自分の中のレスポール像を打ち壊すほどの最高な個体に出会うまでは、バースト系のレスポールは買わない。

 

という思いを持って今まで過ごしてきて、

たまに見た目が好みなレスポールを試奏してはピンと来ず。

最高の1本なんてものにはそうそう出会うことはないんだろうな…

 

と思いながら過ごしていた矢先に出会ってしまったコイツ。

 

レスポール、買わされちゃいました。

 

良い木材を使い、良いピックアップで鳴らしたら、こんなにもいいギターができるんだ

という至極シンプルなことに気づかせてくれた1本。

 

 

Crews maniac sound VINTAGE LINE LED PREMIUM

 

 

 

 

 

簡単なスペックはこちら。

 

Body:Selected Flame Maple / OnePiece Honduras Mahogany
Neck:OnePiece Honduras Mahogany
Fingerboard :Premium Jacaranda
Pickups:K&T N.O.S WEEP ZB/WW

Date:2008年

 

その他の基本的なスペックは通常のレスポールと同じです。22フレット、 2-Volume、2-Tone、3-Way PU Selector。

 

CrewsのVintage Line発足初期に製作されたもので、おそらく3rdロットのLED PREMIUMであると推測されます。

 

Crews maniac soundの製作するバースト系レスポールで、現在あるラインナップはVintage Lineの「LED 1959」。

LED PREMIUMはその前身モデルにあたるものです。

現行モデルのLED 1959も厳選された良質な材を使用して製作されていますが、

それの前身モデルということで更に優れた材を使用して作られたものだと思います。

ギターを作るにあたって、ストックの中でもいいものから使って製作するだろうし。

 

 

 

各部を細かく見ていきますが、まずはギターの本体、使用している木材から。

 

当然のごとくホンマホ・ハカランダ・ハードロックメイプルを使って作られていますが、これもただの銘木ではありません。

なんと、クルーズの吉岡社長秘蔵の20年近く自然乾燥されたプライベートストック材を使用し、作られています。

 

ハカランダ・ホンマホ等「銘木」と呼ばれる木材を使用したギターは、2020年現在では比較的容易に手に入れることができます。

もちろん銘木ゆえに溢れかえるほど存在するわけではありませんが、

貴重と言われている割に案外あるんだな、程度には見かけます。

 

しかし、巷にあるハカランダはほとんどが機械設備によって含水率を下げられたいわば強制乾燥モノ。

 

強制乾燥された木材が全て悪いわけではありませんが、やはり優れているのは時間をかけた自然乾燥。

長い年月を経てゆっくり水分が抜け出し、木材の反りや狂いの出切った自然乾燥のモノは木材としての安定度が違います。

 

木材としての質が高いのはもちろんですが、ルックスと木取りも完璧。

揺れるさざなみのようなハードロックメイプル。角度によって変わる表情はまるでリアルバーストのよう。

バックのホンジュラスマホガニーはこれ以上ないくらい理想的な板目。

ネックも目の詰まった導管がしっかりと弦の振動を伝えてくれそうなホンマホが使われています。

ハカランダも黒光りするほど色の濃い厳選材を使用。見た目だけではなく数百枚の中からタッピングし硬質な響きを持つものをセレクトされています。

 

組み込みも丁寧かつツボを押さえた仕上がり。

当然のようにディープジョイント。

 



 

次に特筆すべきポイントとして挙げられるのはピックアップ。

 

 

 

搭載されているのは「K&T N.O.S WEEP WW/ZB」

完全手巻きによるピックアップ製作で知られるK&T製のハムバッカー。

WEEPはその中でもキャリア初期に作られたピックアップです。

N.O.Sが意味するのは「ニューオールドストック」。すなわち本物のヴィンテージコイルを使用して巻かれているということ。

 

ハムバッカーを1セット揃えると、ミドルランクのギターが余裕で1本買えちゃうくらいの金額がするこのピックアップ。

そのイメージもあってかネット上では賛否両論あるメーカーなのですが、

僕個人的には素晴らしいトーンを持つピックアップであり、このクオリティ・マテリアルならば妥当な金額かな?と思います。安いとは言わないけど(笑)

 

まぁでも正直なところ、お店の売り文句のせいでオカルトチックな印象を抱かれているところはあると思います。

ほんとにいいピックアップだしここまで言いたくなる気持ちはわかるんだけど、

相場からかけ離れた高額な商品を盛大な売り文句で売っていたら、ちょっとだけ怪しく感じるのも無理はないと思う(笑)


キャビティのバックパネル裏には手書きでモデル名やシリアルナンバー、

更にはこのギターを作るにあたってイメージされた曲名が書いてあります。

The Rain Song。

もちろんLed Zeppelinのあの曲なんでしょうね。


Crewsが名付けた名前?的な感じですね(笑)

こういう演出はおしゃれで好きです。

ちなみに記入しているのはCrewsの吉岡社長ご本人だそうです。

絵もかわいくてお気に入りポイントのひとつです。

 



ヘッドロゴもちょっとやる気ない感じがして好き。



指板も黒々としたハカランダ。
個人的にこのアングルから見るレスポールが好きです。


 


レスポールを買うなら絶対Gibsonだなって勝手に思っていましたが、

結局Crews maniac soundに落ち着いてしまった…(笑)