4話 崖っぷちのヒーロー


2019年12月7日


俺の発明が人を救うだって?この世界の人々を救っただけじゃない、他の世界の命でさえも救えるのか?そう考えると悩みが絶えない。
「聞いちゃダメです!!」
隣で叱るのは張刑事。訳あって一緒に逃げてきた。
「あなたのことはよく知りません。勿論今でも容疑は晴れていませんが、あなたはそんな人じゃないかもしれない。」
この人のこういう曖昧なというか優柔不断というか優しさが刑事ではないように思える。
「優しいんですね。張刑事。」
本心から出た。この人を何がなんでも守らないと。


「戦兔のやつどこいったんだ!!」
これだけ探してもいないってどうなってやがる。
「野暮なことするなって」
「誰だ。てめえ!」
木から降りてきた白い服の男。こいつも財団Xか。
「変身」
こいつ!戦兔の発明を使ってやがる!
「フェニックス!フェニックス!フレアフェニックス!」
また新しいやつか!どんなやつが来ようが俺は負けねえ!
「変身! 極熱筋肉! クローズマグマ!!」
こいつを倒して戦兔を助ける!!
「何でお前が桐生戦兔を助ける?」
攻撃が効いてねえ!てか何言ってやがる!
「全然無実証明してくれなかったくせに、おまけにガラクタばっかり作って生計立てられないのに。」
「それとこれとは関係ねえだろ!!戦兔は俺の最強の相棒なんだよ!」
「それお前だけが思ってないか?」
「どういうことだ?」
「今やお前は馬渕由衣って守りたい人ができたんだぜ?でもあいつには守りたいものがない。空っぽの戦士だぜ。」
「何訳わかんねえこといってんだ!!」
こいつで決めてやる!
「ボルテニックナックル!!!」
「頭悪いな!!」
軽々と避けやがった。何でだ!?
「お前にはあいつは必要ないって言ってるんだよ。」
「何だと!?」
「Ready Go! フレアフィニッシュ!!」
何て強さだ!!


あっちで爆発音が。もしかしたら万丈達が戦っているかもしれない。そう思うと動かずに居られなかった。だが一本の腕が俺を止めた。
「行かないでください。」
振り返ると涙目の張刑事が俺を止めていた。
「どうしたんですか?!」
「悲しすぎます!」
もしかしてさっきの話真に受けたんじゃないかな。
「誰からも必要とされてないなんて。こんな悲しいことないです!」
「あれはやつが勝手に言ったことで。」
必死だった。もしかしたら戦うよりも。女の人が目の前で泣くなんてこんなに免疫ないことかな?美空とか紗羽とか泣いたことあったのにここまで取り繕ったことない。
「最上氏の研究資料を見ました。」
何だって!?
「あなたは仮面ライダービルドとして私達のためにずっと戦ってくれたことや昏睡状態の子供達や原因不明の中毒者の方々を救ったことなど細かく記載されていました。」
最上のやつそんなことまで。よほど研究材料としてビルドが欲しかったのか。
「そんな人が必要とされてないなんておかしいです!もっと感謝されるべきです!」
やっぱりこの人は刑事には向いてないな。そんな資料一つで容疑者の俺に同情するなんて。
「でも俺は容疑者だし...。」
なんとかはぐらかしたかった。見返りを求めたいわけじゃないし、みんなを苦しめたことも事実だ。だから余計にここでは曖昧にしておかないと。
「あなたを見ればそんなことしてない人、いやそんなことしない人だってわかります!!!!」
俺達のやって来たこと、俺の研究がこういう風に活きていると思うとすごく心が晴れた気がした。でも今は。
「ごめん!」
俺は手をほどいた。
「そんなことを一緒にやり遂げた仲間が今大変なんだ。行かないとね。変身。」
「鋼鉄のブルーウォーリア!タンクタンク!」
戦車モードで一気に掛けて行った。



想像以上に手強い相手のようだ。
「うわぁぁぁぁ」
カズミンとサイボーグが吹き飛ばされてた。
「二人とも大丈夫か!?」
「余所見なんかしてていいわけ?」
凄まじい蹴りがクローズに命中した。一気に変身が解けてしまった。
「呆気ないね。」
「目的はビルドだ。余計な遊びはしない方がいい。」
3人の前から立ち去ろうとした。
「待ちやがれ!!!」
カズミンが立ち上がった。
「まだ俺にはこれがある。」
ブリザードナックルを取り出した。
「やめろォォォォ!その状態で使ったらまた消えちまうぞ!!」
「うるせえ!!」
カズミンの怒号が響く。
「戦兔をこのまま黙って連れて行かれてたまるかよ。」
変身しようとしたが吹き飛ばされたローグにぶつかりブリザードナックルは万丈の前に落ちた。
「終わりだよ。お前ら全員!!」
その時万丈がブリザードナックルを持って立ち上がった。
「龍我...お前!」
「戦兔を連れて行かれたくないのは俺も同じだ。だからやらせて貰うぜ。」
その時カズミンも目の前のマグマナックルを持ち立ち上がった。
「ボトルキーン!!Are You Ready?」
「ボトルバーン!!Are You Ready?」
「変身!!」
その時到着した俺は万丈がブリザードナックルを使う瞬間をみた。
「万丈!!!カズミン!!!

「極凍筋肉!! クローズブリザード!!! アタアタアタアタアタァ!!!!」

「激炎心火!!グリスマグマ!!ガタゴトガタゴトガタン!!!」

「力がみなぎる! 」
?何だって?
「筋肉が固まる!!」
「お前ら全然叩き潰す!!!」
「心火のマグマが燃えたぎる!!」
「やれるもんならやってみろ!」
更に戦いが加速した。