毎日希死念慮がある。



25年前、拒食症で1週間、閉鎖病棟に入院した時のこと。



婚約破棄されて、心がズタボロだった。



タバコ吸いながら、他の人たちと喋ってたんだけど、



その中にともくんて、同年代の男性がいた。



女性はほとんどが鬱病。



男性は、覚醒剤やギャンブル依存症だった。



ともくんは薬の方で、だけど打ち解けてた。



あたししかタバコ吸う女性いなかったから、毎日同じメンバーで灰皿を囲む。



あたしは希死念慮のカタマリで、そのことしか頭になかった。



ともくんは未遂に終わった人でもあった。



アパートから飛び降りて、電線に引っかかったと。



そのともくんが言うには、



「死なん方がええよ。未遂した後、結構おもろいことあったし」と。



ODやマンションの最上階から飛び降りようとしてたあたしに、ともくんがそう言った。



(あー普通の人が言うのは白々しいけど、体験者が言うんだから、ほんとなんだ)て思ったんだ。



退院してから、確かにおもろいこと色々あったけど、段々しょぼくれていった。



今もいろんな奇跡を体験してるし、自分がここにいることが奇跡。



ただ、病んでから、それにグレーの半透明の幕が降りたように、いいことをいいことと捉えるのが難しくなった。



そんな時、大好きで観てた海外ドラマがあったんだけど、



つらくて死んでしまいたい女性の目の前に、



先に自殺した友人が出てくるの。



「あなたは今幸せ?」て幽霊になった友人に聞いたら、



「少なくとも不幸ではないわ」



って言われたんだ。



結局その時は、生きることに決めたんだけど、



「少なくとも不幸ではないわ」



って言葉が心に刻み込まれた。



「死なん方がええよ」

「少なくとも不幸ではないわ」



この2つの言葉が、あたしの中で毎日綱引きしてるようだ。



「少なくとも不幸ではないわ」

今のところこっちが優勢。



ともくんが勝つ日はあるのかな。



楽になれるなら、どっちでもいい。



楽になりたい。



ただそれだけ。



お読みいただきありがとうございます。