あったかーいメディア教育をめざして-メディアクションを学級経営の柱にする- その1


【内容の概要】
 現在、コンピューターネットワークやデジタルメディアを活用した様々な教育研究が急ピッチで進められているが、研究と実践の間には未だ大きな溝があることは否めない。学校現場になかなか浸透していかない原因はいくつも考えられるが、本研究で最も問題にしている点は学級経営の視点からのメディア研究が非常に少ないという点である。多くの教師はメディア教育の必要性を認めてはいるが、それがあたたかい雰囲気の学級を作るためにはあまり役立たないと思っているようである。これは今までの多くの研究が「メディアより」であるからであろう。メディア活用という目的が先にあり、子どもたちを元気にするという発想が出発点にない実践はやはり冷たい感じがするのである。「すごい」とは思っても、「やってみたい!」とは思わないことが現状の最大の問題点である。メディア教育の今後の研究の鍵は「冷たい」イメージからの脱皮であると思っている。

 目の前の子どもたちは現代社会の歪みの影響を受け、様々な面で強いストレスを感じている。ひとことで言うと「人間らしい時間・空間・仲間」の不足によるストレスである。こんな中、今の子どもたちが学校にまず求めているものは、人のあたたかさであると私は認識している。友だちや教師に会うのが楽しみな学校でなければ、学校教育はうまく機能しない。子どもたちは「できる」から価値があるのではなく、そこに「いる」こと自体に価値があるということを曖昧にしてはいけない。私は認め合う雰囲気のあるあたたかい学級を育てながら、厳しく教えることが教育の要諦だと思っている。また、メディアの活用による学びの場で人のあたたかさを学ぶことは高度情報化社会に生きる子どもたちに必要なことであると考えている。

本研究はデジタルメディアの「アニマシオン」と自分では位置づけて実践している。最終的に子どもたちを元気にするためにメディア教育を積極的に進めていくという立場をとっている。子どもたちがメディアに接しているその瞬間の笑顔や躍動感を高めていく活動ユニットを設定することにより、クラスの人間関係の活性化につなげていくことを視野に入れている。

 そのため活動ユニットはメディアの活用場面に喜怒哀楽という人間くささを織り込むという視点から工夫してみた。この主張を「メディアクション」というキーワードで表現している。このアクションということばに「自分の思いで動く、相手に働きかけることの魅力を学ばせたい」という教師のねがいを込めてある。


 近い将来現実となるユビキタス社会では生活のあらゆる場面で自動化、スイッチ化が進むであろう。生活上の段取りや細々とした作業から解放されて快適で便利になっていくであろうが、その快適さと引き替えに子どもたちは今にもまして受動的・場当たり的になることが予想される。小学校ではすべての子にメディア・リテラシーを習得させるという役目を担っているが、もっと大事なのは人とかかわりながら学ぶ魅力を具体的な体験の中で実感させることだと考えている。
2001