じにくい。

相手の回転の影響は、ショートピンプルの表ソフトに近いくらい受けやすい。

相手の回転の影響はショートピンプルの表ソフトに近いくらいの受けやすさはあるものの、
回転影響以外では使い手に優しい特徴も多く、
球離れは遅めで球持ちは良く、衝撃減衰効果も高く、
ラバーの高弾道性も結構強め。
ボールの軌道のブレも少し生じにくいですし、ボールの減速もまずまず効かせやすい。

表ソフトラバーとしては比較的扱いやすく、ラバー全体の相対で見ても比較的扱いやすいと思いましたので、
難易度の評点は7.5点にしました。


(フリースペース②)
ボールの球質や変化に関しては
【変化の強さ 6】
ただボールを当てるだけだと相手の回転はやや残りにくく、ややナックル気味の球質になりやすいと思います。
勝手に強いスピン反転をするような変化が起きやすいタイプではなく、
変化は表ソフトラバーとしては少し弱い。

また、ボールの切る切らないの違いを出すにはインパクトの工夫が必要になるとは思いますが、
自分から回転を作る際の回転発生の成功率はかなり高めで、自分から回転を作りやすい為、軽く回転をかけようとしただけでも自分から作った回転がボールに乗りやすい。


(簡易まとめ)
TSPの
ラージボール用表ソフトラバー。
ラージボール使用時はソフトなシートとスポンジを組み合わせた、コントロール性能の良いラバーとして扱われている。
(ブログ内ではプラスチック製硬式40ミリボール(40+)使用時のデータのみ記載。
※プラスチック製44ミリラージボール(44+)使用時のデータは未記載。)

粒の高さは1.2mm程で、
粒形状は円柱+台形(台形部分のほうが若干広め。)
粒直径は1.7mm程。
粒配列は縦目。
ほんの少し柔らかめのシートに
柔らかくて厚いスポンジを組み合わせたラバー。

エルキャッチャー(特厚)は
プラスチック製硬式40ミリボール(40+)使用時は、半粒として扱える領域のラバーとなっている。
総合特性の評点は3点の為、
ややショートピンプルの表ソフト寄りのカテゴリに収まると思いました。
(同社のミリタルII(中)と同じくらいのカテゴリに収まると判断)

ショートピンプルの表ソフトに近いくらい相手の回転の影響を受けやすい面はあるものの、
ラバーの扱いにおいては使い手に優しい特徴も多く、
半粒として扱える領域のラバーとしては弾みは少し弱めですし、ボールの長短の調整もやりにくいタイプではない。
また、
ボールの軌道のブレは少し生じにくく、
球離れも遅めで球持ちも良く、
衝撃減衰効果も高く、
ラバーの高弾道性も結構強め。

変化は表ソフトラバーとしては少し弱いと思いましたが、
自分から回転を作る事はかなりやりやすく、最大回転量もショートピンプルの表ソフトに近いくらいは達していると思われる。

ラージボール使用時は未検証ではありますが、
プラスチック製硬式40ミリボール(40+)使用時は、表ソフトの中でも、比較的扱いやすいラバーとなる性能を持っていると思いましたし、ラバー全体の相対で見ても比較的扱いやすいラバーとなっていると思いました。
回転の作りやすさやボールコントロールの良さや、結構強めの高弾道性も特徴的ですし、半粒のカテゴリ内のラバーと比較した場合も、回転発生成功率とコントロールの良さと高弾道性の強さに優れている。

2020年、
TSPの変化系表ソフトラバーのミリタルIIが廃番となりましたが、
エルキャッチャー(特厚)はミリタルII(中)とカテゴリは似ていると思いましたし、ボールコントロールはミリタルII(中)よりも優れていると感じましたので、
エルキャッチャーはプラスチック製硬式40ミリボール使用時においても、
ミリタルIIが抜けた穴を埋めれる能力が備わっていると思いました。

エルキャッチャーはラージボール用ラバーであると共に、セルロイド製硬式40ミリボールにも対応したラバーではありましたが、個人的にはプラスチック製硬式40ミリボール使用時においても、スピンやコントロールには問題はないと思いましたので、使用球が完全にプラスチック製に変わった2015年以降でも、硬式対応として扱える能力は十分備わっていると思います。

やや表ソフト寄りの半粒として用いた場合、半粒のカテゴリ内のラバーと比較しても、上位クラス〜上限クラスに入る程の能力を備えている力作と評価出来ると思いましたので、廃番になってしまったのは半粒のカテゴリにとって大きな損失となってしまっていると位置付け。
廃番になってしまった事が非常に悔やまれる一品として評価する基準に達するラバーとなっている。