『姑獲鳥の夏』
この世に、不思議な事など何もないのだよ、関口君
ミステリーとファンタジーの中間とも言えるこの作品。
京極堂シリーズの初の映像化です。
若干のネタバレあり。
知らない方の為に概要を説明すると、売れない小説家の関口が親友、京極堂こと中禅寺秋彦の妹、敦子から聞いた20ヶ月も妊娠したままの女性の話をする事から始まり。
話題の女性の姉より行方不明の妹の旦那を探して欲しいという依頼から、他人の記憶を視る事が出来るという探偵、榎木津と共に話題の女性がいる久遠寺家へと向かう。
そこで関口は奇妙な感覚に捕らわれる。
事件は既に終わっていると告げる榎木津、彼と同意見という京極堂、そんな彼らの言葉を理解出来ない関口は事件解決の為に迷走する。
そして行きつく破滅、悲劇に終わりを告げるために衝き物落としに立つ京極堂。という感じの話で。
基本的な流れは原作どおりですので、端折って、気になった点とかを上げて行きましょう。
映像になれると代わるかな、と思っていた役者に対する違和感はやはり違和感がぬぐえませんでした。
堤さんは京極堂のイメージよりも、やや無骨というかがっしりしすぎな感じがあるのですね。それを感じたのは、京極堂の台詞が妙に力強かった事から気が付いた。確かに彼の台詞には説得力があるけど、力強さとはまた違う気がするのですよね。
後に関口が鳥口に語っている様に、彼はむしろおばけの様な雰囲気が欲しいです。
そして関口も、彼は対人恐怖症、赤面症、失語症、といった所があるわけですが、今ひとつそれを表現しきれていないなぁ、と。雰囲気ももっと陰鬱な感じが欲しいところ。ただ猿顔ならいいというものではない。
各場面の中でも気になったのは、眩暈坂。もう少し長い坂の方がいいのではなかろうか。一度、謎本か何かで見た時の地図からすれば、もう少し長かったはず。しかもこのシーンだけ、妙に舞台芝居のような演出がされ、関口にスポットライトが当たったりするのが気になった。
そして探偵と共に久遠寺医院へと向かった彼らは、現作中では途中の雑木林で関口が過去のビジョンを見て、「うふふ、遊びましょう」を思い出す筈なんだけど。唐突に病院前です。しかも探偵はハーレーに乗ってきたシーンが飛ばされてます。事務所で整備していた所は出てたけど。パンフのコメントで阿部寛が言って事からすると、元々飛ばされるシーンだったから、敢えてその前のバイクを弄っていた時の、バイク乗りの格好でその後いたのでしょうね。
梗子の牧朗への思いを現すのが殆ど抜けていたのが残念。あれでは、何故彼女が想像妊娠をしたのかが判りづらいです。
涼子、京子、久遠寺の母の上下関係についての説明も無かったですね。ま、これは無くともなんとか話は通じているけど。
一番気に掛かったシーンは京極堂が、憑き物落としで梗子のお腹を戻し、牧朗をあらわすシーンとそれに関する説明でしょうか。このシーンでは、京極堂が手で屏風を倒すはずなんですが、なんか妙な怪奇現象になってます。勝手に倒れてるし……
更に説明では、何故『久遠寺の母』が拓朗をあそこに置いたのかの説明が一切されてない。ある程度想像は出来るものの、やはりあそこはちゃんと説明を入れる事で、より強い狂気が感じられるのだと思うのですが。
スタッフロールで、京極堂と話していた隻腕の将兵が実は水木しげる役の京極夏彦だと判明。京極さん、太った? 水木しげる役なのは何でなのか。確かに彼はこの作品に協力しているようですが。
最後のシーンは紙芝居を見て彼がゲゲゲの鬼太郎を思い付いたという設定なのかな。
スタッフロールのラストでは、ネタが仕込まれてましたが。本来は笑わせようとはしていないと思われるのですが、会場からは笑い声が……
パンフを購入しましたが、失敗です。パンフは買わないほうが良いですね。
これなら、書店で売っているオフィシャルブックの方が何倍も良いです。
作品自体の出来はそこそこ。原作に比べると、インパクトが薄いです。変に怪奇物っぽくしようとしているのか、妙な演出が逆にダメにしているような場面が見られる。
とはいえ少なくともやたらCMしている某国作の○ボッツよりは全然いいです。
評価:7/10点 次回作に期待して
- 京極 夏彦
- 姑獲鳥(うぶめ)の夏

