同じ夢(ネタバレ) | サッチーのミーハーシナリオブログ

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アダム・ランバート(Queen)=神の声域
成河(ソンハ)さん=演劇の神様 をずっと応援しています。
一生懸命な人が好き。

舞台・映画・テレビ・ときどきプライベート。

(注)脚色・盛りもあります。

2/8(月)19:00~2時間弱
「同じ夢」
作・演出 赤堀雅秋
キャスト 光石研/麻生久美子/大森南朋/木下あかり/赤堀雅秋/田中哲司
@シアタートラム
当日券情報はここから



ダークなモノクロにグリーンのチラシと対照的に。
鮮やかな表紙のパンフレット1000円。



キャストさんの写真集と言っても良いくらい、芸術的。




作演出、出演の赤堀さん(THESHAMPOOHAT主宰)は、舞台「鼬」で役者としてしか観たことなかったけど。舞台の作演出以外、映画監督でも多数受賞歴ある才人なのですね。
今までの作風(演劇のための演劇)から身を引き、「地に足をつけ丁寧にドラマを紡ぐ」壮大にミニマムな人間を描くことに行き着いたそうです。




ネタバレになります。これから観劇の方は要注意。

千葉県船橋市郊外、寂れた商店街の(あまり繁盛してそうではない)精肉店。
敷地内、裏のダイニングキッチン、ダイニングが舞台美術の肝です。


すすけた築何十年の一軒家が再現されてました。
あまりのリアル生活感に
開演前に間取りとか、置いてある家具小物の位置をメモしてしまった。

かみて、勝手口入ると車椅子、古新聞、傘立て、熊の置物。
キッチンは本当に水が出る水道。
回る換気扇。
薄汚れたガス台。
冷蔵庫、お玉や大根おろし金、なべしき。
流し台にはタオルとビニール袋がかけてある。
全部で五脚あるバラバラな椅子とダイニングテーブル。
廊下階段を挟んだしもては一段高くなったリビングに、ふたり掛けのソファ。テーブル。
マガジンラックに、古びたキャビネット。
電話台の上には、リアルに2016二月のカレンダーが。
まさに、同時進行で進んでいる。

二月のある日、松田昭雄(光石研)の妻、松田靖子(木下あかり)の母の10回目の命日。

佐野秀樹(田中哲司)、古くからの精肉店店員稲葉和彦(赤堀雅秋)、昭雄➡ダイニングキッチン。
田所元気(大森南朋)、靖子➡リビング。
日常のたわいもない会話の中から、
田所は元トラック運転手の10年前に、(横断歩道ではない道路を)横断中の昭雄の妻をうっかり轢いてしまったらしい。
毎年、命日に松田家を訪ね、仏壇に線香をあげるのが恒例。

加害者と被害者だけど。10年経っているせいか、見た目は穏やかな、古くからの知り合い的な関係性。

昭雄の同級生で近所で文房具店を営む佐野(田中哲司)は、飄々としているが昭雄にはケンカ越しでしゃべり、同居する口うるさい母親に辟易している様子。
「家にいたら、母親を殺してしまいそうだから」と冗談めかしていい、電話で母親に怒鳴る姿は「スポケーンの左手」のカーマイケルを彷彿。

事故を起こして以来、バイトの警備員として働く田所(大森南朋)は、手持ち無沙汰にみんなから離れたリビングに座りコーヒーをすすっている。松田家に対して事故死させてしまった罪悪感は観ている限り感じさせない。

父がキッチンで、佐野や、稲葉と軽口を叩いている間、靖子(木下あかり)は、加害者の田所を気遣うかのように近況を聞いている。

かみて、勝手口より、(寝たきりの昭雄の父、ふすまの奥にいる設定で登場はしない)松田家の通いヘルパー高橋美奈代(麻生久美子)、お使いから帰ってきて、一同に紹介される。

禁煙している昭雄、以外はほぼタバコを吸うシーン多数(十数回)、キッチンの換気扇まえにみんな集まる。
(本物の、タバコなので気管支弱いひと注意)

LAWSONで買ってきたミートソースをお昼にまじで食べる昭雄と稲葉。完食。リアル。
マチソワあるときは大変だね。

ほぼ、普段着で生活感漂うキャストの中、ヘルパー高橋の麻生久美子さんだけは、ヘルパーの衣装でもひときわ引き立つ。メイクも濃めでスターオーラ全開。

実の家族さえ見放し気味の惚けて年老いた父の介護を燐としてこなしているはずの高橋にも、闇があった。(体当たりな仕事なのに、ラスト、ある肩透かしでクスリとさせる。そこが赤堀流なのかしら?)
命日のほんの半日のエピソードを、会話でみせていく。
昔からある方法らしいけど、舞台の三ヶ所くらいでそれぞれが、会話している。(実際に私たちもリアルに同じ空間でそれぞれが会話する)それが新鮮に感じた。

前半は寡黙だった田所(大森南朋)が、お酒を飲んでタバコを吸いだしたあたりから、ベラベラと現状や、仕事の口や、昔のニックネームなどを長台詞で喋り出すのが可笑しい。
昭雄たちより一回りくらい若い世代なので、チャラさが垣間見れてくる。
そこを、昭雄は一瞬、わかっていらつくのかな、なにか言い争いとか起こるのかなと、はらはらするが、、、

佐野が、おせっかいにヘルパー高橋と昭雄をくっつけようとしたり、店員稲葉が店のレジの小金を拝借してばれて絞られる、とか細かいエピソードはあるけど、大きな事件は起こらない。

でも、登場人物が少しずつ闇があり、罪があり、イライラがあり、、、
今の社会でも、わりと底辺な中流以下な面子だからこそ。
ちょっとした、希望が夢がキラッと垣間見れる予感で終わった。
ある懐メロをオジサンズが口ずさむシーンが見もの。

赤堀さんがそれぞれに共演した役者さんに声をかけて、たぶんあて書きして。
それがほんとにオールスターズ。
248席しかない、かぶりつきな空間で。

いつも映画館の大スクリーンで観てる人たちが動いて生きている。

観る人によっては、普通の半日の会話劇じゃないか、と思うかもしれないけど。
絵空事すぎる壮大なストーリーよりも、共感して、感情移入して。
良いことなんてきっと、この先ないよ!平凡なつまらない人生だよ!とか思ってる人たちには、とても夢があるファンタジーに感じるかもしれない。

観る人が、好きにその後を展開出来る。
舞台の上の登場人物と同じ夢。みましょう。

みんな素敵だったけど。

田中哲司さん、見た目はほんわか、穏やかなミドルエイジだけど。
すごいうちに秘めたパッション、個性を感じた。仲間由紀恵さんに選ばれた人だもの。


大森南朋さん。
映像ではハゲタカ以来、まっちゃんのR100とか、ずっと観てきていたけど。

生大森南朋、先週みた、大駱駝艦主宰
麿赤兒さんパパの独創性の血。
しもて実質最前列から、憧れの大森Jr.目の前で観れた至福。
麻生さん、田中さんfanならかみて。
大森Jr.fanならしもてが目の前多し!

映像中心な活躍だけど、ぜひ、これからも生の舞台で、観たい。
次はめっちゃクレイジーなヒステリックな役を観てみたいです。