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高校に入って
少しずつ日常が戻り始めた頃、

 

 


僕の通う学校に
ある“奇跡の知らせ”が届いた。

 

 

 

それは、
文化祭に有名バンドが来てくれるという話だった。

 

 

震災の影響で
ずっと沈んでいた街に、
少しでも元気を届けたいと
ボランティアで来てくれるらしい。

 

 

 

信じられなかった。

テレビでしか見たことのない
有名なバンドが、
この被災地の高校に来るなんて。

 

 

当日、体育館は満員だった。

 

 


いつも静かな学校が、
その日だけは違っていた。

 

 

 

照明が落ちて、
ステージの光がついた瞬間、
歓声が一気に上がった。

 

 

 

ギターの音が響いた時、
体の奥が震えた。

 

 

 

あの震災の音とは
まったく違う“音”だった。

 

 

 

痛みではなく、
希望の音だった。

 

 

 

バンドのボーカルが
マイクを握って言った。

「ここに来られてよかった。

 

 


みんな、生きててくれてありがとう。」

その言葉を聞いた瞬間、
涙が止まらなかった。

 

 

 

あの日からずっと、
「なんで自分だけ生き残ったんだろう」
と思っていた心が、
少しずつ解けていった。

 

 

 

音楽って、
こんなにも人の心を動かすんだと思った。

 

 

 

悲しみで固まっていた空気が、
メロディと一緒に
ゆっくり溶けていくようだった。

 

 

 

 

演奏の最後、
ステージのライトが僕たちを照らした。

 

 

 

 

その光の中で、
みんな笑っていた。
泣きながら、笑っていた。

 

 

 

 

隣の友達も、
普段あまり感情を出さない先生も、
みんな同じ気持ちだったと思う。

 

 

 

「生きててよかった」
心の底からそう思えた。

 

 

 

震災で多くのものを失ったけれど、
この日、音楽が僕たちに
“生きる力”を思い出させてくれた。

 

 

 

どんなに街が壊れても、
心まで壊れるわけじゃない。

人の声、音の力、笑顔の連鎖。
それがあれば、また立ち上がれる。

 

 

 

帰り道、
空を見上げたら、
いつもより星がきれいに見えた。

 

 

 

あの日感じた希望の光は、
今でも僕の中で鳴り続けている。

 

 

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