子どもの言いたいことが少しわかってくる。

 何のことかというと、子どもと話す時の心構えのことである。

 例えばどこにでもいるやんちゃな子がクラスの誰かを叩いたというエピソードで考えてみる。

 その事実を知ったからには担任としてすぐさま注意しなければならない。この時にどう子どもと接するかですぐ解決もするし、教師と子どもの関係がこじれることもある。
 私はこのような場合に大きく2つの対処法があると区別している。ひとつは外側から見て話すか、もうひとつは内側から見て話すかである。

具体的に場面を刻んで考えてみる。どれを選択をして行動するか。
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1 やんちゃ君に話をしたいと伝える

・大声で呼びつける。
・普通に呼ぶ。
・近くに行き、「大事な話があります」と言う。
・近くに行き、「ちょっと教えてほしいことがある」と言う。

2 話をする形を作る

・みんなが見ている前で教卓の横に立たせて話す。
・みんながいる教室の隅で教師も立って向き合って話す。
・誰も通っていない廊下に出て、しゃがんで向き合って話す。
・誰もいない静かな部屋に行き、向き合って座って話す。
・誰もいない静かな部屋に行き、横に並んで座って話す。

3 第一声
・暴力はいけません。叩いた理由を言いなさい。
・叩いてはいけません。許しません。
・何があったか知らないけど、叩いたらいけないね。
・どうして叩いたの?
・君は何か怒っているのかな?
・君は何かいやなことをされたのかな?
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 内側から見るためには、ここまでの行動が大切である。やんちゃ君は先生に怒られると思っているので過度の緊張状態なのである。を止めて体を硬くしている状態だ。教師はそれを緩めるように場を動かしていかなければいけない。

だから、やんちゃ君から「教えてほしい」という立場で近づくこと。込み入った話をするのだから静かなところがいいのは当然だ。対面して向き合うのはいけない。二人とも胸の辺りが締め付けられて話しにくくなる。横並びが最適だ。もちろん立っているよりも座って、横並びになる方がが楽になってくる。

 そして、やんちゃ君の内側から見てみるのだから第一は教師の判断を押し付けたり、叩いた理由を絶対に求めてはいけない。それは外側から攻撃しているということなのである。やんちゃ君は余計緊張しパニック状態になる。貝のように固く口を閉ざすこともある。
 あくまでも「あなたに何かあったのですか」というやんちゃ君の内側を教えてほしいという姿勢を伝えなければいけないと思う。


 乱暴や悪口という現象は「被害を受けた」と感じている子の警告であることが多い。その子の内側では何かが化膿している。それを外側からだけ見て無理やり押さえるのは賢い選択ではない。外側からしか見ないと大切なことが全然見えないまま終わるかもしれない。