研究主題

算数的活動の中にデジタルコンテンツを組み込むことを通して子どもたちの内的活動を活性化する -面積学習における利用の工夫-


1.問題意識
 新しい学習指導要領では様々な算数的活動を通して基礎的な知識と技能を身に付け、見通しをもち筋道を立てて考える能力を育てることが期待されている。これを受け学校現場では様々な工夫が進められているが、体験活動や調査活動だけに終始してしまうような、いわゆる「活動あって学びなし」と批評される実践も見受けられる。確かに体を使ったり、何かを作ったりする活動は子どもにとって楽しいものであるが、時間をかけた割には子どもたちはよくわかっていない。これは活動そのものに時間を取られ、目的意識を持った追究や練り上げまで至らずに時間切れとなってしまうことが多いためである。外に出たり、たくさんの材料に取り囲まれた授業では目に見える子どもたちの表面上の活発さに惑わされてしまうが、算数的な活動が有効であったかどうかという本質的な部分は内的活動(思考、疑問、納得など)の活性化につながったかどうかという点を大事にしたい。

 一方、授業のIT化が求められ様々なデジタルコンテンツや教育ソフトが学校に導入されているにもかかわらず、それらは日常の授業においてほとんど使用されていないという現状がある。主たる理由は以下の2つに集約されると考えている。
 まず一つ目は今まで学習ソフトを使用しなくてもそこそこの授業できたから「あえて使う必要はない」という消極的な理由である。そして根底には算数的な活動は体や手を使うのがリアルなので良く、モニター画面でのバーチャル映像は良くないという短絡的な先入観も見え隠れする。もう一つの理由はどのように授業に組み込んでいけばいいか不明であるというものである。つまり「有効な使い方が具体的に見えない」ということである。
 確かに図形の作図をねらいとした学習では原則として子どもたちが自分で反復練習して作図技能を習得する必要がある。しかし数学的な見方や思考、興味や関心を高めるために算数科では今後デジタルコンテンツをもっと活用すべきだと考える。たとえば図形の形を連続的に変形させたり、何種類もの等積変形を試行したりする情報は今まで教師や友だちから部分的に伝達された第2次情報が圧倒的に多かった。これでは一部の子どもしか様々な「やり方」がわからない。ところが教育ソフトでのシュミレーションなら短時間で納得するまで自分の手で確かめられる。この「つかみ取った」という手応えは子どもたちの内的活動を活性化する起爆剤になると思われる。キーワードは「短時間」と「つかむ」である。