こんにちわ。Windows Vistaの発売からそろそろ1ヶ月が経ちますが、みなさん
はすでにお使いですか?

発売直後からさまざまな不具合が報告され、まだまだOSとして不安定なようで
すが、一般ユーザーの「買い時」っていつなんでしょうか。

「出たものはすぐ買え」「そこそこ安定する"SP1"までは待て」「XPで不便がな
ければ1~2年後の"SP2"まで買う必要なし」など、いろいろな意見があるようで
すが、読者の皆さんもご意見があればお寄せください。

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CONTENTS
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【1】翻訳ワンポイントレッスン ~「数と比較の正確な表現」
【2】今週のコラム ~ 「ナンバーズ」

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【1】 翻訳ワンポイントレッスン
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★数と比較の正確な表現―日本語の慣用表現との妥協が必要

コンピューター関連の文書では、具体的に数を数える場合や、対象物の個数が
問題になる場合には「ファイルが一つ削除され、三つ残りました。」のように
は書かず、「1 つ」、「3 つ」のようにアラビア数字を使います。ただし、「
五、六」、「百数十万円」などの概数や、「一時的に」、「四隅」などの慣用
表現は例外です。

また、「二重処理」のように、具体的な数と見なすかどうかの判断が微妙にな
る場合には、数字表現の使い分けをあらかじめ決めておく必要があります。英
語の or more や or less は、日本語の「以上」、「以下」に相当しますが、
one or more は、「1 つ以上の」となって日本語の慣習に反し、違和感を生じ
ます。
英語の場合、or more 表現は 0 に対しても機械的に適用されるので、意訳を工
夫する必要があります。equal to or greater thanも、結果的には「以上」の
意味ですが、専門的な文脈では「等しいかより大」と、2つの条件を明確に示す
必要があります。


[例文]翻訳してみよう
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“Multi-user”refers to computer systems that support two or more simultaneous users.

<ヒント>
この場合の support は、「使えるようにする」といった意味で、「支持/支
援する」と訳しても意味がうまく表現できません。読者が業界用語としての意
味を知っているという前提で、カタカナ語に訳します。

<直訳例>
マルチユーザーは、二人以上の同時ユーザーを支えるコンピューター・システ
ムたちを指します。

<翻訳例>
「マルチユーザー」は、2人以上のユーザーを同時にサポートするコンピュー
ター・システムを指す用語です。


[今週の課題文]
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以下の文章を翻訳してみましょう。

"Time-sharing" refers to the concurrent use of a computer by more than
one user; users share the computer's processing time.

<ヒント>
time-sharing は、電話・通信業界では主に「時分割」。コンピューター業界
で多いのは「タイムシェアリング」。share は、PC業界では「共有する」。
大型コンピューターの会社では「共用する」。

★★★講師の模範訳例はこちら★★★
http://www.babel.co.jp/magmag/03.html


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【2】 今週のコラム Get IT! Got IT? アイティなっとく
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「ナンバーズ」

この見出しでたとえ一瞬でも所ジョージを連想した人は、numbers を誤訳する
可能性があります。誤訳の危険は、語形に注意すれば避けられます。the unit
number のような形は、明らかに「番号」です。the number of bytes のような
形は、数える対象が複数形になっているのが特徴です。この例の場合は「バイ
ト数」です。数える対象によって、「個数」、「回数」、…のように組み合わ
せる助数詞が変わりますが、基本的には「数」という意味です。

2つの the に挟まれた the number of the device type のような形は、ほぼ
100パーセント「番号」です。a number of は、a が付いていても「多数の」
だというのは学校教師のセールス・トークに過ぎず、この世界では、「いくつ
かの」が断然優勢で、十指に余らない程度の数を表すのが普通です。「多数の」
は、a large number of などです。