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社会人になってからの数年間、
僕はずっと“焦り”の中で生きていた。
同期と比べては落ち込み、
後輩に追い越されては
心がざわついた。
「もっと早く結果を出さなきゃ」
「ちゃんとしなきゃ」
そんな言葉が、
毎日頭の中をぐるぐる回っていた。
ADHDという特性を知ってからも、
すぐには心が追いつかなかった。
知識として理解しても、
心の奥ではまだ
“普通にできない自分”を責めていた。
何をするにも人より時間がかかる。
細かいことをミスする。
そのたびに、
「みんなはできてるのに」
という思考が止まらなかった。
でもある日、
ふと立ち止まるきっかけがあった。
仕事帰り、夜の電車で。
疲れ果てて座席に沈み込みながら、
窓に映る自分の顔を見た。
目の下にはクマ。
表情はいつもより冷たかった。
「こんなに頑張ってるのに、
なんで幸せを感じないんだろう」
その瞬間、
何かがストンと心の奥で落ちた。
僕は、
“周りのスピード”で生きようとしていた。
でも、
僕のリズムは人とは違った。
早く走ろうとすればするほど、
息が詰まって転んでしまう。
だったら、
ゆっくりでもいい。
自分のペースで生きた方が、
ずっと遠くまで行けるんじゃないか。
そう思った。
そこから、
少しずつ生き方を変えた。
朝の時間をゆっくり使って、
心を整えてから出勤する。
自分の集中リズムに合わせて、
仕事の順番を工夫する。
休むことに罪悪感を持たず、
小さな成功をちゃんと喜ぶ。
そんな些細な変化を積み重ねていった。
不思議なことに、
「頑張らなきゃ」と思っていた頃よりも、
結果が出るようになった。
焦っている時は、
常に頭が散らかっていた。
でも、
自分のペースを大事にすると、
集中する時間が自然に訪れた。
人と比べることも減っていった。
ある時、
後輩にこう言われた。
「〇〇さんって、
いつも落ち着いてますね。
なんか安心します。」
その言葉に、
少し泣きそうになった。
昔の僕は、
“落ち着きがない”と言われ続けてきた。
でも今は、
“落ち着いて見える”と言われている。
変わったのは環境でも性格でもなく、
“生き方のリズム”だった。
人生は競争じゃない。
速さよりも、
どんな気持ちで歩いているかが大切。
誰かのペースに合わせて
自分を見失うくらいなら、
ゆっくりでもいいから、
自分の道を歩けばいい。
「自分のペースで生きる」
それは怠けじゃなく、
自分を守るための選択。
誰かと違っていてもいい。
遠回りでもいい。
大事なのは、
その歩幅でしか見えない景色を
ちゃんと味わうこと。
あの日、電車の窓に映った
疲れ切った自分が、
今の僕を見たらきっと言うだろう。
「やっと、
自分を生きられるようになったね」
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