田舎へ帰ってまもなく一か月。

一日の時間の流れは遅くても、確実に毎日過ぎていってるのを

実感。

月末で、一人退職した。私が入社できたのはその人が辞める

からだった。

30年以上この職場で勤めてきて、あと数年で定年退職だという

のに、辞める理由は家族の介護である。


ここは地方のせいか、都会と比べても格段に高齢化している。

街を走る自動車を見回すと、クローバーマーク(もみじマークの

改訂版だっけ?)を貼っている車がかなりいるのがわかる。

転居して驚いたことの一つである。確か75歳以上のドライバーは

貼るという話を聞いたが、ドライバー達をみてもホントにジーさん

バーさんが多い。

車を運転できるならば、まだかなり元気である。正直、自動車事故

件数は毎年ワースト3位に入っている。年寄りの事故が多いことや、

ドライバーのマナーが悪いためらしい。

私もまだ一か月足らずで実に事故を3回も見てしまった。。。


さて、私の親は、自分が痴ほう症や歩けなくなったら老人介護施設に

入れてほしいと、以前からお金を貯めている。

かくいう私も子供が一人なので、絶対に迷惑をかけたくはない。然るに

現在は貯蓄はないが、いずれは介護ホームに入りたいと願っている。


だが、今回退職した会社の先輩は、自分が姑を介護するとの事である。

田舎ならではか、ご主人の家に嫁いでいる女性が多い。仕事は持って

いるが、子供の面倒は祖父母がずっと見てくれていたのである。

時が過ぎ、孫たちも成長してそれぞれ独立。。。その頃に祖父母は

90歳前後で、だんだんと身体の自由が利かなくなる。

家が農家だったりすると、山だの畑だの農作物の作業があるために

その代わりもやるか、農業を止めるかの選択にもなってくる。

彼女は義理の両親の世話をする選択を取ったのだ。


「今までずっと私が働いてこれたのは、ばーちゃんが子供たちを

みていてくれたからね、仕方ないのよね」


優しい女性である。私が入社した時から、とても悲痛な顔をしていた

彼女。時折、会話の途中で笑うことがあっても、絶えず疲労感を

漂わせて。。。あえて話を聞かなくても家庭が大変な様子が手に

とるように伝わってきていた。

他人は何も手助けができない。


彼女の数少ない言葉を聞いて、ふと頭をよぎった。

私が介護される立場だったら、(もちろん頼らざるをえない

くらい当事者は辛いのだろうけど)自分からホームに入りたい

と言うだろうなあ。。。(彼女のために)どうして言ってくれない

のかなあ。

聞けば、入居するだけの経済力はありそうな感じのおうちで

ある。こういうところはやっぱり田舎というか古風なのかな。


誰にでも遅かれ早かれ同じような境遇は訪れる。

家族、そして自分。誰もが元気で年をとりたいけれど、人生80年

が当たり前のようになってしまえばそれなりの弊害もある。

決してそう遠くない現実が来た時、自分はどう行動するのか、

どう思うのか。。。


彼女の顔に微笑が戻りますように。

それだけを願って車を見送った。