北朝鮮の歩みを引き続きみていきましょう。
1990年代に入ると、北朝鮮では「苦難の行軍」とよばれる大飢饉がおこります。また、金日成主席という精神的支柱も失います。
そこで、韓国の金大中元大統領は、「太陽政策」により北朝鮮問題の解決を図ります。
1.太陽政策
太陽政策とは、「北朝鮮の態度を改善させるためには、圧力ではなく温情が必要という考えのもと、軍事力で統一するよりも人道援助、経済援助、文化交流などを促進することで将来の南北朝鮮統一を狙う外交政策」です。太陽政策では、北朝鮮を韓国が吸収する形での南北統一は目指しません。この目的は相互の和解と協力を推進するものです。その狙いには、北朝鮮の崩壊防止、南北統一後の格差解消、北朝鮮の国際社会との繋がりの維持などがあります。関連して、大韓民国の金大中、盧武鉉元大統領と朝鮮民主主義人民共和国の金正日国防委員長の南北首脳会談及び6.15南北共同宣言の締結、開城工業団地事業、金剛山観光事業、京義線と東海線の鉄道・道路連結事業の対北朝鮮三大経済協力事業及び離散家族再会事業が継続的に実施されました。
そして、この太陽政策の結果、生き永らえた北朝鮮が韓国に対して次のことをやりました。
2.延坪島砲撃事件
2010年11月23日14時34分ごろ、北朝鮮軍が韓国の延坪島に向けて、砲弾約170発を発射しました。その内、90発が海上に落ち、80発が延坪島に着弾しました。延坪島では韓国海兵隊延坪部隊がK9 155mm自走榴弾砲4門を動員して月に一度の陸海合同射撃訓練を行っていました。部隊の南南西、4.8キロメートル離れた海上に向け、1門15発ずつ計60発を発射し、最後の砲撃を行おうとした4番砲に不発弾が発生した瞬間、北朝鮮軍の砲弾が部隊を襲いました。
部隊内に着弾した砲弾4発のうち1発は、1番砲の砲台を直撃しました。もう1発が3番砲の外壁を破壊しました。訓練後に返却するため砲後部に集めてあった装薬に火災が発生し、これにより1番砲と3番砲の2門の電気系統が麻痺しました。3番砲の火災は鎮火でき、手動照準に切り替え応射しました。砲弾の直撃を受けた1番砲の火災は深刻で応射できませんでした。韓国軍は、北朝鮮軍の砲台を目標に80発の対抗射撃しました。またF-15KとKF-16戦闘機4機ずつを島に向け非常出撃させました。
この事件で韓国の海兵隊員2名、民間人2名の命が失われました。海兵隊員16名が重軽傷、民間人3名が軽傷を負い山火事や家屋の火災が発生しました。住人1,300人には避難命令が出されました。韓国軍合同参謀本部は直ちに非常事態警報を発令し、金滉植国務総理も全公務員に対し非常待機命令を発令しました。韓国政府高官は、砲撃は韓国軍の訓練に対する反発との見解を示しています。事件発生時に韓国軍は黄海付近で実弾を使った軍事訓練を実施していました。北朝鮮軍はこれに先立って「我が国の領海に向けて砲撃が行われた場合、直ちに物理的な措置を取る」と通告していましたが、韓国軍側はこれを無視して訓練をしていました。
事件の2日前の11月21日に北朝鮮の最高指導者・金正日総書記と息子の金正恩氏が、砲弾を発射したケモリ海岸砲基地および茂島基地の砲兵大隊を視察していたとされています。そのため北朝鮮首脳部が実施を直接計画・指示・承認した疑惑が浮上しています。なお、2012年2月16日の北朝鮮の労働新聞は、この砲撃は金正恩氏が指揮していたと発表した。また、この砲撃は強硬派で知られる金格植氏が主導したとされています。労働新聞は「金正恩領導者の非凡な知略と戦術で敵の挑発は挫折し、延坪島は火の海になった」と伝えています。
3.天安沈没事件
2010年3月26日午後9時45分頃、朝鮮半島西方黄海上の北方限界線付近で、韓国の哨戒艦「天安」の船体後方が突然爆発し、船体が2つに切断され沈没しました。この事件により、乗組員46名が行方不明になりました。これを受け、韓国政府はただちに緊急安全保障関係閣僚会議を招集、原因究明と対応協議に乗り出しました。この海域では朝鮮人民軍との小競り合いが頻発しており、韓国国内では北朝鮮による攻撃を疑う声が上がりました。しかし、韓国政府は「すべての可能性を念頭に置いている」と慎重な姿勢を示していました。
4月15日、切断された船体の後半部分が引き揚げられ、行方不明となっていた46名のうち36名の遺体が収容されました。船体には外部から爆発による衝撃を受けた痕跡が残されており、魚雷や機雷と接触したという見方が強まりました。韓国政府は慎重を期するために国外の専門家を交えて爆発原因の本格的な調査を開始しました。4月24日には船体の残り前半部分が引き揚げられ、これを調べた軍と民間の合同調査団は、内部爆発の可能性はなく、艦から近い水中での爆発により艦体が切断し、沈没した可能性が高いという見解を示しました。
5月20日、軍と民間の合同調査団は、天安は北朝鮮による魚雷の攻撃を受けて沈没したと断定する調査結果を発表しました。根拠として、北朝鮮製の大型魚雷の残骸が沈没現場の周辺において発見されたこと、また、北朝鮮の潜水艦と母艦の活動が天安沈没に前後して確認されたことを挙げています。また、攻撃に使用された潜水艦艇はヨノ型潜水艇の可能性が高いと発表しました。なお北朝鮮の祖国平和統一委員会は関与を否定し「謀略」であるとして韓国を批判しています。
韓国の李明博大統領は、2010年5月24日「対国民談話」を発表し、大韓民国海軍所属の哨戒艦「天安」が北朝鮮の魚雷によって沈没した事件を「大韓民国を攻撃した北朝鮮の軍事挑発」とした上で、「北朝鮮は自らの行為に相応した対価を支払うことになる」としました。また、北朝鮮の責任を追及するため、北朝鮮の船舶による韓国の海域及び海上交通路の利用を禁止し、南北間交易を中止する措置を取るとしました。また、韓国の領域を北朝鮮が侵略する場合、即時に自衛権を発動するほか、国連安全保障理事会への提起、及び国際社会とともに北朝鮮の責任を追及した上で、韓国軍の戦力と米韓防衛体制を一層強化するとしました。
文在寅大統領は、太陽政策の焼き直しである月光政策を実施しています。これ、本当に成功すると思っているのでしょうか?