改正性同一性障害者法が成立、子が成人していれば性別変更可能

6月10日13時28分配信 産経新聞  


心と体の性が一致しない性同一性障害者の戸籍上の性別変更を認める「性同一性障害者特例法」の改正案が、10日の衆院本会議で可決、成立した。同法で定める性別変更要件が、改正前の「子がいない」から「未成年の子がいない」に緩和された。 


特例法は性同一性障害が社会的についての社会的な理解が進んだことを背景に、平成15年7月に超党派による議員立法で成立。その際、「父である女性」「母である男性」が出現すると、子供が混乱するとの意見があったため、性別変更を認める要件の中に「子がいないこと」が盛り込まれていた。 


しかし、通常は子供が親よりも長生きする。このため、子供がいる性同一性障害者は性別変更をすることが事実上不可能になる上、欧米の法律には同様の規定はないため、「子なし」要件の削除を求める声が性同一性障害者から上がり、与野党が見直し作業を進めていた。

特例法が施行された16年7月から今年3月末までに、840人の性別変更が認められている。




性同一性障害者特例法:改正案が成立 前進でも、心境複雑 

奈良 6月11日17時4分配信 毎日新聞  


◇当事者の森村さん「子なし要件」全廃へ活動継続 性同一性障害者特例法(GID特例法)の改正案が成立した10日、当事者の会社員、森村さやかさん(47)=通称、生駒市=は県庁で記者会見し、「もろ手を挙げてバンザイという気持ちではない。少しでも前へ進んだことは喜んでいるけれど、さみしくやり切れない」と複雑な心境を語った。【高瀬浩平】 


特例法は子どもがいる場合、戸籍の性別を変えることができない「子なし要件」があった。改正によって、未成年の子がいなければ、戸籍の性別を変えることができるようになる。 


森村さんは記者会見にサングラスをかけて出席した。職場の上司は森村さんが性同一性障害の当事者として、活動することに理解を示しているという。それでも他の同僚や関係者、近所の人たちに性同一性障害を抱えていることを告白していない。偏見や差別の影がつきまとっている。 


森村さんは03年7月に特例法が成立した時は「子なし要件」がハードルとなった。今回の改正でも「未成年の子がいないこと」の条件が付いた。義務教育を受けている子どもがいる森村さんは、戸籍の性別を変更できない。 森村さんは「2回も(当事者が)喜んで出て行く船を見送った。こっちに残る人はどんどん減っていく」と、次の法改正に向けた活動への心細さを打ち明けた。自分の望む性で生きることができるようになった人たちが、活動の輪から離れていくのを目の当たりにしたからだ。 


森村さんは06年11月、奈良家裁に戸籍の性別変更を申し立てたが却下された。「子なし要件は違憲だ」と最高裁まで争ったが棄却された。 

記者会見には、GIDと法律の研究者で森村さんを支援してきた大島俊之・九州国際大教授も同席した。大島教授は「最高裁で負けることが重要だった。司法の手段がないことをアピールして立法的手段に訴える手順だった。生駒市議会や広陵町議会が(法改正を求める)意見書を可決し、地方からわき上がった声が、与野党に届いたのではないか」と一連の活動を評価した。 


森村さんは「性別変更の申し立ては小さなことだと思う。ただ、そういう積み重ねが改正につながったと思う」と振り返った。 


森村さんたちは子なし要件の全廃に向けて活動するつもりだ。大島教授も「少しずつやるしかない。欧米の法に子なし要件はない。日本の法を世界のレベルに近づけたい」と意気込みを語った。


6月11日朝刊



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