ここんとこ大型の提案が増えてきて、すごく痛感しているのが掲題の「コンプリートメッセージ」というコンセプト。この概念は、プレゼン書籍の中でもかなり良書である「プロフェッショナル・プレゼンテーション」に出てくるもの。
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曰く「コンプリートメッセージ」とは、「【WHAT】【WHY】【HOW】の3要素を盛り込んだメッセージ」のことで、オーディエンス(僕らの場合で言うクライアントやスタッフ)のココロを動かし、行動に移してもらうために必要なもの。
つまりは「何をすべきか」がきちんとあり、「なぜそうすべきか」という理由を説明出来ており、「どうしたらできるか」というフィージビリティスタディがしっかりしていることが必要となる。思考の順序としては【WHY】⇒【WHAT】⇒【HOW】だ。この順序もすごく大切。
これってすごい単純なんだけど、割と忘れられることが多くて、周囲の提案とか見てみると【WHAT】だけで終わってたりする。「Yahoo!のダイレクトレスポンス行動ターゲティングです!」みたいな(笑)。あるいは【WHY】がすごい希薄だったり、仮説ではなく思い付きだったり。
僕はプレゼンの目的は「聞き手に動いてもらうこと」だと思っていて、それによって「クライアントの抱える課題が解決し、提案した側が報酬をもらうWIN-WINの関係構築」が最終ゴールだと思っている。そのためには【期待】と【確信】という2つの感情を抱いてもらわなければいけないと思っている。この2つの感情があって初めて【納得】していただけて【行動】していただけるんだと思ってる。
このときに重要なのは常に思考が【WHAT】と【WHY】の間を行き来していることだ。常にメリットやそうすることの必然性=【WHY】と、【WHAT】を一緒に考える。こうすることによってメッセージが強くなる。プレゼンターはいわゆる空気が読める、ようになる。受け手からすると、そのメッセージへの【期待】が高まるようになってくる。「やりたい!」と思うよなメッセージができあがっていく。このセットで思考をどんどん膨らませていく。
特に後半は【WHY】を重点的に。その【WHAT】のメリットを沢山考える。「もうないよ!」と思ってから5つひねり出そう(5つは経験則)。実施したときのメリットだけでなく、実施しなかったときのデメリットについても考えよう。なぜ実現したいのか、そういう動機についても考えよう。主語をクライアントにして(つまり「御社」とか、ご担当者の名前とか)考えよう。ここでステークホルダーの【期待】をMAXまで高めていく。
合格ラインはその提案=【WHAT】×【WHY】を見て、ステークホルダーが「やってみたい!」「やりたい!」と思うこと。その場が盛り上がること。場が盛り上がると更なるアイデアが舞い込んで来る、実現するための方法が舞い込んでくる。そのためMTGはワイワイ感が重要なのだ。
そうして出てきたキーアイデア、メッセージを今度は【実現可能性】というスクリーニングにかけてあげる。ここではスケジュールや予算、人的リソースなどあらゆる面でフィージビリティスタディにかける。最終的には、「実施したときのイメージ」がステークホルダー間で共有できるような、そこまでの検証を突き詰めていく。ここで「やりたい!」という気持ちが「できる!」に変わっていく。
そうして出来たメッセージは、まさにコンプリートで、聞き手が「やりたい!」と思い、「できる!」と確信できるものになる。そう、この二つの感情が大切で、「やりたい!」と「できる!」と思っていただくための「気持ちのデザイン」と、「やりたい!」から「できる!」への「気持ちの遷移のデザイン」の双方の感覚が必要になる。
関係者全員が「やりたい!」と思い、「できる!」と確信できる提案を、やらない理由はない。
コンプリートメッセージ=WHAT×WHY×HOW、この公式を常に意識して提案活動を行うべし。メッセージの重みが違います。
アドマン