明日の記憶 (ネタばれ) | 無限回廊幻想記譚 旧館 -アニメ・映画感想-

明日の記憶 (ネタばれ)

 荻原浩・著の作品を渡辺謙が気に入り、頼んで映画化してもらったという作品。
 オープニングは既にかなり病気が進行してしまった主人公 佐伯雅行(渡辺謙)とそれを看病する妻 枝実子(樋口可南子)が窓から外の景色を眺めるところから始まる。

 話は雅行がまだ病気を認識する前まで遡る。
 部長である雅行は部下からも信頼が厚い男であり、大手取引先であるギガフォースと大規模なプロジェクトの契約に成功する。
 そんな彼を襲う病魔は最初は人の名前を忘れるなど、ただの物忘れであったが、次第に頭痛がしたり、重要な会議など忘れてしまうになる。
 そんな彼の様子を見かねた妻は娘 梨恵(吹石一恵)伊藤直也(坂口憲二)の結婚式の為にも病院へと行くよう説得、雅行はそれにしぶしぶ従う事になる。だが、そこで彼に告げられたのは『アルツハイマー』の疑いがある、との診断であった。

 ここで雅行に医師の吉田武宏(及川光博)簡単な記憶テストをするのですが、結構引っかかりましたorz 昔から物忘れの激しい人間だからな、俺。たぶん他にもそんな人はいたはずだ。

 で、更に詳しい検査をした後日、『若年性アルツハイマー』で間違いないとの診断が下される。
 前の検査の帰りに若年性アルツハイマーについての本を買って調べていた雅行は衝撃のあまりに自暴自棄となるが、吉田の説得で病気と立ち向かう決心をする。

 これまで仕事をバリバリとしてきた男性だけに、絶望の淵に立ったような気分なんですね。

 人によって進行にも差があるという事から仕事を続ける雅行だが、病状の悪化からこれまで頭の中に全て入っていたという地理も失い、ギガフォースへの行き方が判らずにパニックとなる。
 この時、助けるのが部下の生野啓子(水川あさみ)。電話で道案内するわけですが、凄い記憶力だよな。俺にはあれだけ的確な案内は無理です。通常、女性は道などを覚えるのは苦手らしいですが、彼女は別格のようだ。
 この事だけでなく、会議を忘れたり、社内で迷ったり、忘れないようにと書いたメモを廊下で落としている事などが重なり、ついには痴呆症の薬を服用している事を知られて退職を進められる。
 しかし雅行はそれを了承しない。
 結局はこのままプロジェクト管理を勤められないとされたのか、プロジェクトから外れ、配置転換となる。で、そこで自分の事が知れたのは他の部下が彼の鞄を探って薬を見つけて報告したからだと知れ、元の部下達の言い争いをしる事になる訳ですが、部下に恵まれてるなぁ、と感じるのは生野を中心とした部下達が彼の事を思っている発言をする事。
 これらは後々に退職する時に挨拶に来て、自分達の写真を渡す所でも伺える。惜しむらくは1回ぐらいは退職後に雅行の家へ訪れるなどの場面が欲しかったかな、と。

 で、雅行が退職を拒否したのは、娘の結婚までは働く父親でいたかったから、という事。
 しかし娘らは彼の病気の事をいつ知ったのだろうか。少なくとも結婚前は知らなかっただろうから、退職した時かな。定年退職でないのは判るだろうから、そうすると理由を話す必要があるだろうしな。
 また退職前にギガフォース宣伝課長の河村篤志(香川照之)から電話があり、その前にちょっとだけ嫌な印象を与えていた彼の印象を一気に良くする。直前に病気でフラフラな状態だったところに、あんな台詞を吐かれたら反則です。


 そしてそこからは闘病生活。
 アルツハイマーの進行を遅くするには手先を使うのが良い、と聞いて昔やっていた陶芸を始め、生活費の為に枝実子が昔の陶芸仲間である浜野喜美子(渡辺えり子)に頼み込んで仕事を紹介してもらう事になる。
 喜美子にこれからの生活を考えて雅行を保養所へ預けるように言われても、断固として拒絶する枝実子。
 一方で雅行は病気が進行するに連れて情緒不安定となり、更には枝実子が喜美子から渡された保養所のパンフレットを見つけてしまったり。

 そして最後の山場となるのは、陶芸教室を開いている木崎茂之(木梨憲武)の人間としてダメダメな行為から始まる。友情出演で一番最低な役をやってます。とは言え、こんな人間は実際にいるんだろうな、とも思う。
 信じていた人間の裏切りを受けて、落胆した雅行は枝実子との出会いの場所でもある彼らが若い頃に陶芸をやっていた山へ行く。しかしそこは既に潰れていた。が、彼の陶芸の先生であった菅原卯三郎(大滝秀治)が姿を現す。彼もまたアルツハイマーとなっていた……

 大滝さんの演技が絶品です。
 生憎と私の回りにアルツハイマーの人がいないので、今はまだその苦労と言うのが判りませんが、ちょっと考えさせられるお話です。何より、木崎のような人間にはなってはいけませんな。



公式サイト:http://www.ashitanokioku.jp/
評価:8/10点 一言コメント「周りの人の優しさなどが感じられる」

荻原 浩
小説 明日の記憶
東映
DVD 明日の記憶