『舞の無くしもの』リアクション | アヅキ・バルの夢の中

アヅキ・バルの夢の中

気が向いたらぷちSSとか上げるかもしれません。

『舞の無くしもの』


5月某日―ミステリ研究会部室―

「それじゃ、今日のミス研のミッションは、舞のストラップの捜索ね」
 椅子から立ち上がったブリジット・アーチャーが部室の窓側を背に高らかに宣言した。
 それは、とある5月の放課後のこと--
 事の発端は、ミステリー研究会の代表であるブリジットの友人橘舞が鞄につけていた猫のストラップを紛失したことだった。
 そこで、妹からのスイス土産に貰ったというその大切なストラップを、ミス研で捜索しようということになったわけだ。
 決して暇だったからとかそういう訳ではない。
「皆さん、よろしくお願いします」
 ブリジットの隣で同じく立ち上がった橘舞がメンバーたちに深く低頭する。
「まぁ、大船に乗った気で任せておきなさいって」
 ブリジットの金髪ウェーブが窓から差し込む陽光を浴びて輝いて見える。
 胸を叩いてみせる姿はいつも通り自信に満ちている。
 その自信の根拠がどこにあるのかは誰も知らない。
「探すとして、まずどこから探しましょうか」
 ブリジットの宣言が終わって再び着席するのを待ってから、1年のマーガレット・ライカ―が改めて室内に集まっていたメンバーの顔ぶれを眺めながら言った。
 ここで少しミス研メンバー+αついて説明をしよう。
 まずはミス研の代表である2年生のブリジット。
 両親はアメリカ人、生まれはアメリカのサンフランシスコだが育ちは日本の神戸。
 続いて、ミス研創設期の初期メンバーである地元寝子島の魚屋魚新の倅、ちくわの似合う男、新井すばる。
 知的な眼鏡美人神野美野梨。

 メイド服もとても似合うと一部の層から好評だ。残念ながら今はメイド服ではないが…
 そして、一年生の西園りの。
 彼女はミス研が最近参加したイベントぐらぐらのメイド喫茶では客として来店していた。
 すばるの知り合いでもあり、ミステリ研究会の中でもっとも最近加入しメンバーでもある。
 ニューフェイスというやつだ。
 ところで、本人、暗記系とかは苦手らしい。
 ミステリー研究会という類の会には不向きにも見えるが、それ以上に好奇心旺盛で物語が好きというミス研にウェルカムな特性を持っている少女である。むしろ、それさえあれば十分ともいえる。
 そして、今回の依頼人(ブリジットのいうところの)である橘舞はミス研の部員ではなく、部外者である。
 舞は京都の旧家橘の出身、いわゆる良家の令嬢だが、双子の妹が京都を離れて寝子校に入った為、心配になってその後を追って寝子島にやってきた。シスコンと言われたらそれまでだ。
 そして最後になるが、マーガレットは、ブリジットや舞が通っていた京都の女学校の後輩でもある。
 両親はイギリス人。
 母親はイギリス貴族の出だが、本人は京都育ちである。
 先輩である舞を敬愛するあまりに高等部に進まずに寝子島にやってきたらしい。やっぱり変わり者である。
 以上6人。

(エーデルワイスの歌詞通りなら…)
 と、マーガレットの発言を聞き流しつつ、この時新井すばるは考えていた。
 歌詞通りなら舞さんの胸の中にあるのかも…
 舞が失くしたストラップは、舞の妹である千歳がスイスの土産に買ってきたもので、エーデルワイスの花と猫を描いたプレートが取り付けられたものと説明を受けていた。
 エーデルワイスの語源はドイツ語のエーデルヴァイスであり高貴な白を意味する。
 すばるがエーデルワイスの語源を知っていたかは不明だが、白色を好む旧家の令嬢の舞にはまさに相応しいチョイスである。
 余談であるが、日本でも親しまれている有名な歌『エーデルワイス』はミュージカル「サウンド・オブ・ミュージック」の中で登場人物のオーストリア軍人が祖国オーストリアがドイツに併合されたことを悲しんで歌う作中歌である。
 歌詞がオーストリアを讃える内容であったこともあって、オーストリアの民謡と誤解する人も少なくなかったという。
 日本では、エーデルワイスがスイスの国花であることからスイスの歌と思われがちだが、これもやまり正しくない。
 さて、ここで、すばるの視線が自然と舞の胸元に注がれる中、それを目ざとく見つけたマーガレットが殺気を孕んだ視線をすばるに向けていたことも記しておく。
「普通に考えれば教室が一番怪しいかしら」
 神野美野梨の発言でマーガレットの死線もとい視線がすばるから外されたのは、彼にとって幸いであった。
「うんうん、鞄なんて教室に置きっぱなしだよね。だから、鞄を動かすタイミングで落ちちゃったんだと思うの」
 と、西添りのが私も同じ考えとばかりに椅子から少し腰を浮かせる。
 彼女にとってはこれがミス研での初仕事でもあり、気合いが入っているようだった。
「廊下でパンを咥えて走っててイケメンとぶつかったとかそういうイベントがあったなら話は違ってくるけど」
 そんなことはないだだろう…
 その発言に舞も怪訝そうに少し小首を傾げた。
「いえ、お弁当は和食でしたので…」

「和食派なんだ。確かに先輩、洋食より和食って感じだよね」

「いえ、そうでもないですよ。昨日のお弁当はサンドイッチでしたし、だいたい和洋半々ぐらいですかね」
「いやいや、そういう話じゃなくて…そもそもパン咥えて走っててイケメンとぶつかるとか、ラブコメじゃないんだから」
 二人のやり取りにブリジットが呆れたように嘆息し、オーバーアクション気味に両肩を落としてみせる。
 こういうところはやっぱりアメリカンなブリジットである。
 もっとも、教室にあるのではという見解に関しては、彼女も反対しなかった。
「そうね、舞って結構抜けてるところあるから…あんがい机の下にコロッと落ちているとか十分考えられるわね」
「そのような物言いは、少し舞さんに対して失礼ではありませんか?」
 他の人ならここはおっとりしているとかオブラードで包むところだろうが、ブリジットは包まない。
 敬愛する舞への侮辱と受け取ったらしいマーガレットが食ってかかろうとするのを、まぁまぁと美野梨が手で宥める。
「ここで話しているだけじゃ見つらないわ。まずは皆で舞さんの教室に行ってみない?」
 反対する者もなく、ミス研一行は舞の教室に移動するべく、おのおの座っていた椅子から立ち上がって出口の扉に向かう。
 一人を除いて…
「ちょっと、すばる、あんたはどうして呑気に椅子に座ってんのよ?」
 どうした訳か椅子に座ったままのすばるに、ブリジットが扉口で立ち止まって振り返った。
「ボクはみんなの為にお茶を用意しておくよ。ちょっと思うところもあるしね」
 ウィンクしてみせながらすばるは、そんなことをさらっと言ってのけたのだった。


同日―2年1組教室―

 結局すばるを一人部室に残して一行はまず舞の教室である2-1に向かった。
 重点的に探すポイントは舞の机の周辺と後ろの棚。
「ないわね」
「こっちにも見当たらないですね」
 しかし、見つからない。
 机の周辺の床をチェックしたブリジットに、後ろの棚を確認していた美野梨が、首を横に振る。
「むぅ…机の中何も入ってない」
 舞の机の中をチラ見したりのは奇麗に片付けられている机の中を見てがっくりとなっていた。
「教室には…なさそうですね」
 少し申し訳なさそうに舞が首を垂れる。
「大丈夫ですよ。きっと見つかります。いえ、見つけます」
 落ち込んだ様子の舞をマーガレットが励ますのを横目に、念のため、教室に残っていた生徒にも確認したが、誰もそのようなものをみていないということだった。
「誰も見てないし、教室にないとなると、やっぱり廊下かしらね。舞、何か覚えてることとかないの。誰かと廊下でぶつかったとか?」
「そういうことはなかったですね」
 それはさっき部室で私が聞いたのと大差ないんじゃ…とブリジット舞の会話を聞いていたりのは心の中で思った。
 舞がパンを咥えているか、ぶつかるのがイケメンかどうかの違いだろう。
 でも…教科書とかノートなんていちいち持ち帰らないと思ったけど、違うんだ…
 持ち帰らない派の彼女は、皆そうだと思っていたようだ…
「残念だなぁ。ぜったいに教室に落ちているとおもったのにぃ」


―同日1階廊下―

「マーガレットちゃん、何をしているの?」
 廊下の床に視線を落としながらうろうろしているクラスメイトを見つけた南雲秋月は、おーいと手を振りながら走り寄った。
「秋月さん、いえ、実は…」
「なるほど、マーガレットちゃんの先輩の無くしものですか。私にも妹がいるので、その気持ちはわかります。よかれば私も協力しますよ」
 秋月は三人兄妹の真ん中で、妹がいる。
 妹からもらったものを無くしたとか、それは凹みますよね。
 ここはマーガレットちゃんに協力してあげましょう。
「おぅ、マーガレットじゃないか、何してんだ」
 響蒼留人が、顔見知りのマーガレットを廊下で見つけて声をかけたのはこの時だった。
 会話を遮らえる形になったマーガレットが振り返って蒼留人を見る。
 体育科である蒼留人は、普通科のマーガレットとはあまり接点がないように見えるが、偶然にも入学式の時言葉を交わす機会があって、それ以来何かと縁がある。
 どれぐらいの縁かと言えば、二人で腕組みして登校するぐらいだ。
 まぁこれはろっこんの暴走で困った状況に追い詰められた二人が、肉を切らせて骨を断つ的な判断をした結果であって、二人の間に別に甘酸っぱい関係が有るわけではない。
 ところで、このマーガレット、実は蒼留人が何よりも関わりなくない姉と同じBL好きの腐女子であったが、悲しいかな、彼はまだその事実を知らない。
「響君?そうだ、時間ありますよね。ちょっと響君も手伝ってもらえませんか?」
「も?手伝うって何を?」
 横にいる女子は蒼留人の知らない子だったが…こっちの時間があるのは確定なのか、と蒼留人は心の中で思った。
 確かに急いでいたりしたら声などなけないだろう。
 マーガレットの話を一通り聞いた蒼留人は、
「マーガレットの先輩の落とし物か。探してやってもいいぜ。一応念の為聞くけど、落とし物として届いてるってことはないんだよな?貴重品ってことでもないなら先生のところには届かないだろうが」
「そうですかね?校内の取得物は基本的に教師のところに持っていくと思いますよ?どうなんでしょうか?」
 蒼留人の言葉に秋月が首を傾げながら、マーガレットを見た。
 どうなんでしょうか?は教師に確認したのかという意味と受け取ったマーガレットは「そういえば、そこは舞さんに確認していなかったですね」と答えた。
 落とし物として届けられていないか確認したかどうかは舞から聞いてない。
「あるいは、ゴミ箱に捨てられたとか。校内美化に気を使う人たちはそれなりにいるみたいだし」
 廊下に置かれていたゴミ箱に視線を送りながら蒼留人が言った。
 この間もなんか雑巾がけレースとか行われていたろ、と続ける。
「なんかやっていましたね、雑巾がけレース。でも、ゴミ箱ですか?ゴミ箱を漁るのは避けたいところですね。念のため職員室に届いていないか聞いてきましょう。誰かが見つけて届けている可能性はありますし」
 その後、3人は確認の為に職員室を訪ねたが、いい結果は帰ってこなかった。
 また、ゴミ箱という線は早々に消えた。
 というのも、金属のプレートは燃えない為、可燃ごみ用のゴミ箱に入れることは通常はないからだ。
 念の為に、蒼留人が理科室からもってきた磁石をつかってひっつくものがないか調べてみたが、やはり反応するものはなかった。
 靴箱から廊下というルートに、教室。
 考えられる場所は探し尽くしたが…
「ありそうなところは一通り調べたわね」
 やや疲れた表情でブリジットがため息をつく。
「私も校内の猫に聞き込んでみたけど、知ってる子はいなかったわ」
 美野梨は、ろっこんをつかって校内にいる猫に何か見てないか聞いてみたが、これといった情報は得られなかった。
「猫ですか?それはどういう…」
 疑わし気にマーガレットが美野梨をちらりと見た。
 マーガレットは人であるため、ろっこんという能力については理解していない。
 ここでは、ときどきおかしなことが起きるぐらいの認識だろう。
「ああ…ねこみゅっていう猫好きの集まりがあるのよ。そこで誰か見てないか聞いてみたという意味ね」
 ミス研部室に一人残ったすばるからSNSで一度戻ってきてほしいと連絡が入ったのはこの時のことだった。
「ふん、一度戻りましょうか。闇雲に探しても仕方ないわ」
 スマホの画面をのぞき込みながらブリジットが言った。


同日―ふたたびミス研の部室―

「やぁ、皆。戻って来たね。実はちょっと確認してもらいことがあってね」
 捜索を一旦切り上げて部室に戻った一行を前に、切り出したすばる。
 テーブルの上にはすでにティーカップが並んでいる。
 ちゃんとお茶の準備はしていたようだ。
「舞さん、ちょっと鞄の中を開けて中を見てもらえないかな」
「鞄ですか?」
 舞の鞄はテーブルの上に置かれている。
「はい、それはいいですけど」
 戸惑いながらも鞄の中を開けた舞の視線が鞄の中に落ちる。
「あれ?」
 その目が驚きに開かれたのは次の瞬間ことで。
「これ…ありました、ありましたよ。これです!私のストラップ」
 驚きと喜びの合わさった声音で舞が鞄から取り出したのは、まさにエーデルワイスと猫が描かれた…舞の無くしもの。
「ええ!?」
「ど、どういうことなのですか?」
 りのの驚きと困惑したマーガレットの言葉は、たぶんそこにいた者たち気持ちを代弁したものだったろう。
「舞さんは…実は最初から何も失くしてなんかいなかったんだよ。いいかい、よく考えて欲しい」
 その言葉に室内の騒めきを止んだ。
 すでに、すばるは人差し指を立てて顔前に据えたポーズ。
 その姿は、さながらクライマックスで事件の真相を語る名探偵のそれだ。
「まずストラップのリング部分をよく見てほしい。力任せにちぎった感じはない」
 言われてみれば、確かにそうである。
「それに舞さんは途中で誰かにぶつかったりはしてない。そうだよね?」
 そのようなことがなかったことも、質問の仕方は兎も角として、りのが部室にいた時にも確認していた。
 舞とりのが、うなずくのを確認してからすばるはさらに続ける。
「それに鞄を持っている最中に金属のプレートが落下すれば音がする。舞さんが気づかないはずはない。以上を踏まえてボクはプレートは失われた訳ではないと推理したんだ。つまり…」
 一拍の間を置いてから、すばるは真相へと続く言葉を紡ぐ。
「プレートは今も舞さんの鞄の中だとね。チャックを閉めたりするときに巻き込まれてしまった。だから舞さんはそのことに気づかなったんだ」
 その場にいた者たちは、あっ!という表情になった。
「ちょっと…舞…」
 どういうこと?
 呆れとちょっと苛立ちの籠った眼差しでブリジットは舞を見やるが、本人はプレートを慈しむように抱きしめてて、こっちの話などちっとも聞いちゃいない。
「す、すごいよ、新井先輩!本物の名探偵みたい!」
 ポージングを決めたままのすばるを、りのが尊敬の籠った面持ちで見つめ、
「やるじゃない、新井君。お手柄ね」
 美野梨もすばるの名推理に関心している。
「よかったですね」
「それじゃ、これで俺はお役御免だな」
 これは秋月と蒼留人。
 が、しかし、これだけでは納得しない者が、約一名いた。
「あの…ちょっと待ってください。新井先輩、もしかして先に開けて確認されたのですか?」
 マーガレットである。
「えっ?」
 明らかに冷たく不穏な声音に、名推理の余韻に浸っていたすばるが素に戻った。
「ですから、舞さんの鞄を勝手に開けたのですかと…」
「いや…それは…」
 すばるの推理は当たっていた。
 しかし、あまりに自信満々だったのがいけなかった。
 不幸なことに彼の名推理は結果として、女子の鞄を無断で開けて事前にプレートが入っているかどうかを確認していたのでは?という疑惑を呼んでしまったのだ。
 他のメンバーが部屋から出ていた間、部屋にすばる1人しかいなかった。

 つまり、鞄を開けていないことを物証や第三者の証言によって立証することは不可能である。
 これはやばい…かもしれない。
 すばるの脳内スクリーンに危険信号が灯った。
 いままでいろんな危険な目にもあってきたが、これは未体験のデンジャーゾーンかもしれないと。
 あやうし、すばる!
 しかし、弁明の為に口を開こうとするすばるより先に口を開いたものがいた。
「選択肢を消去していって、残ったものがあり得ないように見えても、それが真実に違いない。どこにも落ちてないのなら、最初から落としてない。そういうことですよね、すばるさん」
 発言したのは、プレートを大事そうに胸の前で握っていた舞だった。
「なに、それホームズのパクリみたいなセリフ?」
 独特の言い回しにブリジットが応じる。
「やっぱりバレちゃいましたか。Once you eliminate the impossible, whatever remains, no matter how improbable, must be the truth.有り得ない事を消去して、あとに残ったものが、いかにそれが信じ難い物であっても、真実に違いない、ですけど」

 マーガレットの祖国イギリスの生んだ名探偵シャーロック・ホームズが『緑柱石の宝冠』の中で使った名言の一つである。

 ホームズのセリフをわざわざ原文の英語付きで…これはもうお止めなさいということだろう。

「まぁ、無事に見つかった訳だし、今日のミッションは無事終了ってことで。あと、今回は外部の人にも協力してもらったから、ミス研としてこのまま二人を手ぶらで帰す不義理をするわけにはいかないわ、そうでしょ、マーガレット」

「それは…勿論ですね」
 外部の協力者とは、マーガレットが協力を頼んだ蒼留人と秋月のことだ。

 なおこのやり取りの傍らで九死に一生を得たすばるがほぉっと安堵の息をついていたことも記しておこう。
「一年の秋月さんと響君だっけ?今からお茶するから参加していって頂戴。いいお茶とお菓子を用意してあるから」
「ありがとうございまーす、ブリジット先輩。ご馳走になります」
 さらっと応じる秋月に対して、蒼留人の方は逡巡した。
 急に上級生もいる女子勢のお茶会に混ざれと言われても…年ごろの男の子としては嬉しいけど恥ずかしさが勝るシチュエーションだろう。
 だいたいなんかお茶飲むのに細かい作法とかありそう…
 カップ一つにしても、小ぶりだけど繊細な装飾が施されてて、滅茶苦茶高そう…俺のお小遣いじゃ絶対に買えない類のやつだ…
「いや、俺はそんなつもりで…」
「まさかボクが入れた茶が飲めないなんて言わないでくれるよね」
 辞退しようとする蒼留人に、危機を脱していつもの調子を取り戻したすばるが冗談ぽくウィンクを送ってくる。
 すばるは同じ剣道部の先輩にあたる。
 先輩から言われると厳格な縦社会の体育会系は厳しい。
 蒼留人は一年、上級生であるすばると比べれば、剣道部ヒエラルキーの底辺に位置する存在に過ぎない。
 というか、新井先輩…この女子ばっかりの環境で全く動じないとか何気にすげぇな、と思ったかどうかは、蒼留人だけしかわからないが…
「お菓子もお茶もすごく美味しいよ!」
「だ、そうですよ。遠慮するのはむしろ失礼ですって」
 同じ一年同士の気安さなのか、蒼留人は左右からりのと秋月に挟まれて、机の前に連行されて行く。
「甘いものがダメならいいちくわもあるぞ」
 爽やかな笑みを浮かべて内ポケットからちくわを取り出すすばる。
 それはいらないからさっさと仕舞なさいと、たしなめるブリジット。
 そんなやり取りを聞き流しつつ、お茶菓子を机の上に広げていく美野梨。
 こうして、ある意味いつも通りのミス研の一日は過ぎていくのだった。

 

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 こんにちは、エリザベスです。くどいですね。ぶりきゃっとです。
 まずは、ご参加いただいた皆さんありがとうございました。
 プラシナ久しぶりだったので、ほぼ完成してから、寝かせる時間を長めにとりました。
 今回の顛末については、すばる君の推理が見事だったので、そちらを採用させてもらっています。
 その結果として真面目に校内を探してくれた方々は空振りすることになってしまい申し訳ないですが、まぁ、舞は天然なところがある子なんで許してやってください。
 あと、ガイドのマスコメでアヅキは出ないといったが、あれは嘘だ。
 らっかみ!版アヅキを作ったら偶然マーガレットのクラスメイトになった(1-2)ので、今回友情出演的な感じで登場させてます。
 次はどうしょうよかな。
 日常系かミステリ系かいっそ異世界ファンタジー(だいたいろっこんのせい)もいいかなぁ、とか。
 希望があれば前向きに検討します。
 それでは、今回はこの辺で、ではでは。

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