白山市学校地域間交流推進事業実施計画書1 2005_9_30
白山市立東明小学校 渡辺 直人
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環境教育の視点から学校地域間交流をデザインする
つながり学びと「アドベンチャー・オブ・ネイチャー」(総合)
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◆キーワード群
・小学校3年生 総合的な学習の時間
・ネイチャーゲーム 五感 自然体験 環境への問題意識の醸成
・調べ学習スキルの育成
・「つながり学び 」の重視 (1対1交流、学校間ネットワーク交流)
◆概要
1 問題意識
・子どもたちの中の「五感」と「怒り」が薄れている。
2 大切にしたこと
・環境教育の素地づくりを重視する。
・「つながり学び」をする中で「環境のつながり」を実感させる指導ステップを工夫する。
3 指導計画
・学校の環境教育計画
・3年の総合的な学習「アドベンチャー・オブ・ネイチャー」の年間計画
4 実践の概要
・ネイチャーゲーム
・調べ学習「虫クイズカルタ」
5 実践の考察と今後の課題
・ネイチャーゲームは自然に対する五感を活性化する有効な仕掛けである。
・自然体験や調べる活動の中にスキル育成の場や「つながり学び」を組み込むことにより環境教育の素地を作ることができる。
・校外学習や学校間交流がよりスムーズにできる体制作りの工夫。
1 はじめに
(1)問題意識
◆子どもたちの中の「五感」と「怒り」が薄れている。
環境・食教育を進める上でもっとも悩ましい問題点は「学習したことがらを子どもたちが自分の問題として受け止めることが難しい」ということである。学習後の子どもたちはいくらかのことは知っているがそこに怒りはない。
◆その背景は自然や食へ「愛着」がないこと。
その背景には、積極的に自然と関わる機会が確実に減少しているということがある。自然の中に入っても自然を五感で感じようとしなかったり、どのように遊べばよいかわからず呆然としたりする子どもが増えてきている。自然観察の時に野に咲く花や地面を歩く虫を立ったまま眺める子が目立ってきた。見れども見えずの状態である。
食に関しては、日本の伝統的な食文化が崩壊しファーストフード文化に汚染されているという背景がある。恐ろしいことに、自然とはかけ離れた食品が身の回りには氾濫している。まるで工業製品のように目的に応じて添加された危険な添加物や合成された栄養素の入った食べ物を食べるのは珍しいことではない。それがどのように作られたか?よりもパッケージの鮮烈なデザインや強烈な味付けが消費者である子どもたちを魅惑している。「食べ物は自然の恵みと手間暇かけて作られるもの」というイメージが子どもたちにはない。子どもたちのイメージはどこに行けば食べ物が手にはいるかだけが鮮明になっている。つまりコンビニとかスーパーマーケットの冷凍コーナーという「売っている場所」を連想するということである。あるいはテレビで見る食品のCMやグルメ番組によって食のイメージを形作っている。
このように食は自然をいただくという感覚が希薄になるにつれ、食に対する「愛着」もわかなくなっているので自然破壊への怒りは薄れて当然である。
◆つながりを意識させる学びの場を設定していないこと。
もう一つは学習の進め方にある。
環境に関する体験学習も調べ学習も「発表」が中心となることが多いが、お互いの発表を聞き合う子どもたちの目は冷めている。自分が調べなかったテーマは自分があまり関心がないものなので聞き流してしまって当然である。発表のスキルは必要であるが、それ以前に他の発表と自分の発表とを関連づけ、つないでいく場を設定すべきである。一方的に聞くだけの受動的な場は環境問題に対する怒りから子どもたちを余計に遠ざけることになる。我が関知せずの状態である。
◆環境教育を通して育てたいことは「つながり思考スタイル」。(ビジョン)
この子どもたちの学びの事実からスタートして指導方法を改善する必要がある。
特に環境・食の学習の「発表」はゴールではなく、論議を巻き起こす「きっかけ」として位置づけて、発表中や発表後にどのように関わらせたかの方が実は大切なのである。
義務教育段階での環境教育は必要であるが、それは環境問題を解決する方法を子どもたちに理解させることではない。環境問題という一見自分とは無関係に見える事柄が実は自分の命を脅かしたり、自分が原因であったりするという関連づけの思考スタイルを育てることである。
多くの事柄が複雑に絡み合った環境問題はすぐには解決しないことだらけである。その解決はどれも困難ではある。しかし指導者は長期的なビジョンを持って指導に当たる必要がある。環境教育で押さえておきたいビジョンは「子どもたちの未来のライフスタイルの素地を作る」ということであると私は考える。それは「関わり合いつながって解決していくスタイル」であり「食べ物は命そのものだから自己責任で選択するというスタイル」「自分の行動と自然環境への負荷を関連づけて判断するスタイル」などである。
◆問題点は、個性化が進む中で「つながり思考スタイル」をどう組み込むか。
昨今の子どもたちにまつわる問題現象をまとめると次の3つの傾向が見えてくる。
①自己中心的な「おれ様」タイプの衝突。
②カプセルの中に閉じこめられた窮屈な個性タイプの歪んだ思いこみ。(ひきこもり、NEET)
③場当たり的で感情に流される短絡的な思考と行動タイプの衝動的な振る舞い。
このような生活スタイルの状況の中では「地球全体の環境等」について調べてもそれは「自分とは関係ない」ところで起こっている、「誰かが解決すればいい問題」だという認識になることは想像に難くない。この学校現場のリアルな問題点から目を反らして環境教育の内容論だけを論議してもそれは空しい。現時点では環境問題についての重要な内容はほぼ出そろっていると考えてよい。今後はその問題点をどのような教育方法で子どもたちに学ばせ、子どもたちに実感させていくかという方法論についての論議を深めていくべきだと思う。
(2)大切にしたこと
◆環境教育の「素地づくり」と「つながり学び」活動を重視する。
・学校として環境に関する学習の素地作り(五感で感じた自然体験)を大切にする。
・「つながり学び」活動をする中で「環境のつながり」を実感させる指導ステップを工夫する。