大谷選手の「鈍感力」に興味を持ったのは、2018年のエンゼルスに入団した年のオープン戦での記者会見を見たときからです。

大谷は2017年のオフにメジャー入団を目指してアメリカに渡りました。入団の過程では獲得に手を上げた20を超える球団から入団した場合の自分の二刀流の起用法などのレポートを提出させてふるいにかけました。入団が有力視されていたヤンキースなどはこの書類選考で落とされました(参照


「あのヤンキースを袖にするとはすごいことをするな~」と思いながらテレビでスポーツニュースをながめていました。

2018年オープン戦がスタートします。まあ、このオープン戦の成績がひどかった。投手では2試合に登板、防御率27.0(現在は3.5ぐらい)打者では11試合に出てホームラン0、打率1.25。投げては打者一巡、ホームランを打たれまくり、打っては三振の山、ボテボテの内野ゴロと素人の目にも惨憺たる有様でした。


鳴り物入りでの入団、入団に至るまでの書類審査などの経緯もあったためにオープン戦の結果を見て現地のマスコミからはボコボコに叩かれました。

「マイナーリーグからスタートさせろ」「ハイスクールレベルの選手」と二刀流といっても所詮レベルの低い日本だからできたことでメジャーでは通用しない、と散々の評価でした。

試合後の記者会見では容赦ない質問が大谷に投げつけられました。これに応える大谷の姿がとても印象に残りました。

 

下記の記者とのやり取りは当時の資料がないので私の印象で創作した質疑応答です。こんなニュアンスだったぐらいのノリで読んでください。



「ずいぶん打たれたが」

「メジャーのバッターを数多く経験できて収穫があっった」

「4ボールも多かったが」

「球数を多く投げることができてよかった。ボールの感触、マウンドの傾斜、ストライクゾーンを確認できた」

「長打を打ててないが」

「まだタイミングが合ってないが数をこなしていくうちに修正できると思う」


とにかくいい経験になった、この経験を次に役立てるといった内容だったように思います。表情は、うつむいたりすることもなく真っすぐ前を向いています。

キツめのことを言われてもどこ吹く風、現在のホームランを連発したあとのインタビューとまったく同じ調子で淡々と受け答えをしています。



まあ、呆れるほどポジティブというか言葉は悪いが「この人ちょっと鈍いんじゃないか...」とさえ思えました。


記者たちは「僕の実力不足です。メジャー挑戦なんてとんでもなかった」と言わせたいようだがまったくそんな気配はありません。

私はこのときには術後2年目、まだまだ転移、再発の影に怯えていました。体にちょっと違和感があるとすぐにがんと結びつけていました。

そんな私から見ると単身渡米して投げてはボコボコに打たれ、打っては三振の山を築いても「日米のファンの皆さん期待に答えることができず申し訳ありません」とうなだれるようなそぶりを全く見せない大谷選手は新鮮でした。

大谷の空気を読まない堂々とした姿にあっけにとられたというか笑ってしまいました。「日本人でこんな選手がいるんだ。すごい鈍感力だな~」と爽快な気持ちになりました。「おれもがんの影におびえてばかりじゃいかんな、もっと鈍感力をつけないといかんぞ」とおおいに励まされました。

 

 


大谷選手の鈍感とも見えるまったくめげない対応からそんなことを教えられました。

 


他の方のブログを読むことができます。

 にほんブログ村 病気ブログ 食道がんへ
にほんブログ村;


食道がん ブログランキングへ