ネカマ、ネナベ、ネット・オヤマ
ネカマ、という言葉がある。ネット・オカマの略で、リアル♂&ネット上♀を指す。
ネナベ、という言葉は、ネカマよりは通じにくいが。一応、ネカマの逆、リアル♀&ネット上♂を指す。
オカマは「女っぽい男」、微妙に蔑称の気配があるが、オヤマ=「女を演じる男」といえば、芸術である。
私が某チャットにのめりこんですぐの頃、初めて出会った「リアル♂&ネット上♀」の人物は、ネカマというのはもったいない。ネット・オヤマ、とでも、称号を献じたい。
とにかく、優しい人だった。仕事の愚痴を言えば慰め、体調が悪いといえば細やかな心配りを示す。抜群の記憶能力をもち、たとえば、風邪をひいた話をして、数日後にネット上で出会うと、
「おひさ♪ 風邪なおった? 心配してた」
という具合。「かのじょ」は、毎夜、何十人もの連中の話相手をつとめているのに、である。(あー、もうちょっと上品だったんだけどな、言葉づかい。私では再現ができません)
おそろしい(?)ことに。 「かのじょ」を囲む男たちは、ほとんどが、「かのじょ」がリアル♂であることを知っていた。たまに、事情をハンパにしか判っていない者が、「でも、××子さんて、ほんとは男なんでしょ?」としたり顔に言おうものなら、「遊び心のない奴」「シャレの判らない輩」と総スカンを食った。
「かのじょ」は女名前+女言葉。私は、女名前+「無性言葉」だった。
【私をゲームの世界に引き込んだのは、ゲーム好きが嵩じて、ある有名企業を辞め、ゲームメーカー(企業)に勤めているネット友達だった。彼女とは、ある小説系のサイトで知り合った。 】
【】内だけ読んで、男性に見えるだろうか? 女性に見えるだろうか? たぶん、かなり「中間的」だとおもう。これを私は、「無性言葉」と呼んでいた。 よく、「本当は男性ですよね」と、言われた。
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私をゲームに引き込んだネッ友は、きっぱりと「ネナベ」だった。そして、私がゲームを始めるという時、彼女は、
「女名前・女言葉なんて、トラブルのもと!」
と、ネナベを強く推奨した。
ゲームは、ファンタジー系RPG。私は、男名前の聖職者になった。
リアル=♀、ゲム上=♂。リアル=サラリーウーマン、ゲム上=聖職者。RPGとはつまり、Roll-Play-Game、役割を演じる遊びなのだ。私は、リアルとゲームの距離感を、遊びの一部として楽しんだ。その一方で、哀しいことながら、女名前・女言葉の友人が巻き込まれたトラブルも、つぶさに見ることになった。
けれど……。ファンサイトで、ある女性と知り合い、彼女があまりにいい人で(小説を書くという)自分との共通項もあって。私は本音の話がしたくなった。私は、「ネナベ」として、カミングアウトした。さすがに、直後はちょっぴり、コッパズカシかったし、トラブルのリスクは増したが、彼女とは以前より親しくなった。
つまり、価値は、秤にかけなければならない。彼女との仲をとるか。Roll-Playを貫くか。彼女の価値が、それだけ、重かったということだ。
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EBを始めたのは、私がカミングアウトした後である。
EBのことを教えてくれた師匠は、私が女であることも、リアルの年齢も知っていた。
知っている相手がいる前で、いまさらネナベにもどるのも…、というのもあり。
私は、EBの談話では、女言葉を使うようになった。
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久しぶりに「無性言葉」に戻ったのは、「人狼」第一期である。プレイヤーをあまり露にしない(第二期以降は、あまり隠してもいないのだが)意味と、女言葉は字数がかかるのでつい、という意味があるのだが。やはり、リアルと距離感をとったプレイは、それなりに楽しさもある。
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EBの談話で。ネカマ、という単語が、よく流れている。私は、だいたい黙って見ている。距離感の楽しさを認めない方も、まあ、いらっしゃるのだろう。