●女性の就業継続に関する先行研究
女性の就業継続の要因
①個人の就業意識
 最初から就業意識が強いか強くないか
②就業先における就業環境
 働きやすい職場環境が整っているか、働きながら仕事にやりがいを感じるか
③家族など周囲の環境
 家族の支援があり就業しやすい環境や配偶者・パートナーの理解やすい環境.

樋口(2007)は女性の就業継続に関して、様々な家庭と仕事の両立支援策が女性の就業継続にプラスの効果を近年もたらしているが、経済環境の変化を失業率の変化でみた場合、企業は不況下のときに雇用調整を行う可能性が高く、好況期に人手不足になると雇用を増やすとともに従業員の就業継続のための促進をする(運用)、つまり特に②の就業環境に重点を置き、国の施策を企業のが導入し、かつ運用することが必要だと主張している。
大内・森田(1994)は論文自体が非常に古く、現状とは当てはまらないが、1990年代前半の基幹職女性に関して調査して、これらの女性が働き続けることは事実上困難であり、その要因を②の就業環境の一つである日本企業特有の性質、そしてそれが巡り巡って労働者の価値観を形成し(*企業社会)によるものだとしている。それは、「ウチ社会」と言われる日本の企業が集団主義的・階層的意識を持つ人々から構成されていて、個人に全面的な参加を要請して、自分が特定の集団に所属しているという意識の基に、従業員と企業との間で長期的なカシカリ関係を維持している一種の社会のことである。この社会の中では基幹職女性は男性並みの、時には男性以上の努力を持って働くことや、家庭責任を持たないことが必要とされる。環境変化に対応し、これらの考え方を.変える必要があり、女性の活用と表裏一体している男性の活用の改善が必要だと主張している。
一方、武石(2009)は①~③のすべてを考慮した分析を行い、かつ上記の2つの論文の調査対象者が離職者や不特定の女性であるのに対し、就業継続をしている女性への分析であるということが異なる。
そして、就業継続には①個人の意識の問題と②正社員の柔軟な働き方が必要であると主張している。


女性の就業継続に関する諸要因が何かを様々な角度から研究したものである


Ⅲ武石 恵美子『キャリアパターン別にみた女性の就業の特徴』(2009)

問題意識:
女性の就業キャリアは多様な軌道を描く。男女雇用機会均等法施行以降、仕事と家庭の両立支援策の充実など、女性の就業継続支援については様々な政策が展開されてきた。
しかし、様々な政策にもかかわらず、結婚・出産を経た女性の就業継続は遅々として進まないのが現状である。これまでの女性のキャリア展開に関する様々な先行研究から考え、女性がキャリア選択をする背景にある要因は何か、自身のキャリアパターンに関して満足しているのか。また、キャリアパターンによる就業実態や生活実態の違いはあるか。これらを分析することによって今後様々な施策のどんな点を充実させていくべきかを明らかにする。


先行研究:
 ①女性のキャリア展開について(1980年代までの女性のキャリア展開を分析し、高度経済成長期に女性のライフ  コースが多様化した)…今田(1991)
 ②女性のキャリア展開の詳細について(女性の初職継続率は男性に比べると低く、結や出産で多くの女性が無職になっている現状があり、これは均等法後に就職した世代においても同様の動向である)…池田・酒井
(2007)
 女性の多様な就業パターンについて
 ③労働市場への定着は女性の学歴によって差があり、勤続4年を過ぎた頃から学歴が高いほど労働市場に定着する確率が高くなる…平尾(1999)
 ④大卒で就労を継続している女性は、大学卒業時に陽気的な就労選好であったものが継続的なキャリアを築く傾向がある…西川(2001)
   また西川はその後大学卒業じに短期的な就労選好の者であっても、ついた仕事にやりがいを感じたり、育児と両立できる環境がある職場であるという条件が整うと継続就業につながるという研究結果も発表している。
 ⑤本人の意識はもともと就業継続を希望していた女性が、勤続しやすい職場を選んだり、女性が働くことを否定しない配偶者選択など条件を意識的に整備するという側面もある…富田(2001)
 女性の就業継続について
 ⑥女性の就業継続に仕事と家庭の両立支援策が重要である…樋口(1994)、森田・金子(1998)、滋野・大日(1998)、樋口・阿部(1999)
 ⑦親の年齢により女性の就業継続を促進させるか後退させるかは異なる…前田(1998)
 ⑧夫の家事•育児参加が増えれば女性の就業を促進する効果がある…松田(2005)

仮説:
①背景については、女性のキャリアパターン選択には個人の価値観をベースにして、職場の要因、家庭の要因が絡み合っている。
②キャリアパターンによって満足度は異なる。

利用資料:
内閣府「女性のライフプランニング支援に関する調査」(2007)
これは全国の30~40代女性を対象に2006年に実施したもの。現在就業者、現在無職者を初職継続者、離職経験があり現在就業者、就業経験があったが現在無職など細かく細分化された資料である。

検証方法:
ここでは結婚/出産を経た女性のキャリア選択に注目し、配偶者があり、子供がいるサンプル1708人を分析し、特徴を抽出した上で、就業継続する女性の特徴と満足度がキャリアパターンによて異なるかを計量分析。

結果:
《キャリアパターン選択について》
継続就業者は結婚・出産時にも働き続けたいと思っていた割合が高く、特に初職継続者でこの傾向が強い。また、結婚時に比べ、出産時に仕事を続けたいと希望して実現しなかった人が多くなる。
そしてこの初職継続者に限って職業の内訳をみると、「専門・技術的職業」が43.6%であり、最も高い。(全キャリアパターンでは事務職が最も高い)また、職場環境と特徴としては仕事と子育てを両立しながら働き続けている先輩が多くいる(いた)と回答する女性が多い。
また、配偶者・パートナーとの環境については、就業継続の女性の夫の5割が妻が働くことに肯定的であり、逆に無職者や結婚・出産時に離職経験者の7~8割の家庭が「ほとんど妻が家事•育児を担っている」という男女分担意識が強い。
そして計量分析の結果から、配偶者の年収と就業継続についての関係性は有意でないが本人の意思の影響が大きく、仕事も育児も力を入れたいと考える女性は就業継続のパターンが多い。そして初職の特徴では企業規模が小規模な方が就業継続が多いことがわかった(一般的には大企業の方が精度が整っているために就業継続しやすいという言われている)
そして、男女機会均等施策だけでは女性の就業継続はマイナスになるため、両立支援とセットで施策を進めることが必要である。
また、就業継続者と再就職者の就業形態を比較に関する計量分析では、初職就業者は正社員が約65%だが、再就職者では約80%が非正社員であり、職場環境については再就職者が家庭と仕事の両立を強く意識した就業選択をしていることがわかった。

《働き方への満足度》
結婚や出産を理由に再就職者よりも初職就業継続者の方が満足度が高い。

結論:
子供がいる場合に高く支持されるのが、「フルタイムだが残業のない仕事」「短時間勤務」であり、これまで女性の就業継続支援は仕事と育児の両立支援策と女性の能力発揮を進める均等施策が車の車輪であると言われていたがその前に、正社員の働き方の柔軟化を進めることが必要である。そして、就業継続に個人の意識が影響することから、女性の就業意欲に対する働きかけの重要性があることがわかった。












Ⅱ大内章子、藤森三男『日本の企業社会―女性労働についての考察―』(1995

問題提起:

日本企業は経済発展をより早く果たすために様々な人事・企業システムを構築してきた。そして、これまでも企業に参加してきた女性の一部が今日(1995)、企業で補助的でなく主体的に働くことを望むようになってきているなどの、女性の労働に対する変化があるが、これらの女性は従来の仕組みに対応できているのか、できていないとしたらそれは何故か。

ここでは基幹労働者に絞って、なぜ基幹労働者として働く女性が少ないという事実のもと、何故かを検証した。(*基幹労働者…この論文では総合職の意味だと推測できる)

先行研究:


日本企業の特質(ウチ社会)の研究…藤森(1991)清水(1991


企業社会が会社を規制し、従業員の考えと行動に影響を及ぼすという企業文化の研究

…クラーク(19791981


産業別女性総合職採用に関する研究…氏原正治郎(1986

仮説:

なし

利用資料:総合職女性30名に対する面接調査

分析方法:

面接調査で①基幹労働者として働くことのできる女性が少ないのは何故か②基幹労働者として働く女性は、仕事に対してどのように考えているのか③女性が基幹労働者として働くにあたって障害や問題点は何か④激しい競争をくぐり抜けて基幹労働者としての立場を選んだ後になぜ退職を選んだかという4項目の聞き取り調査から導き出す方法


結論: