小さな床テーブルに父と向き合うように座り直すと、父は少し険しい顔をして話し始めた。
_「もう美羽は6年生だ、来年からは中学生だな」
「う、うん」
_「お母さんが死んだとき美羽はまだ5歳だったから
難しい話は分からなかったけど、今なら理解できると思う」
「うん、ちゃんとわかるよ」
_「そっか、じゃあ大丈夫だ」
お父さんは一息ついて口を開いた。
_「お母さんはな、事故死だったんだ」
「事故死?」
_「トラックにひき殺された」
「え…」
"ひき殺された" 父の強い口調にドキッとした。
それかなにより、もう少しオブラートに包む言い方はなかったのだろうか。
"殺された"とはっきり私に言ったことがなにより
私の心に刺さった。
_「トラックの運転手はお酒を飲んでたんだ」
「…飲酒運転ってこと?」
_「あぁ、酔っ払っていてね横断歩道を歩いてた
お母さんに突っ込んだんだ」
お母さんは___殺された。
その言葉が私の頭で循環する。
これは夢をみてるんだ、そう思って
頬をつねってみた。
だけどただ、ジーンと痛むだけだった。
父はそのまま話を続けた。
_「その運転手はお母さんを引いた後、逃げたりしなかった」
「…どうして?」
_「寝てたんだ…車の中で」
「…」
_「かなり酔ってたんだな…」
_「だから、警察から取り調べを受けても
"俺は知らん!"の一点張りで何も覚えてなかっただと」
「それでどうなったの?」
_「裁判を開いた、そのときお父さんは初めてその人と顔合わせたんだ」
_「なぜかな、お父さんその人をみたとたんに
怒り狂ってその人に殴りかかってしまったんだよ」
お父さんの行動は狂ってたんじゃない。
私もお父さんの立場だったら、、って考えると
その人を殺したい気持ちになると思う。
まだ、殴ろうとしたお父さんは
偉いと私は思った。
