追記 ハロルド・ピンター 管理人 12/1マチネ(アフタートークショー有り) | サッチーのミーハーシナリオブログ

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ネタバレます注意
観劇予定の方はご注意ください。

尊敬するもりしんさん演出です。


管理人
@シアタートラム~12/17迄
(@兵庫県立芸術文化センター12/26.27)
約2時間10分休憩なし

作 ハロルドピンター
翻訳 徐賀世子
演出 森新太郎

キャスト 
溝端淳平(弟ミック)
忍成修吾(兄アストン)
温水洋一(老人デーヴィス)


《あらすじ》
ロンドン市内西部のゴミだらけのボロアパート。
食堂を首になり、ぼこぼこにされたホームレスの老人デーヴィス(温水洋一)を自宅に連れ帰り、住まわせるアストン(忍成修吾)。
翌日現れたアストンの弟ミック(溝端淳平)に、不審者扱いされ罵られ、恐れるデーヴィス。
仕事らしい仕事もなく、どこかへ出かけ帰ってくるアストンと、別宅がありこの家の所有者で配送業のミック、双方に
「管理人になってくれ」と頼まれるデーヴィス。
雨風しのげる、「快適」な部屋に同居したはずのデーヴィスだが。
徐々に態度に変化が起こり、、、


《舞台美術・照明・音声》
舞台奥にたったひとつの縦開きの窓。
そこへ向かって極端な遠近法の部屋。
ゆるやかに八百屋舞台。
屋根は雨漏りで所々めくれあがり、真ん中にはまるで電飾のようにバケツが、ヒモで吊られ、照明が壁に当たると影に映される。
裸電球ひとつの室内なので常に薄暗い。
閉塞感がすごい。
息詰まるセリフの応酬のさなか「ぴちょん💧」
と天井のバケツに垂れる雨水の音が絶妙な間を醸し出す。
部屋の壁際には古新聞の束、鉄屑、床には張り付いた紙くず、トランク、箱などか散乱。
潔癖症の観客は、逃げ出したくなるようなリアルごみやしき。

《衣装髪型》
アストンは紺スーツにグレーセーターにグレーコート。
ミックはスリムパンツにレザージャケット、リーゼント。
デーヴィス、ボロボロ茶スーツ、モモヒキ、薄汚れた靴下は左右ばらばら、髪はあずきじじいみたいな、、、

戯曲ピンター特有の間もト書きに(30秒)とあれば、忠実に30秒ぴったり取り、とにかく「間」を大切にしているそうだ。(もりしんさん談)
温水洋一さん(以下ぬっくん)があてがきみたいにぴったり。
もりしんさん自らキャスティング熱望したのも分かるわ。


ぬっくんは、テレビドラマのイメージだけど。
元々、小劇場出身なんだね。 
したでに出てるかと思えば、居候の身で強気な要請したり、小馬鹿にされたと思えば凄んでみたり。
でずっぱり、しゃべりっぱなし。
ぬっくん劇場素晴らしい。


つかみどころない、お人好しに見える兄アストンの忍成くん。
歩き方が、足の関節を曲げずに背を伸ばしてちょこちょこ不思議な感じ。

ほぼ無口なのに、1時間15分くらいからの6ページ分の独白(約10分)がすごい。
いきなり、喋り出す。
(毎日、共演者、もりしんさんが楽屋に近寄れないほど大変らしい)
かなり過酷な過去が明らかに。
不思議な歩き方しか出来ない謎が解ける。
これは実際に劇場で観てください。


冒頭シーン、ひとりでベッドに座り、意味深な無言の間を貫き、去っていき。
次に登場した時は機関銃みたいに
意味不明な例えばなしを、可笑しなオーバーアクションで語りまくる弟ミック=溝端淳平くん。
(もりしんさんからの演出「宮尾すすむみたいにハイッって感じで!」とか「ガキデカの死刑っ!みたいに」とか「長島監督みたいに!」とかジェネレーションギャップでまったく分からなかったと溝端くん談(笑))
溝端くんは前回、去年「るつぼ」の真面目な神父さん役で観たが。
今回はかなりぶっ飛んでいた。
(いま、再放送のドラマBOSSで、溝端くんとぬっくん同僚役で濃密に共演してる、タイムリー)
すっごい早口でロンドンの○○アヴェニューとか、ぬっくんがタジタジする感じに客席笑い。
引きこもりで、ゴミばかりか、ホームレスまで連れ込んでしまう足手まといな兄にイライラしつつも、悪口を話したデーヴィスが、兄を悪く言うと逆ギレする。
「はぁ?テメエ、いま兄貴の事なんつった?」

私もつい、家族、親類を悪く言うが、話した相手も悪く言うと(は?人の家族、そこまで言う?)と内心むかつくので、ミックの気持ち、分かるわー。

大きな事件は特に起こらず。
ホームレスのデーヴィスも、偽名で保険証作ってるからバレたらしょっぴかれる、、、
シッドカップの知り合いが預かっている書類さえ取りに行けば、俺はどんな仕事にも就ける。
と言いながら、合う靴がない、天気が悪いと口実を作り、部屋に籠る。
アストン、ミック兄弟からは、管理人を懇願されたのに、プロのリフォーム出来ないなら挙げ句に出ていけと言われる。

一番小ずるくて、だらしないデーヴィスがラストには一番まともに見えてくる不思議。

ノーベル賞作家作品は深いわ。
オチも、答えもない、、、
観た人がそれぞれに解釈する。 
途中、デーヴィスが、アストンの復讐の相手❓
だからごみやしきに誘い込んだの?とか思ってしまったもん。
誰もが鼻をつまみ、関わりたくないような薄汚れたホームレスのデーヴィスを管理人にしようとする兄弟は、なんやかんや言いながらも、デーヴィスをクッションにすることで兄弟の関係を保ちたかったのか?とか。
観る人が頭の中で脚色出来る。
ぐるぐる思想が駆けめぐる。
これは、、、役者さんや演出家さん玄人さん観に来て欲しい。
芝居通を自負する人は絶対に観てください。

《アフタートークショー》
演出助手女子がMC。
しもてから、MC.もりしん、溝端淳平、忍成修吾、ぬっくん。
もりしんさん、ブルー系のニットアウター。
溝端くん、ブラック系のカジュアル。
忍成くん⬇
ぬっくん、紺のジャージ上下に緑のタオル。

もりしんさん
「二時間以上の長いお芝居のあと、トークショー聞いてくださってありがとうございます、役者さんたち喋り疲れているから僕が話します」
(私とT先輩はもりしんさんトーク目的だから嬉しいけど、溝端くん、忍成くんファンはぎょっとしたのでは?)

「ピンターは、不条理だったり難しかったりで管理人はあまり日本で上演されなかったのですが、世田谷パブリックシアターさんが候補にピンターをあげてくださり、ぜひやってみようと。《面白いからぜひ観に来て》とは言えないこの作品をこのトラムだからこそやれた事に世田谷さんに感謝します」
「ピンターの戯曲、売ってるの見掛けたら読んでみてください。普通にト書きに《間30秒》とかたくさん出てくるんですよ、ねっ!(隣の溝端くんに同意を求める可愛い森さん)」
「ほんとは戯曲、三幕で休憩二回あるのですが一気にやりました。お客さん、休憩入ったらワケわからなくなってしまうと思うので」
「僕は役者さんのセリフの正確さとかを責めたりはしませんが、「間」だけはうるさく言います!」
もりしんさんは嬉しそうにトラムでこのメンバーでピンターをやれる喜びを語りました。
本当に生き生きしてました。
毎度の事ながら、もりしんさん、毎日客席で観てダメ出ししてます。

溝端くん、
「もりしんさんに、劇場入りして美術見た時に素晴らしいですね!と言ったら、美術に負けない演技しろよと言われ、、、毎日負けないぞと言い聞かせてやってます」
「膨大にイギリスの○○通りとか、マホガニーの家具とか、1960年代マニアックなセリフ出てきますが、観て全て分かる人が居たら僕は握手しますよ!」(ジョークだろうがファンの人は挑戦したくなるだろうね。)
「温水さんの時計がないと困る、何も出来ないと騒ぐシーンが好き。お前、働かないで引きこもってるから時計要らないじゃんと笑っちゃう」
「トラムで稽古場が窓がなくて閉塞感あって、ぴったりな稽古場でした」
「毎日八時間稽古して役者たちが疲れてくる八時間後に、森さんだけパワーアップしてくるのがすごいです」

忍成くん
「自分のシーンはともかく、お二人のシーンが面白くて裏で観て笑っています。着替えるぎりきまりまでモニターで観ちゃいます」

ぬっくん
「もりしんさん、稽古のパワーがすごくて、9時過ぎてから、もう一度通しますと言われて。今日友達と約束したんで帰りたいと言った時がありましたよ(笑)」
「男ばかりの稽古で、休憩中に「日ハムに清宮はいりましたよ!」って言ってもシーン、、、あ、すみませんって感じでした」
「お二人から「くさい!」って言われるシーンが好きです。ほんとくさい感じで好きです」