誰かの愛しい人
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無題

誰かの愛しい人-NEC_0056.jpg
ぼどり。


二粒ほどの水滴が、相次いでシーツに染み込む。


私さ、今度こそって思ったんだ。

しあわせだったんだ。


知らない時間がたくさんあったけれど、そんなことどうでもよかったし、関係無かったんだ。


唇が溶ける程キスをして
長い髪を撫でて
ツルツルの肌を何度も撫で下ろす

電気を消して
クラクラするくらい熱くした良い香りのするバスタブに浸かって
どうにかなってしまうんじゃないかって位、何度も何度もキスをした。


お湯が溜まる間、ビールを飲みながら猫を触る姿が可愛いかった。





甘いものが嫌いで
メンソールの煙草が好きで
猫が好きで



初めてうちに来た日の夜
布団に入って壁にもたれて
暗い部屋で二人とも今までに何度も見ている映画をはじめて一緒に見て

私が試しに布団ごしに膝枕を求めたら
とんでもなく照れていた。

なんて可愛いのだろう。


映画、止めよっかと彼が切り出し


ぎこちないキスに手つき
呆気にとられたけれど
今では凄まじく、愛しい。



駄目になったわけではない

でもあの日から時間が止まったわけではない

あの日から時間が進む訳でもきっとない


私はあなたじゃなきゃ、と、思い込んでしまっているだけなのかしら。

あなたはあたしじゃなきゃ、じゃ、もう、ないのかな。


私は一生、あの5ヶ月
日にちにしたら14日ほどの日々を追って、美化して、淡く期待して、生きていくのかな。




もう、最後の日から、半年以上、経ってしまった。

きっとこんなはずじゃなかった。

お互い思っていると思う。


会いたいと、嘘でも言ってくれなくなった。

だから心底、会いたいと言えなくなった。


嘘じゃない嘘だけど、私はしあわせだったんだよ。

今でも言ってくれたら、しあわせだよ。


あなたの中で私が邪魔になっていくのが怖くて、何も言わなかったし、何もしなかった。
そんな私が自分で駄目にしたのかな。


初めから何もなかったのかな。


ニルウ゛ァーナ
COOLメンソール
ドラム

黒の長い髪
映画

写真が嫌いだった。

何もなかったのかな



私の身体を触る手
柔らかい唇

めっちゃ好きやで、何度も何度もそう言った。


何もなかったのかな。

今でも全部、鮮明に思い出せるのに。





綺麗な後ろ姿だった。
見惚れる様な姿だった。

ずっと見ていたい。と、思った。

でもそれが最後だった。



夢は、見ている時が、しあわせだ。


それなら私はずっと、夢を見ていたい。

あーだめね

訳あってつばきとさよならした私は部屋が冷たい。


ダーリンは最近バンドに力が入っていて相手してくれない。



捌け口のない花粉症の私は、DSばかしりています。


バイト中もゲームのことばかり!



だめね。

その後ろ姿は

その後ろ姿は、思わず見惚れてしまうくらいだった。


たくさん話をして、やっぱり私は間違ってなかった。


他からしたら、おかしいのかもしれないけれど、これで私たちが成り立つのであれば、他なんてどうでもいい。




芸術と音楽、内容は違えど気持ちはわかる、私は今まで誰にもできなかった話を彼にしていた。



それを全部聞いてから彼は、前よりもっと好きになった、と笑って言った。





ここ二週間を2人で振り返ってみた。

スイッチが入ると、興味意外は全く見えなくなる彼は、私を忘れていたわけではなかった。


私は、スイッチが入っていることがそれとなくわかったから、我慢ではないけれど、連絡も会うこともできなくったって文句一つ言わなかった。


当日ドタキャンもあった。毎日きていたメールが丸二日こなかった。


でも言わなかった。


彼がわざと連絡しなかったり、ドタキャンしたりしているわけではなくて、むしろ会いたい気持ちがあるのがありありとわかるドタキャンで、でも突っ張ってごめんなさいが言えない。そんな自分が子供で嫌だ、と思っているのだろう。



と、いう推測の元、私はほったらかしにされても怒らずにいた。




その事を言ったら、すごいな、なんでそこまでわかってしまうん。

と言った。




恋愛と音楽を両立できないという彼だけれど、愛する力がどれだけの力を持つのかが知りたいらしい。



へーじゃあ頑張って相手見つけなな


と言ったら、笑ってグーパンチされた。





そんな彼を玄関から送り出したのだけれど、その後ろ姿は、見惚れてしまうくらい綺麗だった。


彼は、姿が綺麗だ。



そんな事を思いながら、この文章を書いていたら、つばきが出窓で鳴いている。

なんだろうと、思ったら携帯がなって、また忘れ物したぁ。



玄関をあけると、あかんなぁ俺。と彼は笑って言った。



そしてまた後ろ姿を見送り、綺麗だな、と思いながら、彼の香りのついた布団で眠ることにします。
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