ADHDというと、

「集中できない」
「忘れ物が多い」
「先延ばしをしてしまう」

そんなイメージを持つ人が多いかもしれません。

でも、娘を育てていて感じるのは、それだけではないということです。私が特に大変だと感じているのは、「感情のコントロール」の難しさです。

ADHDの薬を服用してから、集中力や先延ばしは改善しました。

感情の波も、服用前に比べればかなり穏やかになったと思います。それでも、なくなったわけではありません。

些細な一言でイライラしたり、0か100かのように感情が高ぶったりすることがあります。

まるで瞬間湯沸かし器。

主治医の話を聞いたりする中で知ったのが、ADHDには「情動調整(感情をコントロールすること)の難しさ」があるということでした。

感情が湧き上がるスピードがとても速く、一度ピークになると、その瞬間は自分でも止めることが難しい。だから、本人も「怒りたくて怒っている」わけではないことがあります。

そして、ピークが過ぎると、気持ちを切り替えて普段どおりに戻ることも少なくありません。そのため、周りとのすれ違いも起こりやすくなります。

家族は怒鳴られたり傷つく言葉を言われたりすると、その出来事を何時間も引きずります。

でも本人は落ち着くと、「もう終わったこと」という感覚になっていることもあります。その温度差に戸惑う保護者は多いのではないでしょうか。

もちろん、すべてのADHDの人に当てはまるわけではありません。また、薬で感情面も大きく改善する人もいます。

娘の場合は、集中力や実行機能にははっきり効果を感じましたが、感情の波については「以前よりかなり良くなったけれど、課題として残っている」という印象です。

ADHDは、「集中できない障害」ではありません。

目に見えにくい感情のコントロールの難しさを抱えながら、毎日頑張っている子どもたちもいます。

だから私は、感情が爆発した場面だけを見るのではなく、「本人も苦しいんだろうな」と考えるようになりました。

そう思えるようになってから、娘への接し方も少しずつ変わってきた気がします。

 

 

 

ADHDの子にとって、ルーチンは単なる習慣ではありません。脳のエネルギーを節約するための仕組みです。

・毎朝同じ流れで支度をする
・帰宅したら同じ順番で過ごす。
・決まった時間に宿題をする

こうしたルーチンがあることで、毎回考えなくても行動できるようになります。

ところが、その流れが崩れると状況が変わります。

例えば、

・急に予定が変更になる
・いつもと違う場所へ行く
・学校で特別なイベントがある

周りから見れば「ちょっとした変化」かもしれません。

でも頭の中では、

「次は何をするんだっけ?」
「予定が変わったけど、どう動けばいい?」
「今は何を優先すればいい?」

そんな処理が一気に増えていることがあります。

・予定を組み直す
・注意を向ける先を切り替える。
・優先順位を考える

これらを同時に行うため、脳には大きな負荷がかかるのです。

娘もルーチンが崩れると疲れやすくなります。感情の波が大きくなったり、翌日に強い疲労が出たりすることがあります。

ADHDの子育てをしていると、つい目に見える行動だけを見てしまいます。でも、その裏側では見えない努力が続いていることも少なくありません。
 

ADHDの子どもは、退屈な時間を「つまらない」ではなく「しんどい」と感じることがあります。

刺激が少ない状況では、脳の特性としてエネルギーや集中を保ちにくくなることがあると言われています。

娘もそうでした。

薬を飲む前の週末は、家で過ごす時間がしんどそうに見えることがありました。

本人としては「何もしていない時間」がただ退屈というより、うまく気持ちを保てないような感覚だったのかもしれません。

友達と出かけたがったり、ネットショッピングに長い時間を費やしたり、とにかく何か刺激のあるものに意識が向くこともありました。

でも、今振り返ると少し違って見えます。


退屈な時間が続くと不安定になりやすく、その状態を埋めるように行動していたのかもしれません。

薬を服用している現在は、かつてのように刺激を求めるような行動は見られなくなり、家で過ごす時間も以前より穏やかに楽しめるようになっています。

 


 

ADHD特性で日常的にストレスが溜まると、気づかないうちに心はうつ的な状態に近づいていくことがある。

ただ、「うつ」といっても、必ずしも「落ち込んでいる状態」だけを指すわけではありません。

特に思春期は、イライラする、怒る、爆発する、そんな形で表に出ることもあります。

周囲は、それを「反抗期」と捉えてしまう。

でも内側で起きているのは、しんどさを処理しきれず、あふれている状態なんです。

まさに娘がそうでした。

 

 

 

ADHDの子は、「反省していない」と誤解されやすいことがあります。

叱られて泣いていたのに、少し時間が経つと、まるで何もなかったかのように別のことをしているように見える。

そんな姿を見て、「ちゃんと反省しているのかな」と感じてしまうこともありました。

でもこれは、意識の問題というより、注意や感情の切り替わりの特性によって起きている場合があります。

一度の出来事に気持ちを長くとどめておくことが難しく、次の刺激に意識が移ってしまうことがあるのです。

反省していないわけではなく、「反省している状態を保ち続けることが見えにくい」だけの場合もあります。

そう考えるようになってから、同じ場面の見え方が少し変わりました。

見えている反応だけで判断してしまうと、すれ違いが生まれやすいのかもしれません。