那須旅行の続きです。二日目は藤城清治美術館に行ってきました。

 

 

切り絵というと、最近はあまり見なくなりましたが、昔は寄席で落語や漫才といっしょに切り絵漫談というのか話しながらハサミでチョキチョキして裏から照明を当てると動物や風景が浮かび上がってくるイメージを持っていました。

 

藤城清治という名前は知っていましたが朝日新聞の日曜版や「暮しの手帖」で連載されていた切り絵の作家ぐらいの印象しかありませんでした。

 

そんな私の貧しい切り絵のイメージをぶち壊す迫力のある作品に圧倒されました。

 

そんな中で印象に残った作品は東日本大震災をモチーフにしたものです。「がれきは宝石」と名付けられた作品はがれきの山とそれを撤去する重機を描いています。

 

悲惨な景色なんですが、よく見るとがれきの下の地面には若草が芽生え、川にはサケの稚魚が遡上しています。

 

絶望の中にも希望はあるんだ、という作家の強い意志を感じます。

 

この作品を作成するために原発事故の騒動覚めやらぬ中、防護服と防護マスクを着用して懸命にスケッチしている藤城さんの写真が添えてあります。

 

今年で94才になられるといいますからスゴイですね。

見たことを見なかったことにはできない作家なんでしょう。

 

私もがんを経験して見たことをちゃんと発信しなきゃな、と人生の大先輩から背中を押された気分です。

 

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