敵にも敵の論理があり、その中にはささやかながらも正義がありえさえする。

単純明快な水戸黄門的勧善懲悪の漫画やアニメの世界で、敵にもドラマがあることが描かれたさきがけと言うと、ガンダムや北斗の拳をイメージしてしまうのだが、それは実はちょっと違うのである。

ガミラスの侵攻により汚染された地球を救うため、艱難辛苦を乗り越えイスカンダルへ向かう。
そのガミラスと言えば、悪役のイメージなのだが、実はガミラス星自体も滅亡の危機にあり、デスラーはガミラスを救うために地球に寄生しようとしたのである。

つまり、ガミラスにはガミラスのやむにやまれぬ事情があったわけだ。
もっとも、オリジナルのヤマトが放映されたいた頃は、まだアニメには勧善懲悪の風潮が強く、ガミラス側の将軍クラスがやたら人相が悪かったこと、見る側も理解至らぬ子供連であったことから、敵側のドラマが理解されにくかった。
かろうじて事情がわかっても、やっぱりガミラスは悪者扱いだった。

それゆえに、創作の世界で、善悪を超えたドラマが理解されるまで、ガンダムや北斗の拳を待つことになる。


さて、日曜夕方5時から放映されている『宇宙戦艦ヤマト2199』

企画発表当初、どうもキャラ設定がいただけなかった(後述)。
それゆえに、テレビ放映の話を聞いても気が乗らなかったのだが、たまたま見てみると、

西暦2199年、地球はガミラスとの戦いに敗れ・・・

イントロと主題歌を聞くと・・・だめだ!心が震えてしまう!!!
この導入は駄目だろ~、オッサン泣かせだぜ!!!

こんなに心が震えてしまうとは、、、少年時代の俺はそんなに真剣にヤマトを観ていたということなのだろうか?


艱難辛苦を乗り越え、地球を救う姿は、鎖国のハンディキャップを乗り越え近代化を成し遂げ日清・日露の戦いに勝った日本のようであり、第二次大戦の手痛い敗戦を乗り越え経済復興を遂げた日本人の精神性に呼応するものさえ感じたりする。大げさだけどそう感じたりする。

今度は失われた20年(30年???)や周辺国との諍いをどう乗り越えるのかが見ものであるが・・・乗り越えられるのかな?

さておき、リファインヤマトの映像レベルの高さ、脚本の緻密さたるやオリジナルとは比べる余地もないものであり、日本のアニメーションのレベルはもはや世界中でぶっちぎりだよなあと思ってしまう。
アニメーターの給料ってもっとあげないとだめだよ(笑)
年収指一本たてたれ。


だけど、このレベルの高さは、時間をかけることのできるセル用オリジナルだからできたことで、毎週ルーティンのテレビ放映だったらこのクオリティーを維持し続けるのはさすがに無理だったろう。


一方、主要登場人物が悉く、どこかの国で気軽に整形でも受けて来たのか?と思うくらい今時のイケメンになり、女性は萌えキャラが跋扈(当然胸が大きく、それがやたら強調される)、ひいては古代はやたら明るくさわやかで、オリジナルでは陰があった森雪がこれまた今時の明るいオネーチャンに変貌を遂げている、つまりオリジナルとは性格まで変わってしまっている。
あげくの果てはデスラーまでヤサオトコになっちゃってんよ。
まあ、現代風にリフォームするとこうなるんだろうな。


オリジナル古代とリフォーム古代と島
にしにし日誌


にしにし日誌



オリジナルデスラーとリフォームデスラー
にしにし日誌


にしにし日誌



明るい森雪
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一方で、ガミラスの内情がリアルに描かれているのがいい。冷静に考えると、宇宙人の権力闘争が日本社会的であるのも変だなと思うのだが・・・

てか、宇宙人たるガミラス星人が地球人と同じ姿形をしているのも不自然なのだが・・・
だけど、その矛盾は今回こじつけ的にではあれ、解消される予感がある。
きっと、あれだ、ガミラスと地球は歴史を辿れば同じ起源を持つとかいうことだろう。
ただ、このガミラスのリアリティーと緊張感とバストの大きな萌えキャラとの落差がなんとも笑えるというか、あきれるというか、緊張感をそぐのがもったいないというか・・・


だけど、このキャラクター構成には製作の苦労の感じるんだよね。
おっさんとなっているオールドファン、これからファンになってもらわなければならない子供達、無視できない強大なオタク市場・・・
オリジナルのときに違って、満足させないといけないマーケットが多様化しているのだよね。


この中で、もっとも手ごわいのはオタクマーケットだろう、秋葉原や日本橋を変貌させる勢力を持つオタクマーケットである。否、正確には秋葉原と日本橋を救ったと言うべきか。
ここを押えれば関連商品が馬鹿売れするのは確実なのである。
これを無視するわけにはいかないのは、商業施策として当然のことである。
オリジナルのヤマトを知る身としては複雑さを禁じえないものがあるけどね。

さて、最後の最後で、オリジナルに忠実にデスラーと古代との間に友情が芽生えるのか?
デスラーはガミラス再興を目指して旅立つのか?
以後のヤマト作品もリニューアルしてゆくのか?


まあなんにしろ、ヤマトが現代の蘇り、そしてまた継承されて行くこと自体はよいことなのだろう。

多くのおっさんファンは思っていたはずだ、
『ヤマトは仮面ライダーやガンダムのようにはなれんか。世代が変われば忘れ去られるのかなぁ。』

とにかく、日曜日の楽しみが増えたのはありがたいことだ。