本を守ろうとする猫の話/夏川 草介
たくさん読むのがえらいのか?
速読であらすじさえつかめればそれでいいのか?
沢山売れる本がいいのだろうか???
登場人物たちは言います。
「それでも私は本が好きだ」と。
読書に正解はないのでしょうね。
人それぞれの読書スタイルというものがある。
それに、効率だけを追い求めるのであれば紙の本なんていらない、
電子書籍だけあればいい。
いや、ネットであらすじを調べるだけでいいのかな。
読書に限らず旅行だって非合理的です。
家のテレビで大画面で、世界中の映像を見るだけである程度満足はできるだろうし、
音楽だって一発ダウンロード、
移動手段だって、もし「どこでもドア」でも出来てしまえば列車も車もいらない。
でも実際はそうじゃない。
あえて紙の本を選び、心地よいソファに腰かけて、
コーヒー紅茶などを片手にゆったりじっくりと文章を味わいたい。
音楽に関してだって、今の若者の間では逆に時代に逆行して、
カセットテープに人気が集まっているそうです。
その過程をゆっくりと味わうことが醍醐味なんだと思います。
先日読んだ「出版翻訳家なんてなるんじゃなかった日記」や、最近読んだ佐藤愛子さんのエッセイでも読んだのですが、
編集者や出版社の方々にとって内容うんぬんよりも売れることが大事、みたいな風潮があるのを感じていた所です。
ブックオフなどでコンビニコミックが大量に陳列されている様子を見ると、なんとも使い捨てにされているような感じがしてしまいます。
本でその場の退屈しのぎさえできればいいみたいな。
実際この「本を守ろうとする猫」の読書メーターのサイトを見ると
「わたしは本は面白ければいいので、この小説は私には刺さりませんでしたー」
といった感想も見かけるのですが、私はしっかりと向き合った本は自分の中で栄養になり、
ふとした時にじわじわとボディブローのように効いてくると思っているのです!!
1人の時、孤独な時、
電車での移動中、病院の待ち時間、ベッドの枕元。
どんな時でも寄り添ってくれるのが本という存在。
スマホの充電がなくなってもパッと開けるのは紙の本(私はスマホのアプリを起動して立ち上げるのが面倒)。
本は登山、本は旅。
その世界に国や時代の縛りはなく、どんな時代のどんな人とでも対話ができるし、
宇宙や異世界の世界に入り込むこともできる。
実生活ではできない体験だし、しかもそれをまた逆に実生活で生かすことができる!
そんな体験を数千円以下で味わえる、こんな媒体なかなかないと思います。
「”何も変わらない”と嘆くだけの無気力な見物人になるでない。
君自身が旅を続けなさい」
といったセリフなど、この本には名言が散りばめられています。
とりあえず今回はこの本を母に送りますが、またいつかこの本を読み返したいと思っています。
作者の夏川草介さんの、本に対する愛が感じられる作品ですよ(⌒∇⌒)
あと、私が読書しててよかったなと思うのが、
仕事のご案内をつっかからないで淀みなく話せるようになったこと。
お褒めの言葉を頂くことが多くなりました。
同僚からは誉められませんけどねf(^_^;)