ふと - またまた -
ふと
- またまた -
また今日も終電だ。
しかも今日は、何処かで一杯やって来た訳ではない。
駅前の自転車置き場に気のいい弟のバイクが置いてある。
朝借りたのだ。
駅から歩くなら、先ずいつもの怖いお兄さんのホットドッグを二つ買って、参道の坂を登って寺の境内を抜けて、二つの墓地を抜けて、県道を超えて、其処まで登って来ただけの下り坂をだらりだらりと下って、もう一つの寺の前を通って、塀の上に突き出た卒塔婆を気にして家に帰る。
バイクのエンジンを掛けて駅のロータリーに出ると、警察官がおいでと呼んでいる。 と言うより通せんぼだ。
「何処から盗んできた」 いきなりこう来た。
弟のだし、登録書がある。今出す。というと、
「必要ない。誤魔化すな、 正直に言え」 と来た。
「分った、白状する気はサラサラない。アンタが私を逮捕して、テガラを立てろ。確かに盗んだのだろうが、言わない。捜査しろ、仕事なんだろ」
そう言ってやった。
相手は勿論逆上したのだった。
腕を握ったので
「独りでそういうのはマズイな」 と言った。
「逆らうのか!」
モット怒った。
「従う必要も無いとおもう。犯人なんて言うのは反抗するもんだ」
、、、交番に監禁だ。
私にとって納得が行かなかったのは、深夜の交番勤務は一人では出来ない筈なのに、片割れの姿の無いことだった。
随分省くけれども、その後、名札を隠し矢鱈とちびた鉄砲と警棒に手をやるおまわりと交番の中にいた。
終電の後だ、誰もいやしない。
この監禁を証明出来ない訳だ、朝まででも付き合う心算だった。
「俺に触れたら公務執行妨害だ」そういうバカな公僕と。
なにが公務だ馬鹿たれと思いながら
「折角窃盗犯をとっ捕まえたんだから早く本署に連絡を取って、ぶち込め。本署でなら、総てゲロしてやる、、、、あんたに勇気あるか。」
しか言わない残業疲れのやけくそが、飽きた頃、片割れが帰ってきた。
「ナンだ」 こう言った。
「なんでもない」 鉄砲と警棒の公僕が言った。
「何でここにいるんだ」 帰ってきた片割れが聞いた。
「バイクをカッパラッテ来たところを捕まったんだ。もう二時間ここに居る」
そう答えた。
「もう帰っていい」
そくざに片割れが言った。
私は、盗難車にまたがり家に帰えされた。
怖いお兄さんのホットドッグ屋ナンテ、とうに居ない、、、、、、おしまい。