聞いてもらってもいい?


あのね、

私は保育園で保育士として

働いているんだけど、

 

前に自分が担任していた

年少さんのクラスに、

“まーくん”って呼ばれてる

男の子がいたの。
 

 

まーくんはブロック遊びが好きだったの。

 

いろいろな形のブロックを組み合わせて、

ロボットとか飛行機とか鉄砲とかを

あっという間に作って

私にいつも見せにきてくれてたんだ。
 

 

私には考えつかないものを

同じブロックから次々作ってしまうまーくんを

とてもすごいなぁと思っていたの。
 

 

だからある日、私はまーくんに

「まーくん、建築家になれそうだね!」

って言ったの。
 

まーくんは

「けんちくかってなぁに?」

って、そりゃそうだよね。
 

 

私は

「すてきなお家とか建物とかを考えてたてる人だよ」

って教えたんだけど、

 

まーくんは

「えー、そんなのむりだよー」

って笑って行っちゃった。
 

 

その後もまーくんは

いろいろなものをブロックで作って見せてくれて、

その度に私はたくさんほめながら

 

「まーくんに先生のお家建ててもらいたいなぁ」

 

「まーくんが建築家だったら

この保育園ももっとすてきにしちゃうかもね」

 

なんて言ってまーくんを笑わせてたんだ。

 


月日は流れて、まーくんは年長さんになり、

私はまーくんの担任ではなくなったの。
 

それでもまーくんは私のクラスに遊びに来てくれて、

私とおしゃべりしてくれたんだ。
 

 

そして私はその年妊娠して、

まーくんの卒園を見る前に

産休、育休になってしまったの。
 

 

まーくんはその後無事卒園して

ピカピカの一年生になったんだって。
 

まーくんの卒園式見たかったな~なんて考えてたら、

まーくんの担任の先生が卒園文集を見せてくれたの。
 

私はわくわくしながら見てたんだけど、

まーくんのページを見てびっくり!


「おおきくなったらけんちくかになりたい」
 

まーくん、

私とのおしゃべり覚えててくれたんだ…って

うれしくて涙が出たよ。
 

 

まーくん、先生はまーくんの夢を

ずっとずーっと応援しているよ。
 

自分の好きなこと、得意なことを信じて

大きくなっていってほしいな。