いつもベランダで一服するんだけど、



暖かくなったから、虫がやってくるようになった。



今日は、緑色の小さなカメムシ。



網戸に止まってるのを、ボーっと見てた。



去年は、茶色いカメムシが、



網戸にしがみついて、卵を産んでた。



直径1mmもない、それはそれは綺麗な、玉虫色の卵たち。



そこで生まれて孵化してもらったら困るので、



カメムシと卵を、指でピン!と弾いた。



産んでる最中の母カメムシと、生まれてる最中の卵たち。



ごめんねって思った。



虫と虫なんて、ほんとにすごく低い確率で、オスとメスが出会うんだろうに。



人間が赤ちゃんを産む時みたいに、カメムシも命がけで卵産んでるんだろう。



その命がけのものを、弾いたことで、なんだか悲しくなった。



虫って、痛いとか悲しいとかの感情あるのかな。



そんなのなくて、ただ本能のままに、今を一生懸命生きてるんだろうな。



子供時代は、虫、全然平気だった。



カブトムシやセミやトンボ捕まえて遊んでたし、



チョウチョやガを見ても、何も思わなかった。



大人になると、どうしてそれが怖いとか気持ち悪いって感情に変わるんだろう。



ムカデなどの毒虫は、危険だからソッコー殺すけど。



ただそこに存在してるだけなのに、気持ち悪いって思ってしまう。



生まれてきて、今を生きてるだけなのにね。



人間も…あたしもそうありたいなって思ったんだ。



なぜ生きてるのかなんて、必死で模索して、心を疲れさせる。



生まれてきて、ただ生きて、ここにいるだけでいいんじゃないかなって。



生まれた時点で、人間は…あたしは奇跡を起こしたんじゃないかなって。



生きとし生けるもの、全てがそうなんじゃないかなって。



みんな、肯定されたから、生まれてきたんじゃないかなって。



生まれてきたのは、当たり前じゃなくて、



やっぱり奇跡なんだよ。



あたし自身が、奇跡を体現化した存在なんだよ。



だからって、



産んでくれてありがとう

生まれてきてよかった



と、おかんに感謝する気にはなれないけどね。



好き嫌いだって、個性だ。



世界は奇跡に満ち溢れている。



と、カメムシを見ながら思ったシナでした。



お読みいただきありがとうございます。