寿命が尽きようとしていた高齢者がひとたび病院へ送られるとどうなるか?
直ちに病気が見つけ出され、病人として治療され、自然には死ねなくなってしまう。

故松田道雄氏(育児の百科の著者)満88歳の時の手記によると、
体力に関して言えば、去年の夏に急に弱まりました。
何もしなくても全身がだるいのです。
脚が弱くなり、立ち上がるのに何かにつかまりたくなります。死が近づいた気配をいつも感じます。死ねば、呼吸が止まり心臓が働かなくなり脳に血が回らなくなり意識がなくなります。
この世に生まれる以前の状態に帰るのですから、これは怖くありません。怖いのは、息をひきとる前に病院でいろいろ苦しまなければならないことです。こちらはやるだけのことはやってしまったのだから、今の生活ができなくなったら、命をのばしてもらっても生きている意味はない。

高齢者の本音でしょうか・・・

衰弱すると肺炎を起こしやすくなる。そうやって亡くなるのが自然なのですが、胃ろうを造設すると、胃ろうから治療薬を入れられ死ねなくなってしまう。

人間は何も食べられなくなったら、そう長くは生きられない。自然界では当たり前のこと。

高齢者の終末期には飲食を断ったほうが穏やかな死を迎えられる。

フランスの老人病院の考え方
老人医療の基本は、自力で食事を嚥下できなくなった時点で医師の仕事は終わり。あとは牧師の仕事です。