ここには猛獣がいる。猛獣とは、大きなドーベルマン。宮殿とは、大きな庭を持つどっかのお金持ちの豪邸。
俺の学校では、友達との間でこんな大きな犬を見た事がなく、このドーベルマンに噛まれた奴がいる。という噂から、話がどんどん派生して、あの犬は人を食うとか、近づいたものは誰も帰ってきた事がないだとかいう噂が広まっている。だから、みんなこのドーベルマンを猛獣と呼ぶ。
このドーベルマンは確かに怖い。正直自分も少しビビってはいるが、早くリンの家に行って遊びたいという気持ちからこの宮殿を横切るのである。
俺はポケットからあるものを取り出した。
「よし、これでもくらえーー!!」
という掛け声とともに家から持ってきた骨つき肉の骨を投げ入れた。青白い芝生の上に パサッ と骨が落ちる。その音に反応し、ドーベルマンが最短ルートと反対側に走っていく。
「へへっ。楽勝楽勝」
俺は、宮殿を忍び足ながら急いで渡った。