デパートにいったら、自撮りをしてる20歳くらいの二人組の女子がいた。場所はエスカレーターの横にあるソファ。大体それは、エスカレーター側に背を向けて座る形になってるよね。だから彼女らは通路側を向いて座ってる。二人くっついて座って、スマホを前に突き出し自撮りをしている。別に突き出してるスマホが邪魔とかはない。通路は十分な広さがあったから。ただしやっぱり通路側を向いて自撮りのための顔を作ってるんで、通路側を歩く人たちにその顔をさらしてるということになるわけだ。
私がゆっくりと通路を歩いて来て自撮りをしようとしている彼女たちにやや離れた場所から気づき、真ん前を横切り、通り過ぎてもまだ、自撮りを頑張っていた。
彼女たちは、口をぱくっとあけた状態で自撮りをしようとしていた。シャッターは瞬きで反応するように設定しているようだった。上手くとれないみたいで、腕を突き出し、顔を寄せ合ったまま、私が離れたとこから近づいて行って通り過ぎて行って振り向いてもまだ、何度も何度も撮っていた。
口をぱくったあけた状態で撮ろうとしている。瞬きでシャッター切っている。その様子は、それはそれは滑稽であった。上目遣いで、口をぱくぱく、目をぱちぱち。前を通る時、あまりにおかしくて笑ってしまった。笑いながらずっと二人を見ていた。そうやって写真をとる様子がどれだけ滑稽か彼女たち自身は分かっているんじゃないかなあ。自覚できない年齢ではないと思うんだ。そんな滑稽な顔で写真を撮るなら人のいないところで撮りたいと私は思うが、公衆の面前に長い事滑稽な顔と滑稽な様子をさらしても平気な、周りは関係ない、私たちの滑稽なところを見られても構わない、エスカレーターの横というそこで写真を撮る理由も分からない場所だけど、口をぱくぱく目をぱちぱちやる滑稽なさまをさらしても私たちが良いと思える一枚の写真がとれればそれでいい、という強いメンタルの持ち主なんだと思った。