前回の記事はこちらから

 

 

 

小学校2年生の頃から、
僕は習字を始めた。

 

 

毎週土曜日になると
教室へ通い、
半紙と墨に向かう。

 

 

 

習字の先生はとても優しく、
一文字ごとに丁寧に
アドバイスをくれた。

 

 

筆の持ち方、
力の入れ方、
墨の濃さや紙の呼吸。

 

 

 

小さな体で必死に学びながら、
気がつけば夢中で
筆を走らせていた。

 

 

 

昔から僕は落ち着きがなく、
集中力が続かないタイプだった。

 

 

 

ADHDの傾向もあり、
じっと座っているのが苦手で、
授業中もそわそわしていた。

 

 

 

そんな僕にとって習字は、
「心を整える」ための
大切な時間になった。

 

 

 

筆を半紙に下ろすと、
周りの音が消える。

 

 

 

 

 

 

 

頭の中のざわめきが
すっと静まり、
ただ文字を書くことに
集中できた。

 

 

「一画一画を大事に」
先生の言葉を胸に、
丁寧に筆を動かした。

 

 

その積み重ねで、
特待生を取ることができた。

 

 

 

学校でも表彰され、
「やればできる」という自信を
初めて感じられた瞬間だった。

 

 

 

習字を通じて学んだのは、
字の美しさだけではない。

 

 

 

 

自分を律する大切さ。
そして集中することの力だ。

 

 

子どもの頃の僕は
失敗を恐れ、
父の顔色をうかがいながら
生きていた。

 

 

 

けれど習字の時間だけは、
誰にも怒られず、
自分と向き合うことができた。

 

 

「やれば結果が出る」
その成功体験は、
小さな僕にとって大きかった。

 

 

今振り返ると、
習字はただの習い事ではなく、
生き方の基盤を作ってくれた。

 

 

集中力が途切れそうな時も、
心が揺れ動く時も、
筆を持っていた頃を思い出す。

 

 

 

習字は僕にとって、
自分を律する力を
教えてくれた原点だ。

 

 

次の記事はこちらから