つい今週、「ザリガニの鳴くところ」が映画化されているので、観たいものだと書いたら、昨日偶然にもアマゾンプライムでその映画を発見!

 

 

 

おおー!と思い、深夜にもかかわらず観てしまいました。

 

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物語の大きなテーマはアメリカ社会における「差別」「偏見」です。

父親の暴力、家庭崩壊、貧困と孤独が複雑に入り込む中、それとは対称的に主人公カイアを支える何人かの心優しい人々も登場し、人生の難しさが描写されています。

 

冒頭から始まるのは、まさにレイチェルカーソンの世界観で、とにかく自然の映像が美しいです。

この著者が動物学者なのも頷けました。。。

レーチェルカーソンの「沈黙の春」は、暗唱するほど読んだ本。

 

アメリカのどこかの湿地に住む少女カイアが自然の中で生きる状況は過酷なのですが、それでも静かに逞しく育っていくのです。

どんなに人から傷つけられ差別されても、自然から多くのことわりを学んだカイアが生き抜いていく様は「フェニズム的」と言われがちかもしれないけれど、私はむしろ違うと思いました。

 

カイアがカマキリの交尾の様子を口頭で描写するシーンは、非常に暗示的です。

両親がいなくなり、学校へも通えず、子どもの頃から孤独に生き抜いた彼女の教師は「すべての自然」。

これを屋根のある場所で教材で学ぶこととカイアのように身をもって学ぶことには、筆舌に尽くしがたい差があります。

彼女の言葉にはハッとさせられるのですが、中でも「自然に善悪はない、全ては生きるための知恵よ。懸命なの」という台詞には思わず唸ってしまいました。

 

最後は穏やかな人生を終えて死んでいくのですが、その後に残されたカイアの夫が遺品整理をする中で驚愕する「ある物」を見つけ、再び自然に返していく描写も何だか心の内側に沁みてくるものがありました。