尊敬する森新太郎さん演出作品。
ミュージカル「パレード」見逃して大後悔したので千秋楽前、急遽観に行きました。
「怪談 牡丹燈籠」
- 原作:三遊亭円朝
- 脚本:フジノサツコ
- 演出:森 新太郎
- プロデューサー:綿貫 凜
- 2017年7月14日(金)~30日(日)
すみだパークスタジオ倉
初めて来ました。偶然、すみだパークに通いなれた観劇友Eちゃんも今日🎫取っていたから、錦糸町から引率して貰った。ありがとう。
(駅から遠いから一人だったら辿り着けなかった)

この奥に広い、お稽古場スペースあるのかな。
180席位キャパの横長客席。
8列くらいの奥行き。

キャスト
柳下大/山本亨/松本紀保
西尾友樹(劇団チョコレートケーキ)
太田緑ロレンス/青山勝/松金よね子
花王おさむ/児玉貴志(THEシャンプーハット)
原口健太郎(劇団座敷童子)/宮島健/川嶋由莉
新上貴美/井下宣久(劇団東京乾電池)
升田茂(劇団座敷童子)
ピンク、観劇したことがある方。
サッチー的にすごいメンバー。
柳下大くん「真田十勇士」で身体能力抜群な猿飛佐助を見せつけられ。
山本亨さん、松本紀保さん、去年の今頃暑い新宿花園神社椿組「贋作四谷怪談」で衝撃的な伊右衛門とおいわ夫妻だった。
西尾友樹さん、あの伝説の「治天ノ君」大正天皇役で去年わたしの身の回りの人々に大正天皇ブームを巻き起こした張本人。そして紀保さん、明治皇后だった。
太田緑ロレンスさん、まだ興奮冷めやらぬ初夏イキウメさん公演「天の敵」で安井順平さんの奥さん役だった。
花王おさむさん、何度も舞台拝見してますがなんと言っても去年のもりしんさん演出舞台「クレシダ」で平さんと息があった掛け合いを見せていた
ネタバレ注意

原作は江戸~明治時代の落語家三遊亭円朝。
(先月観た、キョンキョンプロデュースの「名人長二」も円朝さん原作だったし、山本亨さん、花王おさむさん出ていた。初日祝いが↓)
前にWOWOWでシスカンパニー製作、いのうえひでのりさん演出の「牡丹灯籠」観て、人間は強欲で残酷で救いようがない話だなと思った。
その他は事前予習無しで観てしまった。
幽霊お露(川嶋由莉)に見初められてしまう浪人新三郎(柳下大)。そうと分かると気味悪がってお札で結界を張る。
新三郎の身の回りを世話する下男、伴蔵(山本亨)とお峰(松本紀保)夫妻。(キーマン)
お露の父、旗本平左衛門(青山勝)に忠実に仕える奉公人孝助(西尾友樹)の仇討ちと、平左衛門の妻、お国(太田緑ロレンス)と隣家源次郎(児玉貴志)との不義密通とたくらみ。
舞台セット、美術は至ってシンプル。
舞台真ん中に回転軸のポールがあり、そこに蚊帳みたいな透けるでかい布が横長に吊られずっと逆時計回りに回転しているのがすごく異様。
逆時計回りって言うのがミソなのでしょうか?もりしんさん(あー、聞けばよかった。うろうろ(⬅失礼)なさっていたから)。
登場人物のではけになったり、照明加減で影絵みたいになったり、役者さんたちの立ち位置がわざと時計の六時の位置🕕で、布が顔や体に当たって通過していく個性的な演出。
最初すごく、気になった。
「当たってるよ。ガンガン、当たってる」
二時間ずっと回ってるから慣れたけど。
あの世とこの世の境目、三途の川なのか?と思ったりして。
サッチー的に子午線モードが抜けてないし、ストーリーテラー新三郎役の柳下くんが(子午線で)見慣れた黒シャツ黒ズボンで出てきたので。
また観客も一緒にレクイエム、霊を弔いに行こう!といざなっているように感じた。
柳下くん、蚊帳越しのラブシーンドキドキした。
登場人物、役名も台詞も江戸時代だけど、衣装は現代。新三郎の下男、伴蔵(山本亨)は昔の学校の用務員さんみたいに首から手拭い下げてリアル。
新三郎の恋の相手、お露にずっと付き添う女中お米(松金よね子)がコケティッシュで怖いと言うより可愛くて笑いが起きていた。
牡丹灯籠って、江戸時代に流行ったのかな。
武家のお嬢様用なのか、じかに見るとおしゃれでゴージャスな提灯だから、よけいに物悲しく不気味に感じるのか。
新三郎&幽霊の悲恋が主軸だけど。
途中から、奉公人孝助(西尾友樹)と下男伴蔵(山本亨)エピソードがかなり目立ってきた。
殿様のためなら、命も惜しまぬ忠臣孝助に、自分の急所(不義密通)を見抜かれているお国(太田緑ロレンス)はつらくあたり、陥れようとするんだけど
ロレンスさんが、大きい目がこぼれ落ちるんじゃないかってくらい悪女を熱演。適役!
「治天ノ君」の大正天皇役で観客の涙腺を崩壊させた西尾さんも、また濡れ衣を着せられたり父を暗殺されたり、、、観ていてつい応援したくなってしまうスーパー弱者、、、関係者が観たら、絶対自分の作品にキャスティングしたくなってしまうのではないか。
実は、恩人が父の敵だった殿様、青山勝さん。
恥ずかしながら今回初見ですが、殿様の威厳と過去の後悔、葛藤をにじみ出させ。
忠臣孝助よりも孝助を愛してるじゃん😢
ひとり文語体でしゃべるのが子午線ロスのサッチーには耳心地よかった。
下男、山本亨さんはね。
もうずるいとしか言えない。
ぜんぶ持っていっちゃう。
一年前の椿組公演が初見だった。
四谷怪談の伊右衛門、前回の名人長二の大旦那と「クズ男をやらせたら、山本さんの右に出るひとはいない」と前にも書いたけど。
「あれ、今回は珍しく、よいひと?」
と油断させまくった挙げ句の一番のグズ男。
振り切ったクズ男、ため息出るくらい素敵です。
ただのクズ男じゃなくて、なんか許せちゃうと思わせちゃうのか悔しくてずるいです。
()亨さんがやったら、サッチー許せないクズ男ナンバー1ミスサイゴンのクリスも許せちゃうんじゃないか)
やってることは死刑100回分くらいの酷さなんですよ。
突然、天井から○○が降ってくるシーン、びっくりした。客席最前列まではいづって降りて、客をにらみながら○○を回収する亨さん。
先輩が最前列で観たと言っていたから羨ましい。
一緒に悪事の片棒を担ぐ女房お峰、紀保さん。
ここ一年、縁がある。椿組、チョコレートケーキと観て今回は、はすっぱなてやんでい調の古女房
去年の四谷怪談、尽くしてきた伊右衛門(今回の旦那役山本亨さん)に酷い仕打ちにあって殺されるおいわさんで狂気と妖しさに圧倒されたけど。
今回、庶民で素直なお峰。結末はまた四谷怪談と同じ。切ないし山本さんとのコンビ似合いすぎる
途中、舞台から仄かにお香の匂いが漂ってきて
(もりしんさん、狙いですか?)
鼻腔を擽り、心地よさとゾクッと感が混在しました。
不勉強で落語にも、歌舞伎にも詳しくないから正しい感想書けませんが。
中国から伝わった逸話をもとに、怪談牡丹灯籠をつくり、落語で広めてきた円朝さん。
お化けは怖いけれど。
人間の業、欲が一番怖いと世間に言いたかったのかな。
何日か前、幽霊の日だったからブログに書きましたが。
お化けとか宇宙人とか可愛いもんです。
人間、、、自分も含めて怖いです。
怪談牡丹灯籠も、結局は人間が幽霊を利用した犯罪ですならね。幽霊、かたなしです。
演出、もりしんさん。
「クレシダ」ラストでは、まぶしい希望の光をみせてくださいましたが。
他の作品、ラスト、救いがない残酷さについ感動してしまう。病み付き。
今回も、本懐を遂げたのに一番本人たちがやるせないラスト。好きです。
わたし、冷血人間なんでしょうね。きっと。
もりしんさんは、演出作品、上演中もずっと観ていて、毎日ダメ出しをするので有名ですが。
この日もしもて最端のわたしの横に補助席置いてじっと観ていて、ラストだれよりも強い拍手をなさってました。
上演中にわたしのななめまえのひとが飴の包みを3分くらいカサカサさせた時、案の定、暗闇からすごく睨んでいたのではらはらしました。
もりしんさん、上演中の飴の音が一番嫌いなんですよ。
もりしん舞台観に行く方は気を付けましょう。
途中で気付いたのですが、客席に成河さん、いらっしゃってました。もりしんファミリーですし。
柳下大くん、前からブログでずっと成河さんの演技が好き、すごい。と書いていたので。
成河さんが観ていたか知っていたか分からないけど。良かったね。
劇場の構造なのか、(くだぐたな)くじ引きイベント終わってロビーに出たら、役者さんたちもロビーで面会していて。現実に引き戻った。
入り口のポスター見ながら、Eちゃんと
「殿様役のひと、初めてだけどかっこ良かったね、青山さん?」と話していたら
その扉かやまさしく殿様青山さんが出てきて
「あ!お疲れ様でした」
びっくりした。
ふつうに客と同じところからみなさん帰っていく。
サッチーお気に入り山本さんも横を通ったので舞い上がって
「去年の椿組から、この前の紀伊国屋も観ました。こんなことを言うと失礼ですが「悪い男」キャラ世界一です」
と言ってしまった。ごめんなさい。
普段はとてもひょうきんで気さくで素敵な山本さんです。きっと近いうちに極悪キャラでお会いできる日が来そう。