クリスマスの日、 叔母さんが話してくれた、私が知らない旦那さんの話し。


叔母さんの言葉

「彼は、ずっと家族と離れてて、孤独だったから。

離れて住んでいる間、私はあんな孤独に打ちひしがれている人を見た事がないって思ってた。 」


・・・・・・

私が一人、また一人と家族を失い、絶望の中たったひとりで子供を育てている時、

旦那はひとりで自分の時間と金を使って許せないって思ってた。

私達には関心がないと思ってた。



彼の親も、兄弟も、誰も彼に興味がなくて、私はそれが許せなかった。

彼のお兄さんは、優秀で、親はお兄さんをを誇りに思って、 いつも兄のことばかり話してたの。

そうすると、もう一人の兄弟はどういう気持ちになるか私は知っている。

彼は、劣等感でいっぱいなのよ。」



旦那さんが劣等感を持っていることは知っていた。

優秀なお兄さんを持っていることと、

アスペルガーゆえの、失敗体験の繰り返しからくるものだと思っていた。

お兄さんがそこまで優秀で、親が彼ばかり誇りに思っていたとは知らなかった。


子供が何をしようとも責めず、勇気づけ、 ただただ信頼することができるのも、

劣等感を持ってしまう子の気持ちが 痛いほどわかるからなのかもしれない。


前に、旦那さんがなぜ母親にあんなに文句ばかり言われ続けても従い、尽くすのか問いただした時、

「子供のころ、俺の足の障害のために苦労かけたから。」って言ってた。

「ただの、マザコンだろ!」って思ってたけど、 親の愛で満たされたことがないため、

いまだに、親の愛を求め、認められたくてしょうがないからかも。

それが、人の子、愛されなかった子、というものなのだろう。


「この前、サンクスギビングで会った時には、

夫たちに、冬になると仕事がなくなるから、 どうしたらいいか、何の仕事ができるかって、

ほとんどパニック状態で聞いてきたのよ。」



!!!

本当に、一生懸命職探ししてるんだ!

今は失業中で家にいる旦那さん、毎日PCとTV観てのんびり楽しんでいるように見えて、

仕事探してるって言うけど、本当は働く気なんかなくて、 もともと夏だけたくさん働いて、

冬にはゆっくりするつもりだったんじゃないかって思ってた。



「朝5時に出勤して7時まで働いていたんでしょう? 怠け者じゃないと思うわよ。

こんな気候の国だから、季節労働者はいっぱいいて、

彼のような仕事だったら、 働いていた時に失業保険もかなり払ってるはずよ。」



勤勉な日本人の私としては、失業保険なんてもらうのは

他人様に養ってもらうってことで心地悪く、 申し訳なさでいっぱいなのに、

旦那さんは、「税金払ってるんだから、当たり前」みたいな顔して、

謙虚じゃなくて理解できないって思ってた。

あれもこれも、彼の言ったことは、嘘じゃなかったんだ。

私が疑ってネガティブに考えていただけだった。

今回カナダに来て、この国のセイフティネットについて調べた時、 あまりにも整っていて、

社会主義のようだと思った。 働かなくても、簡単に補助を受けられる。

だからカナダ人には怠け者が多いんだ、 なんて思ってたけど、それだけじゃなかった。

そうか。季節労働者って、農業とか、漁業と思っていたけど、

建築、工事、その他、それにまつわるサービス業までもが影響してくるって。

思いつかなかった。

労働観が違う事には気がついて、それを頭に入れておかないと 不満が大きくなるとは思っていたけど、

まだまだ知らないことがあった。


「昔、彼の作品を見たことがあるんだけど、もう、とても素晴らしくて、感動したのよ。

彼は、すばらしい教養と才能の持ち主ね。」



私が、旦那さんと出会った時、

旦那さんは自分の作品を少しずつ世に送り出していた。

初めて彼のその作品に触れた時、私は衝撃的に感動した。

その才能がうらやましくて、自分が小さく思えた。

旦那さんの才能は、私がこの世の何よりも信じられることで、

一生結婚しないと決めていた私が結婚したきっかけで、

生活に埋もれて自分自身忘れてしまっていた旦那さんに、

今私が一生懸命思い出させ、励ましていることで、

(時間がいっぱいあるんだから、失業中に頑張って欲しいことで…)

彼の才能を知っていて、まだ覚えている人が私の他にも…

そしてこんなところにいることに驚いて、すごーく、すごーく、感動した。


この一言だけでも、この叔母さんが私と同じ感覚を持っていて、

旦那さんのことを本当に理解してくれていることが良く分かった。



この人と、時間と、空間にたどり着いた縁に感謝する。


・*:.。( ´ー`).。.:*・゚



でもね~!の愚痴は今日はやめておく。明日かな (`∀´)