文句言いの私の座右の銘のひとつは
「足るを知る」
それでも心が不満でいっぱいになってしまって
幸せって自分の考え方次第だってことを忘れかけた時に
何度も読んだ本が
『幸福を知る才能』-宇野千代
背表紙に書いてある言葉は
「私は不幸に対してなかなか凹まない自信がある。どんなところからでも、私流に幸福を見つける自信がある。私は、もちろん不幸は好きではない。・・・自分を不幸だと思うことの方がもっと好きではない。 ・・・」
書き下ろしではないので内容は幸福についてのことばかりではなくて
宇野千代さんが歩んできた自由奔放な人生についてがたくさん書かれているんだけど、
周りと比較したり、人の目を気にしたりし過ぎる私にとっては
向こう見ずで大胆と思える彼女な行動の数々や、
自分の気持ちに正直でひたむきな生き方が、
憧れであり、目標なのです。![]()
本て、いつも縁だと思うの。
本屋さんや図書館でも思わず手にした本が
いつもその時の私に必要な何かを教えてくれるの。
読みなれた本でも、今までとは違う、その時に必要なメッセージを受け取れたりする。
今回心に刻んだ言葉は
私の”離婚十戒” の一部
「(この題は、ひょっとしたら、「結婚生活十戒」と言った方が良いのかもしれません。)」
と書いてあります。
禁制第三条
家庭の中を刑務所にすることなかれ。
禁制第五条
「あなたと違って、私だけはいつも正しい人間よ」と言う風をすることなかれ。
反対に、妻はいつでも良人の悪いことの共犯者になることです。
禁制第七条
良人の欠点を夢にも言葉に出すことなかれ。
また心の中でも、繰り返して考えることなかれ。
良人に対してはおのろけ以外は口にすることなかれ。
禁制第十条
何事にも、陰気で深刻な表現をすることなかれ。
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”「らしさ」の美しさ”の章から
「あなた、心配しないほうがいいわ。あなたのような優しい気持ちを持っているのは、
女であることの特色だわ。女が優しいと言うのは、ごく当たり前のことで、格別、ほめたことではないと思うの。今は、男までが、女らしい気持ちを持っているような世の中だから、このままでいくと、日本中、総女性化的、というようなことになりかねないと、私には、そのことの方が心配だわ。ところが、あなたのご主人はそうではない。美大出の、確固たる自己の世界を持っているのに、そのこととは関係なく、一家の生活を支えるために、大工さんのしているような力仕事をしている。
それもいやいやではなく、まるで、喜び勇んでしてでもいるように、談笑してね。ご主人は一家の犠牲ではなく、一家の生活の支えなのよ。私には、ご主人のこの姿は、とても男らしく見えるわ。さっきも言ったように、日本中、総女性化的なこの時代に、この現象は珍しいことのように、私には見えるの。安心してらっしゃい。男は、男らしいことをしている間は、決して堕落しないものよ。ご主人の後についていらっしゃい。今にきっと、あなたが吃驚仰天するような、ご主人の意にかなった仕事をするに違いないから、あなたはその時まで、だまってご主人のすることを見ていればいいのよ。あなたの心配している顔が、ご主人にとっては、一番、つらいことではないかしら。だから、あなたは平気で、談笑して、ご主人の後からついて行けばいいのよ。」
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そうか、そうか、そうだ、そうだ。
きっとそうなんだ。
それから、たまに「もう歳だから・・・」と思ったり、
死について考えて恐ろしくなったりした時によく思い出すのが
この本に載っている一つのお話し。
彫刻家の平櫛田中さんが八十九歳の時に伊勢神宮から神馬を八体、頼まれて、
「私は老人で急ぎ仕事はできないが、一年に一体づつ納めて、八年目に八体を完納しよう」
と返事をし、その通り九十八歳で完納した。
百歳になっても、まだ六、七年先でなければ乾ききらない木彫りの素材を蓄積している。
すごいなあ。
こうありたい。![]()
お二人のように、
周りや、余計なことを考えず、
人と比較なんて絶対にせず、
前だけを見て
真っすぐに
生きたいなあと
また、心に刻んだのでした。![]()
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